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2008年11月14日 (金)

YOUNG JEEZY

鳴り物入りでシーンに登場し、

強烈なインパクトを与えた YOUNG JEEZY

新作 「THE RECESSION」 で気付けば早3作目となる。

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個人的な感想としては、

毎作、楽曲単位で強烈なインパクトを受けるかというと、

そうでもないのに、

作品としての完成度の高さに舌を巻く思いだった

YOUNG JEEZY だったのだが、

今作も果たして、そのクオリティーは非常に高く、

彼の勢いの衰えを全くに見せない。

楽曲製作には DJ TOOMP 、MIDNIGHT BLACK 、

DRUMMA BOY 、SHAWTY REDD 、DON CANNON 、

それに J.U.S.T.I.C.E. と、

昨今の南部メジャーシーンに必ずと言ってよい程、

名を連ねているメンツが揃っている。

それこそ上記の製作陣は、

前回にも紹介した LIL WAYNE や T.I. の作品にも

当然のごとくその名を連ねている。

正に現在シーンにおけるトップのヒットメーカーを抱え込み、

大量消費社会に対し

大量消費を要求するような形の作品とも捉えられるのだが、

そういった意味で

オリジナリティーが損なわれているのかというと、

そうではないのだから面白い。

楽曲的に言えば、

作品として総体的に捉えどころのないオリジナリティーがあって、

それはむしろ LIL WAYNE や T.I. の新作と比較しても、

確固たる個性として顕れているように感じられる。

その点について更に言及するなら、

今回の主役、YOUNG JEEZY を筆頭に、

マイアミの RICK RO$$ 、ヒューストンの CHAMILLIONAIRE 、

この三者の作品に主立って見られる、

“FOOK と VERSE の融合” にこそ、

現在のシーンにおける新しいスタイルが

提唱されているのではないかと僕は捉えている。

語尾に粘り付くような引っ掛かりを持たせる、

独特のフロウを展開する YOUNG JEEZY は、

FOOKとVERSEの境目を超越した独特のグルーヴを確立し、

一聴して彼の存在を際立たせる。

三作目ともなるもうお馴染みのこのスタイルは、

未だ色褪せることを知らず、

フレッシュなインパクトを本作でも与え続けている。

行軍マーチのような勇ましい様相を称えた③や、

協奏曲を髣髴とさせるような④、

レクイエムを想起させる⑦など、

作品前半はゲストを配せず自身の味を存分に発揮している。

病的なまでに粘り気のある YOUNG JEEZY のラップは、

まず⑧で一度目の沸点を迎える。

針の振れ切れたかのようなアッパーな⑩、

PVカットされている妙味に溢れた⑫を経て、

ようやく⑬あたりからゲスト参加曲が並び始める。

⑬の ANTHONY HAMILTON と LIL BOOSIE 、

⑭のTREY SONGZ 、

⑯の KANYE WEST 、

⑱の NAS と、

実に抜け目ない人選が本作のクオリティーを代弁している。

個人的なお勧め曲は、

③、⑫、⑯が非常にタイトにまとまっていてカッコイイ。

 

本作に限らず、

YOUNG JEEZY の作品はこれまで、

知らぬ間に耳を惹き付けられてしまうという

彼特有のマジックに魅了されてきた。

本作も違わぬ出来栄えに大満足で、

聴けば聴くほど味の深みに驚かされる作品である。

 

 

オススメ度 8.5

(ラップ:1.6 トラック:1.8 キャラ:1.7 話題性:1.6 構成:1.8)

2008年11月 7日 (金)

LIL WAYNE V.S. T.I.

毎年恒例の年末リリース・ラッシュを前に、

こう言い切るのもナニですが、

2008年最大の注目作だったのは、

LIL WAYNE 「THE CARTER Ⅲ」 と、

T.I. 「PAPER TRAIL」 の、

この2作に間違いありません。

この二人の同調するような、

それでいて相対的な新作の爆発具合に対して、

今回はレポートしていくことにしましょう。

 

