今回紹介するのは、
RHYMEFEST のメジャー・デビュー作品、
「BLUE COLLAR」 です。
コレ、めっちゃ良いです、コレ。
結論から言って、
今年に入って買ってきた作品群の中で
一番喰い付いています。
間違いなく、
この年末に作るであろう
僕の個人的な2006年トップ10ランキングの
3位以内に入ってくるでしょう。
。。。。。
RHYMEFEST の人となりを語る上で
一番象徴しているのが、
本作のタイトル 「BLUE COLLAR」 でしょう。
バトルMCとして名を馳せる彼は、
自らを有態の “ギャングスタ” や “ハスラー” 、“サグ” 等の
いわゆる定番としてのラッパー・スタイルに置くのではなく、
一般 “肉体労働者 (BLUE COLLAR)” の視点から、
アメリカの資本主義社会の底辺に属する
ストラグルする人々を代弁しようとしている。
それは現行シーンにおける流行に対しての
明確な差別化を計ることにより、
RHYMEFEST 自身の存在を
特異ならしめる作用を及ぼしています。
・・・・・
ってか、
一般的な生活を送る者のスタイルが
“異種” とみなされるこの世界も
考えてみればおかしなモンなんだけど。。。
そういった点を踏まえながら
本作を聴き始めていくと、
まず最初に、
イントロ明けの②でいきなりガツンっとヤラレた。
JUST BLAZE 製作の攻撃的なオケに
ガシガシと擦られるスクラッチが
僕の胸を鷲摑みにした。
JUST BLAZE は最近、
自らの製作楽曲でスクラッチを多用しているが、
その見せ方 (聴かせ方) がどんどん巧妙になっていて、
いかにもアンダーグラウンド使用な印象を強く与える。
カッコイイじゃないか。。。
目指せ、PRIMO !
フリーキーでトリッキーな引っ掛かり方をする
RHYMEFEST のフロウも、
さすがバトルで鳴らしたそのスキルの片鱗を
至るところで見せ付けています。
KANYE WEST が製作、ゲストとしても参加している③は、
同郷シカゴ出身というよしみだけではない。
GRAMMY 受賞など、
シーンを席巻した KANYE の名曲、
「JESUS WALK」 製作の裏方に
この RHYMEFEST が一役買っていたというのは
有名な話です。
ただ、
個人的な感想だが、
本作における KANYE の参加ってのは
ちょっとしたブレーキになってるのではないか?
という気がする。
というのは、
そのスタイルの似通った感のある二人が並ぶと
どうしても KANYE の方のインパクトが強く、
今現時点では RHYMEFEST の魅力が
打ち消されてしまうのである。
確かにネーム・バリューはあるんだろうけどね。
そういう意味において、
本作中、プロデューサーとして
KANYE が参加した楽曲はこの③のみだし、
ゲスト・ラッパーとしての参加曲も
この③と⑦の二曲だけに留めているっていうのは、
よくやったと褒められるべき点である。
きっと生半可なラッパーだったら、
KANYE WEST の名を借りて、
彼に全面的にバックアップを願い出ていることでしょう。
その辺り、
RHYMEFEST の漢気と、
その度量を伺うことができます。
(しかしながら、
③は先行カットとしてP.V.でも出回っているという、
したたかな面もあるけれど。。。)
そして、表題 「BLUE COLLAR」 が暗示する
地域に根付いたアンダーグラウンド性を
全国に主張すべく、
KANYE より以上に重要な役割を充てられているのが
シカゴの重鎮プロデューサー、
NO-I.D. です。
COMMON を全国区へと導いた功労者にして、
KANYE のプロデューサーとしての師匠的な存在。
僕としては、
COMMON の全盛は
彼の3RD作にあったと考えているのですが、
その中でも NO-I.D. の活躍は素晴らしかった。
なのに、それ以降、
COMMON が NO-I.D. から離れ、
全国区の有名所のプロデューサーばかりを掴まえて、
新作をドロップするというのは
正直、あまり好感が持てないでいました。
KANYE と製作にあたった昨年の作品だって、
各誌での評価は高かったけど、
僕としては有名になった KANYE を
今更のように迎えるのもいかがなモンか?!と、
COMMON に対し、
首を傾げていた始末です。
それこそ、同郷のよしみでいうなら
無名時代の KANYE をフック・アップすりゃよかったのだ。
。。。。。
話が逸れてきましたね。
とにかく、僕はこの NO-I.D と
ORIGINAL FLAVOR の SKI の製作する
90年代初頭の煙たいような空気の充満する
楽曲群が大好きなのです。
両者の楽曲に挙げられるのは、
JAZZのエッセンスをふんだんに盛り込んだ
展開の豊かな構成と、
色鮮やかな音の切り口。
そこに彼らの断然の魅力が集約されています。
今作中での NO-I.D. も、
その腕に衰えの影を見せぬ
獅子奮迅の活躍を見せています。
サルサ調でキャッチーな④の
アヴァンギャルドな映え方は、
非凡な RHYMEFEST のライミングと
NO-I.D. の確信深いオケの
見事な融合を反映したものです。
また、⑥や⑧のネタの使い方も素晴らしい!
