-留守番電話のメッセージ 編-
引き続き、
百物語で納涼をお楽しみください。
これは
今から15年程前に
テレビの深夜番組で語られた
一般人の心霊体験談です。
(ちなみに、
僕の知っている数ある心霊話の中でも
二番目に怖い話です)
その心霊体験談をテレビで語った人の友人に
Hさんという男性がいました。
Hさんは25歳の会社員で、
付き合い始めて一年になる
Nさんという24歳の彼女がいました。
HさんとNさんは
小さなアパートで同棲し始めたばかりでした。
ある週末の金曜日、
残業で帰宅が遅くなりそうになったHさんは
自宅に電話し、
Nさんにその旨を伝えようとしました。
ちなみに、
今から15年前、
当時はまだ携帯電話は
世間に出回っていません。
Hさんの掛けた電話は
留守番電話に繋がりました。
どうやら、
まだNさんは帰宅していないようです。
夜の七時頃です。
もしかすると、
彼女の方も残業しているかもしれない。。。
Hさんは留守電に
残業で帰りが遅くなる旨をメッセージに残して、
仕事の続きに取り掛かりました。
。。。。。
結局、その日、
Hさんが仕事を終えたのは夜の9時過ぎでした。
彼は一応、帰路につく前に、
会社から再度、
自宅に電話を駆け直してみました。
しかし、
電話はまた留守番電話に繋がってしまいました。
・・・風呂でも入ってるのかな?
Hさんはとりあえず留守電に
今、仕事が終わって、
これから帰るという旨のメッセージを残しておきました。
電車を乗り継いで、
Hさんが自宅に帰りついたのは
夜の十時過ぎでした。
アパートの前まで来た所で、
自室の電気が灯っていないことを不思議に思いながら、
Hさんは部屋に入りました。
「ただいま。。。」
・・・・・
・・・・
・・・
返事はありません。
彼女はまだ帰ってないようです。
部屋を見回してみると
留守番電話のランプが点滅しています。
もしかすると、
彼女からの伝言メッセージが残されているかもしれない。
Hさんが電話のボタンを押すと、
機械音が無感情な音声で言いました。
「メッセージを・・・
4件お預かりしています。。。」
再生してみました。
一件目。。。
「あー、モシモシ?オレだけど。
今日、残業でちょっと遅くなる。
多分10時くらいになると思う。
先にメシ食っといて。
また仕事終わったら電話する。。。」
○月○日金曜日、午後7時11分・・・
これはHさんが残した伝言です。
二件目。。。
「モシモシ、H?ワタシです。
今仕事終わったところなの。
まだ帰ってないみたいなので、
これから買い物して・・・・・
・・・・
・・・
ギャーッ!!!
ガッシャーン!!!!
・・・・・
・・・・
・・・
プチッ」
○月○日金曜日、午後7時15分・・・
伝言の最後が
壮絶な悲鳴と騒音の後、
唐突に切れてしまいましたが、
このメッセージは確かに
Hさんの恋人のNさんからのモノでした。
・・・・・
一体、何があったんだ?!
Hさんはこのメッセージを聴いて
パニックに襲われました。
三件目。。。
「○○警察の××という者です。
Nさんのご家族の方はいらっしゃいますでしょうか?
至急ご連絡頂きたいので、
○○警察までお電話していただけますでしょうか?
番号は***-****-****です。」
○月○日金曜日、午後7時43分・・・
Hさんのパニックは更に広まります。
四件目。。。
「もしもし。オレです。
今、仕事終わったので、
これから帰りまーす。。。」
○月○日金曜日、午後9時13分・・・
最後の伝言は
仕事終えたHさんが会社から掛けたものでした。
しかし、
最早、Hさんの耳には入ってきません。
彼はもう一度留守番電話を再生させました。
二件目。。。
「モシモシ、H?ワタシです。
今仕事終わったところなの。
まだ帰ってないみたいなので、
これから買い物して・・・・・
・・・・
・・・
ギャーッ!!!
ガッシャーン!!!!
・・・・・
・・・・
・・・
プチッ」
○月○日金曜日、午後7時15分・・・
・・・・・
この伝言は一体何を意味しているのだ?!