まず、LIL WAYNE について。

前作 「THE CARTER Ⅱ」 での予想以上の仕上がりの良さには、

何と言っても CASH MONEY の主軸でもあった

MANNIE FRESH のレーベル脱退に伴う影響が、

好転した形で顕れた賜物だと言えます。

その成功で一気に勢いを加速した LIL WAYNE は、

それから新作 「THE CARTER Ⅲ」 を発表するまでの約3年間、

絶えず表舞台に立ち、

現在の客演王としての地位も不動のものにしました。

そうしたアプローチを踏まえた上での新作は、

ファンの期待をいやが上にも高めつつ、

充分な話題性を以ってドロップされた、

正にヒット間違いなしの作品となりました。

これでもか?!ってなくらい、

人気プロデューサーとゲスト・ラッパーを集結させ、

様々なタイプの楽曲を取り揃えた本作は、

正にヒットの法則に忠実に従って製作されています。 

しかし、

ローカルに収束されない全方位的な楽曲群のアプローチは、

逆に言えば、リアリズムの欠如した

面白みに欠けるようにも感じてしまいます。

例えば、“CARTER” 繋がりでゲストに招いた JAY-Z との②は、

ゴージャスではあるけれども、

凡庸の域を脱し切れていないし、

KANYE 製作、BABYFACE をゲストに招いた⑤も、

売れ線を意識し過ぎているあざとさが

どうしても耳に引っ掛かってしまう。

企画モノとしての SWIZZ 製作の⑥は、

ネタとしては面白いのだが、

インパクトに欠けるというのが正直なところだ。

COOL & DRE 製作の⑦もインパクトに欠ける。

それに比べると、

ROBIN THICKE 参加の⑧と、

BOBBY VALENTINO 参加の⑨の

アコースティック感の溢れるメロディアスな楽曲は、

さすがに LIL WAYNE の味が充分に堪能できる。

僕自身の個人的な印象としては、

LIL WAYNE の妙味はこういった

ドラスティックでストレートな楽曲にこそ

映えるのではないかと思う。 

いかにもシングル売れ線を狙った⑫は、

僕にとってはあまり面白みがない。

DAVID BANNER 楽曲製作、BUSTA がゲスト参加した

続く⑬はさすがにインパクトがあるけれど。。。

総体的に言えば、

僕個人としては彼の前作のインパクトがあまりに強かったので、

それだけに期待に沿うだけの作品とは言い難い、

というのが本作に対する正直な感想です。

なんか、詰め込みすぎで結局、聴き終わった後、

楽曲の印象が残らないのです。 

非常に残念だけど、

LIL WAYNE が世界的に認められたという見地から言えば、

彼の成功に拍手を贈りたいです。

 

さて、そんな LIL WAYNE のヒットに負けず劣らずなのが、

T.I. の 「PAPER TRAIL」 です。

本作から多数シングル・カットされた楽曲は、

それぞれチャートを席巻しまくり、

そのどれも評価が高いようです。

しかしながらに露出面での話題性において、

LIL WAYNE に水を開けられた感があるのは、

どうしても否めないところでしょう。

司法関係に関するプライベートなイザコザが

彼の飛ぶ鳥落とす勢いに陰を指したというのは

隠しようのない事実です。

しかし、そんな状況下にあってさえ、

T.I. がここまでシーンに大きな影響を与えているというのは、

偏に、彼が本物の実力者にあるという、

その裏返しとも言えるでしょう。

さて、LIL WAYNE 程には大々的に取り沙汰されたワケではない、

T.I. の 「PAPER TRAIL」 ですが、

蓋を開けてみれば、

先程も書いたように、シングルチャートを席巻しています。

DJ TOOMP 製作の①から始まり、

LUDA と彼率いる B.O.B. の参加した④、

JUST BLAZE 製作、RIHANNA をゲストに迎えた⑤、

P.V. が流れまくっていた⑥、

USHER 参加の⑧、

SWIZZ が製作、ゲスト参加している⑩、

KANYE 製作、

JAY-Z 、KANYE 、LIL WAYNEがゲスト参加するという、

鬼のようなポッセカットの⑬、

JOHN LEGEND 参加の⑭、

JUSTIN TIMBERLAKE 参加の⑯と続いていくのだが、

中でもシングルで切られている⑤、⑥、⑬は

非常に強力である。

⑤なんて、O-ZONE の有名楽曲をそのままに使用し、

なんかえげつないコトになってしまっている。

一体、何故 JUST BLAZE ともあろう者が

こんなコトしたのか理解に苦しむね。

それに、鬼の⑬。

今、一番脂ののっている

(JIGGA は本当にアコギなまでに話題に事欠かないなあ。)

この4人のぶつかり合いは、

昔の出てきて間もない、

一番勢いがあった頃の WU の爆発具合を髣髴させる。

こんな具合だから、

作品全体としての印象には確かにまとまりを感じないのだけど、

とにかくイカツイ強力な楽曲のインパクトに、

耳を奪われる気がする。

 