もう、大好きです。
そして、⑫あたりの曲調なんかは
昔の NO-I.D. まんまの作りで、
思わずグっときちゃいます。
本作中、NO-I.D. の製作曲、
④、⑥、⑧、⑫の四曲だけでも
もうお腹一杯になっちゃうようなクオリティーなのですが、
NO-I.D. と共に、
本作では外せないというのが
レーベル・オーナーでもある
MARK RONSON の製作曲になります。
過去に、バトルMCとして
EMINEM をも打ち負かしたという
輝かしい経歴を持つ RHYMEFEST 。
そんな彼との契約を求めて
たくさんの有名レーベルが
争奪戦を繰り広げたというのは
想像に難くありません。
結局、そんな彼と契約に漕ぎ着けることができたのは
J RECORDS 傘下で自らのレーベルを立ち上げたばかりの
MARK RONSON 率いる ALLIDO RECORDS でした。
N.Y.のクラブDJとして名を馳せていた RONSON は
MIX TAPEなどの売り上げも好調で、
当時、NATE DOGG や GHOSTFACE 他、
たくさんの有名ラッパーを取り揃えた
自身のデビュー・アルバムでも大成功を収めています。
そんな実績を買われ、
J RECORDS 傘下での
ALLIDO RECORDS 立ち上げとなったのですが、
そういった RONSON のビジネス戦略が
本作中の至る所に張り巡らされているのを
ハッキリと感じ取れます。
まず、
RHYMEFEST のキャラクター性を
メジャーとアンダーグラウンドの中間に位置させ、
マスとストリートの両面に適確にアプローチさせている
MARK RONSON のトータル・プロデュース面に
並々ならぬ才覚を感じます。
これは RONSON がクラブDJとして
現場で培った嗅覚がモノをいっているのでしょう。
そして、それに応えるだけのスキルとバイタリティーを持つ
RHYMEFEST というラッパーの獲得も
RONSON の商才と幸運とを悠然と物語っています。
そんなレーベル・オーナー自らがプロデュースした楽曲が
⑪、⑮、⑯の三曲。
いかにもスカ・テイストなオケの⑪で
まず軽くジャブをいなすと、
トリッキーな⑮で RHYMEFEST のテクニカルなライムを
十全とお膳立て。
圧巻は何といっても
故 OL' DIRTY BASTARD の
ヘタウマなコーラスを配した最終曲⑯。
明るい曲調に O.D.B. のこの歌声を聴いてると
何だか泣けてきちゃうよ。。。
この曲で幕を閉じているっていう点からして、
作品全体にきちんとオチがついているので
全編を通して
非常にタイトにまとまった印象を強く与えている。
多方面に顔を向けながらも、
立ち位置はマスとストリートの中間で
周囲にしっかりと睨みを利かせた
隙のない作品に仕上がっています。
これこそ RHYMEFEST にしか出せない味というべきか。。。
MARK RONSON もそこを狙っての
アプローチだったんだろうしね。
上記の他にも、
COOL & DRE や EMILE らが
楽曲製作で素晴らしい仕事をやってのけていますし、
ゲスト・シンガーの MARIO は
⑩で伸びやかなファルセットを披露し、
作品に奥行きを与えています。
作品の全体としての印象は
TALIB KWELI のソロ・デビュー作に近い、
アンダーグラウンド・マナーを
メジャーに向けて展開していくモノで、
そのクオリティーに関しては引けをとらないほど
高品質にまとめ上げられています。
とにかく、本作は今年に入って
初めてガツンときた作品で、
個人的には限りなくクラシックに近い作品です。
特に JUST BLAZE が擦りまくった②は素晴らしい!
久々、心弾むような
スキルフルな新人ラッパーの作品に触れることができ、
本当に大興奮です。
オススメ度 9.3
(ラップ:1.8 トラック:2.0 キャラ:1.7 話題性:1.8 構成:2.0)
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