それに、
警察から電話も入っている。。。
Hさんはとりあえず
警察に電話を入れてみました。
すると、
そこで彼が耳にしたのは、
Nさんが事故に巻き込まれて
病院に搬送された、
ということでした。
Hさんは警察から教えられた病院へ
直行しました。
・・・・・
Hさんの恋人、
Nさんの死亡はすでに確認されていました。
。。。。。
。。。。
。。。
病院に到着したHさんが
待機していた警察官の一人から聞いた事情では、
仕事を終え、
帰宅の途についていたNさんが、
その途中、
電話を掛けようと電話ボックスに入っていた所、
そこに居眠り運転のトラックが
突っ込んでしまったということでした。
Nさんは電話ボックスの中でそのまま押し潰され、
圧死したということです。。。
・・・ということは、
アノ留守番電話に残されていた
Nさんからのメッセージは、
正にその瞬間に残されたモノだったのです。
。。。。。
事件後、
恋人を失ったHさんは
生活に支障をきたす程の落ち込みようでした。
勤めていた会社を退職し、
部屋に一人閉じ篭ってしまったのです。
誰にも会おうとせず、
外に出掛けることもしません。
心配したHさんの両親は、
一週間に一度、
Hさんのアパートに簡易な食事を持って運びました。
当然、彼は両親にも会おうとしませんので、
両親は食事を入れた袋を
Hさんのアパートの玄関扉のノブに引っ掛けて帰りました。
こうして、
Hさんは自室に引き篭もったまま
半年が経過しました。
半年の時を経て、
何とかHさんの落ち込みんだ心も
ようやく恋人Nさんの死を
受け入れ始めてきました。
心配していたHさんの両親や友人達は
ようやくアパートの扉の鍵を開けるようになったHさんに
今度は社会復帰できるよう励ましました。
まだ若いHさんのことです。
人生をやり直すのに
遅いということは全然ありません。
まず、気分を転換させる為にも、
アパートを出て
引っ越しした方が良い、
というコトになりました。
このままこの部屋で生活し続けても、
失った彼女、Nさんと
期間は短かったのですが、
同棲していたこのアパートでの思い出を
引き摺り続けかねません。
亡くなったNさんの両親も
Hさんを励ます為、
「あの娘の為にも
Hさんには自分の新しい人生の道を
歩んでもらいたい」
と声を掛けました。
そういった周囲からの励ましを受け、
Hさんは決心し、
生活の場を変え、
心機一転を図ることにしました。
引越し当日、
数人の友人が集まって、
荷を片付けていきます。
食器類や日常生活品の細々とした物は
ダンボールに詰めて
運び出しましたし、
テレビや冷蔵庫、
洗濯機などの電化製品、
それに箪笥なども
アパートの外に駐車したトラックに
運び出しています。
残ったのは
電話や掃除機くらいでした。
Hさんの友人が電話を運び出そうとしました。
その時です。
。。。。。
。。。。
。。。
「メッセージを・・・
4件お預かりしています。。。」
運び出そうとしていた電話に
誤ってボタンを触れてしまったのか、
留守電のメッセージが再生されだしたのです。
そして・・・
二件目。。。
「モシモシ、H?ワタシです。
今仕事終わったところなの。
まだ帰ってないみたいなので、
これから買い物して・・・・・
・・・・
・・・
ギャーッ!!!
ガッシャーン!!!!
・・・・・
・・・・
・・・
プチッ」
○月○日金曜日、午後7時15分・・・
奇しくも、
Nさんが亡くなったその当日のメッセージが
そのまま残されていたのか、
それがちょうど引越しを終えようとしていた
この瞬間に
再生されてしまったのです。
。。。。。
Hさんはこの再生されたメッセージを
再び耳にしたことにより、
顔を青ざめるようにして
黙り込んでしまいました。
引越しを手伝っていたHの友人達も
突然のコトに驚き、
あまりのタイミングの悪さに黙り込んでしまいました。
友人の一人が
電話を運び出そうとした男に言いました。
「オマエ、
せっかくHが気分一新しようとしてるのに、、、
なんでそんなヘマすんだよ・・・?」
言われた男は顔を青ざめさせたまま
息を飲んでいます。
電話を運び出そうとしていた男は
震えながら、
声を振り絞るように言いました。。。
「イヤ、、、
オレ、
だって、、、
コレ、コンセント抜いてて、、、
電源入ってないし、、、
絶対、、、
動くハズないのに。。。」
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