両作とも、絶対的なヒットを狙いまくっての

バラエティーに富んだ作風という点において、

非常に近しい印象を受けるが、

個人的には、

LIL WAYNE のソレより、

T.I. の方が実に計算された上手さを感じてしまう。

仕上がりも T.I. の方が良い。

そんなワケで、今回の比較は、

T.I. の勝ち。

 

LIL WAYNE 「THE CARTER Ⅲ」

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オススメ度 8.7

(ラップ:1.8 トラック:1.6 キャラ:1.9 話題性:2.0 構成:1.4)

  

 

 

T.I. 「PAPER TRAIL」 

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オススメ度 8.9

(ラップ:1.7 トラック:1.8 キャラ:1.8 話題性:2.0 構成:1.6)

2008年9月23日 (火)

NAPPY ROOTS

NAPPY ROOTS の3作目となる新作、

「THE HUMDINGER」

デビュー作で一躍、

時のグループとしてシーンに奉られた彼らだったが、

2ND、そして本作と、

シーンの彼らに対するその扱いは非情に冷酷だ。

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HIP HOP途上都市と捉えられている、

つまりド田舎であるケンタッキー州から突如現れた彼らに対し、

この3作を辿るキワモノ的なシーンの扱いは、

多分に偏見性が含まれていると僕は感じる。

そういった意味において、

全くひっそりと、ほとんどHIP HOPファンの目に留まらぬような形で、

本作がドロップされ、

何の大きな反響もないままに、

歴史の波の間に埋もれてしまうままにしておくには、

本作はあまりにもったいない。

僕がココで取り上げたところで、

彼らの何が大きく変わると言うのではないのだろうケド、

僕自身の正当な評価を彼らに与えるためにも、

僕はこの作品の素晴らしさをココで書き綴っておく必要がある。

 

彼らの信条は、

1作目から変わらず、

“GOOD MUSIC” の製作にある。

ハードコアではなく、コンシャスを売りにするのでもない。

彼らの土壌をまんまに表現した “GOOD MUSIC” にこそ、

彼らの存在価値があると言える。

それが一番に現れているのが②になる。

今回、僕はこの作品を紹介する上で、

この曲だけを取り上げ、

皆さんにお勧めしたいと思う。

一年に1、2曲、

心に染み入るような素晴らしいループを持つ楽曲に巡り合う。

2008年のそれがこの曲だ。

単音でありながら複雑な進行を示す上モノのループは、

幾ら聴いても聴き飽きることを知らない。

シンプルなドラム・ラインとベース・ライン、

フックに入る控え目なスクラッチ、

そして情感的な三者三様のラッパー陣のライムが、

絶妙のバランス感覚で渾然一体となり、

至高の楽曲を作り上げている。

 

 

 

この楽曲以外にも秀曲がたくさん収録されているのだが、

僕としてはこの一曲だけで、

本作をプッシュするに足る理由付けとなる。

ちなみに、他の楽曲では、

ANTHONY HAMILTON や GREG NICE などの

有名どころも参加しているが、

やはり本作は、

何と言ってもこの②に尽きる。

 

 

オススメ度 7.4

(ラップ:1.5 トラック:1.8 キャラ:1.3 話題性:1.1 構成:1.7)

 

  

2007年10月17日 (水)

訃報

HIP HOPファンの方はもう既にご存知だと思いますが、

BIG MOE の訃報のニュースを昨日知って、

愕然としてしまいました。

大好きなアーティストだったのに・・・

 

死因は “心臓発作に伴う合併症” とのことですが、

それにしても33歳という若さでの彼の死は

あまりに惜しいです。

(この件に関するニュースはココをご覧ください)

 

僕自身、

彼にとっと大成功を収めることとなった、

「PURPLE WORLD」 で

彼の魅力にドップリ嵌まり込んだテなのですが、

彼のテクニカルなラップ・スキルと

ヘタウマな歌、

それに楽曲単位、作品としての構成力の高さが

他に秀でていて、

独自の世界観を構成する、

唯一無二のアーティスト性に強く惹かれました。

大体からして、

当時のH-TOWNの錚々たる面子を総動員したかのような、

そんな感のあるゲストまみれのほとんどの楽曲において、

それでも尚自身のカラーを見失っていない、

その作品における彼の力感は圧倒的でした。

この作品を未聴だというHIP HOPファンは、

ぜひとも購入することをお勧めします。

 

それにしても、

今改めて思うと、

DJ SCREW の元に集った SCREWED UP CLICK の面々の

才能の何と豊かなことか。

BIG MOE の他にも、

LIL' KEKE 、FAT PAT 、BIG POKEY 、

Z-RO 、TRAE 、

後期メンバーには LIL' FLIP も名を連ねている。

その結束力も固いし、

正に現在のH-TOWN HIP HOPの隆盛の

基礎を築いたといっても過言ではないでしょう。

 

さあ、今夜は

「PURPLE WORLD」 を聴きながら

酒でも飲んで寝るとするか。。。

 

R.I.P. 

 

 

2007年8月 4日 (土)

人気の理由

前回から大分間が開きました。

今回紹介するのは、

この夏一番の話題作、

T.I. の 「」 です。

 

 

 

彼のキャリアを通して、

一作ごとに確実にステップ・アップを果たし、

前作にて見事、

全国区における “KING” の座を治めるに到った、

この着実性とでも言うか、

見事な王道の貫きっぷりは、

“前KING” JAY-Z のそれに匹敵する勢いを感じます。

確かに前作は凄かった。

作品としてのトータル・バランスは

多少、粗さも目立ちましたが、

各楽曲ごとでの粒の立ち方は、

昨年ドロップされた作品群の中でも

群を抜いていました。

そういった意味で、

前作である種、極めてしまった感のある T.I. が

新たにどんな策略を以って新作をドロップしてくるか?!

本作での興味はそこに集中します。

 

結論から言えば、

本作における楽曲群の中には、

前作を上回るような爆発力を備えた楽曲は

見当たらないというのが僕の感想です。

しかしながら、

作品のトータル・バランスが非常に素晴らしい。

特に、

作品中盤から後半にかけての統一感のある構成には、

ある種の “刷り込み” に近い、

楽曲間に連なるシンクロ性を感じられます。

 

2007年7月 7日 (土)

H-TOWNマナー

今日紹介するのは、

DEVIN THE DUDE の作品、

「TO THA X-TREAM」 です。

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RAP-A-LOT 印の DEVIN THE DUDE は

H-TOWNを拠点に活動している

新進気鋭のラッパーなのですが、

本作自体はそれほどに

“H-TOWNマナー” を髣髴させるものではなく、

それはSOUTH云々のカテゴライズからも超越した、

彼自身の独特の世界観が描かれています。

音の世界はシックで、

80年代後期から90年代初期に至る、

ミドル・マナーを踏襲したような構成で、

流行にかぶれていないところが逆に新鮮で好感が持てます。

まあ、

本作自体が2004年に制作されたもので、

今年ドロップされた新作と間違って購入したという、

個人的な経緯もあるのですが、

コレが思った以上に良い出来だったので、

とりあえず満足してます。

(ちなみに今年ドロップされた新作は

まだ購入できていません。。。)

 

前述したように、

本作の魅力は何といっても

流行に左右されていないシックな楽曲群の構成にあります。

音数も少なめなシンプルなオケの中に、

地味といっても過言ではない

DAVIN のラップの重なる妙味というものは、

昨今のギラギラしたマス・アピールに食傷しているリスナーの耳にも

馴染みがよいのではないかと思います。

③の入り方や、

ギターのフレーズが立っている⑥、

昔の G-FUNK を髣髴とさせる⑨、

ループの際立った⑫など、

他の楽曲もかなり完成度が高いです。

ラップが主張しているのではなくて、

音に寄り添う要素として在しているというのが

非常に好感が持てます。

 

H-TOWNはやっぱり潜在能力が高いな。

 

オススメ度 6.7

(ラップ:1.4 トラック:1.7 キャラ:1.2 話題性:0.8 構成:1.6)

 

 

  

2007年6月 3日 (日)

新境地 2

改めまして、

更新遅れて申し訳ありません。

このブログを楽しみにしていたという奇特な御方も、

(ウソです、失礼なコト言ってごめんなさい)

そうでないという方も、

お待たせいたしました。

久し振りにキーボードを叩いております。

仕事が鬼のように忙しくて、

過労で死にそうになりながら、

更に鬱に入って、

かなりヤバい状況でありました。

今は何とか持ちこたえている状態です。

その勢いで、

久々にブログ更新しちゃおうというワケですよ、奥さん。

 

さて、

今回はこれまでにない、

一つの作品を二回に渡ってレビューするという、

LIL' FLIP の2枚組の新作について、

2枚目のレビューを書き進めて行きます。

。。。。。

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“1枚目を彼自身のこれまで辿ってきた延長線上にある、

STREETに密着した作風”  と称した手前、

2枚目のレビューに対して、

それなりに信憑性のあるレビューを書かないと、

本作、あるいは LIL’ FLIP に大して、

誤解が生じるというモノです。

というワケで、

2回に分けて、

本作を追求してイクコトとしましょう。

 

2枚目の特長は、

何と言ってもバラエティー豊かな楽曲構成に尽きます。

1枚目が THE SYMPHONY なるプロデューサーを中心に

組み立てられているのに対し、

2枚目は結構節操なく、

幅広い構成を見せています。

どれこそ①の NITTY から、

⑦の SCOTT STORCH 、

⑧の DJ PAUL & JUICY 、

⑪、⑰の SALAAM REMI 、

⑬の Z-RO 、

⑭の MANNIE FRESH に至るまで、

かなりバリエーションの豊かな、

フレキシブルな作風を堪能できるといえるでしょう。

しかもそれれぞれが、

各楽曲に応じて、

クオリティーの高い、

秀逸の楽曲を並べているのだから、

コレは簡単には見落とせません。

 

順に追っていけば、

まず、前述、NITTYT 製作の①のイントロからして、

かなりヤラレます。

そのメロディー・ラインの取り方からして、

かなり確信犯的なのですが、

続く②、③への流れも、

これまでの LIL’ FLIP 作品にはない、

柔軟性と、

何よりのキャッチーさを全面的に押し出しています。

定番の音源チョップを使った④に続き、

情感豊かなオケが印象的な⑤、

高揚感を煽るシンセの上モノが特徴的な⑥、

と流れていきます。

前述、SCOTT STORCH 製作の⑦は、

粘りつくようなフックのヴォーカルと相俟って、

LIL’ FLIP らしくない、

しかし、見事に調和されたキャッチーな楽曲に仕上がっていて、

思わず耳を凝らしてしまいます。

続く⑧も、

OSCAR 受賞で勢いに乗る THREE 6 MAFIA らが参加し、

いかにもそのノリをまんまに伝えてくれています。

このあたりの折り合いの付け方は、

元々、フリー・スタイル・キングとして鳴らした

LIL' FLIP としては、

その実力に違わぬキャパシティーを

各楽曲ごとに丹念に披露してくれていて、

メジャー志向な本作に対しての嫌味を

まったく感じさせない要因となっています。

ちょっと出足の重たい、

SALAAM REMI 製作の⑪、

Z-RO 製作の⑬などに続き、

いかにもその特色を留めた MANNIE FRESH 製作、

ゲストとしても参加した⑭の、

楽曲のせわしなさが、

本作のバラエティーの豊かさを物語っています。

1枚目の⑩でも参加していた MIKE JONES の参加する、

「FLY BOY」 のREMIXが⑯になるのですが、

ここでの MIKE JONES のキレ方は、

1枚目より断然凄いです。

ここでは完全に場を喰ってしまっている。

かっちょいいです。

2枚組の最終を飾る曲は⑪のREMIXで、

U.G.K. の二人が参加しています。

 

 

これまでの LIL’ FLIP の辿ってきた路線からすれば、

本作はかなり耳に馴染み易い仕上がりになっており、

それこそメジャー志向の完全なる形態を

その内に認められます。

それがマイナスに働いているのではなくて、

上手く自身の世界観を元に

クロスオーヴァーさせているあたりにこそ、

これまで実績を積んできた実力者ならではの

作品の深みを味わえるのではないでしょうか。

本作は個人的には、

LIL' FLIP のこれまでの作品群に対してのみならず、

2枚組として発表されたこれまでの偉大な先達の

他のどの作品よりもクオリティーが高いと

感じています。

 

オススメ度 8.4

(ラップ:1.6 トラック:1.9 キャラ:1.7 話題性:1.3 構成:1.9) 

 

 

 

 

2007年5月20日 (日)

新境地

今日紹介するのは

ズバリ、

LIL FLIP の新作、

「I NEED MINE $$」 です。

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本作について、

個人的にはもっと早く紹介したかったのですが、

その作品内容の重厚さに、

ココでどう書いたらいいか

正直悩みました。

というのは、

本作の2枚組という構成に対して、

それぞれのクオリティーの高さに思わず閉口してしまい、

どう書いてよいかわからなかったのです。。。

・・・・・

言葉尻から伺い知れるかもしれませんが、

本作はなかなかの傑作になります。

僕以外のメディアでの評価は

あまり良いとはいえませんが、

個人的には、

本作は、

LIL FLIP 自身にとっても、

全国区に名乗りを上げた、

記念すべき作品ではないかと思われます。

 

地元のH-TOWNに密着した形で、

その名を全国区へと轟かせるまでに

勢力を伸ばす LIL' FLIP としては、

どうしても意識せざるを得ないライバルが一人います。

“南部の王座” をかけて舌戦を繰り広げた、

T. I. です。

今となっては頭一つどころか、

完全にメジャーの顔として抜きん出てしまった感のある、

ライバル、T. I. としては、

“南部の王座” 云々以前に、

“HIP HOPシーンの王座” までも奪い取ってしまう、

勢いとオーディエンスの後押しの風を感じていることでしょう。

何せ、JIGGA 自らが、

自身の後継として太鼓判を押したくらいなのだから。

それは LIL’ FLIP にとってはオモシロくない話ですが、

彼が唯の “PLAYER HATER” に終わっていないという事実をこそ、

本作は如実に物語っています。

つまり、

本作はそんな如才ない LIL' FLIP のシーンに対する感覚の鋭さを、

まったくクオリティーを落とすことなく、

2枚組、全37曲という大作に見事に収めきった、

非凡な作品と僕は見ています。

 

2枚組をあえて区別化するなら、

1枚目を彼自身のこれまで辿ってきた延長線上にある、

STREETに密着した作風、

2枚目を T. I. の成功に感化を受けたかのような、

メジャー嗜好の楽曲が、

それぞれに多く並ぶ構成になっています。

もちろん、

一概にそう割り切れる配分になっているワケではないのですが、

そのバランス感覚からすれば、

本当に2枚組としてこれまでドロップされてきた

どんな大物アーティストたちの作品にも劣らない、

非常にクオリティーの高い完成度を本作は誇っています。

 

1枚目、2枚目を

それぞれ簡易に紹介して行きましょう。

 

まず、1枚目、

全20曲を THE SYMPHONY なるプロデューサーが

中心になって作り上げられています。

珍しいところで、

⑬の Z-RO 、

⑮の PAUL & JUICY による製作曲が並んでいますが、

全体としての統一感は、

非常にタイトにまとまっています。

RICK RO$$ 参加の②に続く、

本作の目玉となる③の、

H-TOWNオリジナルでもある

SCREWED & CHOPPED 加工されたフックが

強烈に耳を惹きます。

⑥では CHAMILLIONAIRE が参加し、

キラリと光る才能の片鱗を見せ付けています。

⑦は完全に SCREWED & CHOPPED された楽曲で、

黎明期からH-TOWNのシーンを支えてきた

LIL’ KEKE と BIG POKEY が参加し、

地元に根付いたアンダーグラウンド感を見事に演出しています。

MYA がセクシーなヴォーカルを聞かせる⑧、

メロディアスで耳につき易い⑨に続いて、

またもや完全に SCREWED & CHOPPED された楽曲⑩にて、

今、一番アクの強いMCingを武器にしている、

MIKE JONES が参加し、

作品を盛り上げています。

⑪は南部作品らしく、

広大で豊かに広がる地平線やフリーウェイなどの情景を

非常に視覚的に訴えかけてくるような楽曲に仕上がっています。

続く⑫はメジャー・コードながらにメランコリックな楽曲。

こういう構成ができるようになったあたりに、

LIL’ FLIP の成長の跡がうかがえます。

⑭では MJG が参加しているのですが、

ここでの MJG のズル剥けっぷりが非常に素晴らしい。

8BALL & MJG の新作でも、

彼のズル剥けっぷりは異常に耳についたのですが、

ココ最近の彼のアガり方は、

本当に異常なほどステキです。

前述、PAUL & JUICY 製作による⑮の、

堂々たるメジャー感は言わずもがな、

⑰の Z-RO がフックとヴァースを担当するこの楽曲構成の安定感は

本当に本作の一番の魅力といっても過言ではないでしょう。

⑱の狂った SCREWED & CHOPPED 感も

非常に病み付きになっていて、

この SCREWED & CHOPPED という作風に

耳慣れない初心者にも、

きっととっつき易い構成になっているというのが素晴らしい。

本作中、一番珍しいゲストとなっているのが、

⑲でヴォーカルを披露する NATE DOGG ですが、

その⑲でのレイド・バック感をそのままに、

1枚目の最終曲となる⑳での、

さらにユル~いレイド・バックしたオケで、

一先ず幕を下ろします。

 

・・・・・

 

長くなり過ぎました。

2枚目については、

次の記事に続きます。

。。。。。

。。。。

。。。

 

 

2007年4月28日 (土)

GGGGG...

今日から9日間に渡って、

ゴールデン・ウィークなる連休があるので、

せっかくだからこの前購入した新譜のレビューを

一気に書いていこうと思います。

ちなみに、

僕は今日はフル・タイムで仕事ですし、

来週の1、2日も仕事がありますが。。。

・・・ドンマイ!

 

というワケで、

今日は、

YOUNG BUCK の新作、

「BUCK THE WORLD」 を紹介します。

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最近の売り上げ不調に輪を掛けて、

色んなトコからバッシングを受けている G-UNIT ですが、

その内部でもあまり穏やかではない噂が持ち上がっています。

それが当の YOUNG BUCK

G-UNIT 離脱説です。

その元は、

YOUNG BUCK が元レーベル・メイトで、

現在は一番の敵とさえ看做されている、

THE GAME に向かって、

ビーフを解消しようと間接的に持ちかけたのを端に発します。

これに怒った大将の 50 は、

大人気なくもこの発言に目くじらを立て、

YOUNG BUCKG-UNIT 追放を

口の端に乗せたということらしいです。

。。。。。

コレって似てません?

THE GAME 追放の際の経緯と。

まあ、所詮、

西海岸出身の THE GAME にしても、

南部出身の YOUNG BUCK にしても、

G-UNIT には後付で加わったメンバーだから、

50 の彼らに対する愛情も、

彼らの 50 に対する忠誠心も、

大したことはないといったところでしょうか?

 

さて、

本作について語る前に、

彼のデビューを巡るアレコレと、

デビュー作品について語るなら、

早くからその才能に磨きをかけ、

一時は、

飛ぶ鳥を落とす勢いだった当時の CASH MONEY

契約するまでに漕ぎ着けていた YOUNG BUCK の、

その実力を推し量ると、

余程のモノがあったのだろうということが

窺い知れます。

現に、

彼のスタイルは、

オーソドックスで、

目立たないかもしれませんが、

素晴らしい輝きを放っていると、

僕は評価しています。

その最たる現れが、

彼のデビュー作、

つまり、

G-UNIT とジョインして作成された、

デビュー作内に収められている

「THOU SHALL」 です。

個人的には、

彼の前作内で一番ヒットした曲になります。

魂からの叫びを全身全霊をかけてぶつけるかのように、

感情を露にしてスピットするこの曲は、

正に心の琴線に触れる名曲に仕上がっています。

ラップのスキル云々より以上に

響いてくるものがあります。

コレは何だろうな・・・

所謂、“啼きの美学” とでもいおうか、

このテのタイプのラッパーはなかなかいないですね。

・・・・・

とはいうものの、

前作での彼の印象は

その 「THOU SHALL」 一曲のみに尽きてしまい、

作品としてのインパクトは

あまり強くなかったというのも正直なところです。

その辺りに重点を置きながら新作を聴き進めて行くと、

YOUNG BUCK 自身の成長の跡が

本作にハッキリと刻まれているのが認められるでしょう。

本作の特徴は、

まず、何といっても、

G-UNIT 本隊とは一線を画した、

バラエティー豊かな作品構成に見られます。

特に、

自身のレペゼンする南部色を基調としながら、

やはり全国区として攻めている、

そのスタンスが音の端々に現れているのがわかります。

例えば、

HI-TEK が製作し、

SNOOPTRICK DADDY の参加した④での、

SNOOP 独壇場となる見せ方や、

DRE 製作、50 参加となる、

モロに G-UNIT 色を前面に押し出した⑧、

KOKANE の酔いどれのボーカルが味まくりな⑩、

DRE 製作、LATOYA WILLIAMS 参加の⑪など、

これらの南部以外のプロデューサーやゲストを迎えた楽曲は

もちろんだが、

8 BALL & MJGBUN B を招いた、

南部をゴリ押しするような②においてさえ、

土臭いアクのない、

スタイリッシュな楽曲に仕上がっていて、

非HIP HOPファンへの間口を広げる作用が

目に見えないところで働いているのを感じます。

かといって、

それがワックに聴こえないところが本作の素晴らしい点で、

もちろん、

上記に挙げたようなスキルフルな重鎮連中を

ゲストに迎えているというのも

上手く作用しているようです。

タイトで、且つスタイリッシュなオケというのが、

南部出身の新人アーティストの成功に見られる

昨今のトレンドらしく、

本作中、⑨と⑮に参加している YOUNG JEEZY や、

RICK RO$$ の作品に顕著に見られた、

洗練された音楽性が、

本作の根底に流れるコンセプトとして

感じることができるでしょう。

まあ、そのテの音楽は

G-UNIT の十八番といっても過言ではない、

お家芸的なウリでもあったのだし。

本作中では特に、

⑥、⑦を基点とした作品中盤に

その流れが強く組み込まれていて、

構成を盛り上げています。

 

プロデューサー陣は、

先に挙げた他に、

⑨の DJ TOOMP

⑫の LIL JON

⑮、⑯の JAZZE PHA

最終曲⑰の EMINEM と、

豪華な面子が並んでいる点に、

シーンの最前線を伺うことができるでしょう。

 

 

作品として、

前作よりまとまりがあって、

しかもバラエティーに富んだ構成を楽しめるというのは、

トータル・プロデュースを施した

50 によるところも大きいでしょうが、

やはり YOUNG BUCK 自身の成長も

大きな要因となっているでしょう。

しかも、

作品の方向性としては、

決して G-UNIT のみに手綱を任せていない、

南部のアーティストとしてのカラー配分を強めに敷くことで、

翳りの見え始めた G-UNIT に依存しきっていない、

YOUNG BUCK の自立性も見せていて、

この男、案外、喰えないな。。。

 

オススメ度 7.5

(ラップ:1.5 トラック:1.6 キャラ:1.3 話題性:1.5 構成:1.6)

 

  

 

2007年4月22日 (日)

MOBってる?

今回紹介するのは、

昨年6月にドロップされた作品になります。

FIELD MOBD.T.P. 移籍後初となる、

「LIGHT POLES AND PINE TREES」 です。

200pxlight_poles_and_pine_tees  

 

 

 

 

 

 

 

SMOKESHAWN JAY の二人からなるラップ・デュオ、

FIELD MOB にとって本作は、

通産3作目となるオリジナル作品ですが、

1、2作目を MCA でドロップしたものの、

シーン的にそれほど多いな反響があったワケでもないのですが、

南部の雄、LUDACRIIS の目に留まった幸運にも恵まれ、

晴れて D.T.P. の一員として合流するに至っています。

ちなみに本作は DEF JAM ではなく、

D.T.P. GEFFEN での配給契約になっている、

というのがミソです。

 

FIELD MOB というと、

ATLANTAの狂騒的なサウンドではなく、

少しレイドバック感の強めな、

オーガニック的なイメージが強いのですが、

果たして、

本作でもその彼らのカラー・イメージに沿った、

且つ、D.T.P. 的に洗練もされた、

本格的な楽曲構成が魅力となっております。

そのあたり、

本作の大半の楽曲を手掛けている、

KEN JO なるプロデューサーの

手腕によるところも大きいのですが、

その他、JAZZE PHA や、

POLOW DA DONOLE-ECKAY1VUDU なる、

これまであまり耳馴染みのない名前の

プロデューサー達の活躍もあって、

作品としてタイトなまとまりを見せています。

中でもクオリティーが高く、

耳を惹くのが、

CIARA がコーラスで参加している、

JAZZE PHA 製作の③や、

スロウで抑揚ある構成が特徴的な OLE-E 製作、

大将 LUDA 参加の⑤、

バウンシーな CKAY1 製作の⑥、

思いっきりレイドバックした KEN JO 製作のオケ上に

感傷的なライムをフリーキーに乗せた⑧、

ソウルフルな滾りをぶつける KEN JO 製作の⑨、

ナイスなループが非常に心地良くツボを押さえている、

POLOW DA DON 製作の⑩と、

序盤から中盤に掛けての盛り上がり方は、

非常に良曲の並ぶ構成で、

その仕上がり具合の質の高さに

思わず惹き込まれてしまいます。

他にも、

現在、D.T.P. から売り出し中の

BOBBY VALENTINO の参加した⑬や、

ボーナス・トラックとして収録されている、

LUDAJAMIE FOX が参加する、

名曲 「GEORGOA ON MY MIND」 をサンプリングした、

最終曲⑮などもあり、

正にソツのない出来栄えで、

D.T.P. のクルーとしての面目躍如となった作品といえるでしょう。

 

ラップに関しても、

独特のビート解釈と、

ライミング部を特徴的に引っ張り、

アクセントに癖を残すなど、

クルーの大将、LUDA のフロウに近い特異性を発揮していて、

彼らのスキルフルさも充分堪能できることでしょう。

ただ、LUDA と並ぶと、

やはりその差異が耳につかないでもないけれど。。。

一昔前の GOODIE MOB の初期作品を耳にしたかのような、

土臭くも洗練された、

新しい南部のスタイルを提示されているかのようで、

コレは悪い評価ではない。

 

オススメ度 7.3

(ラップ:1.6 トラック:1.6 キャラ:1.3 話題性:1.2 構成:1.6)

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