無料ブログはココログ

リンク

« 2007年12月 | トップページ | 2008年10月 »

2008年9月30日 (火)

HOLLYWOOD DERBY

自己顕示欲の強いラッパーは、

音楽活動が頭打ちになると、

新たな表現手段としてスクリーン・デビューに向かう傾向が強い。

フッドからHOLLYWOODへ、

そんなお決まりのコースを歩んだ者の中でも、

頭一つ抜きん出ているのは、

ご存知、WILL SMITH だが、

その次あたりに成功を収めているのは、

LLICE CUBE 辺りなんじゃないかと捉えている。

キャリアもカリズマもバキバキのレジェンドである二人だが、、

それぞれの売りはまるっきり別モノのようではあるけれど、

改めて二人を見比べてみると、

案外シンクロしているようにも思えてくる。

奇しくも、お互い新作をドロップしたばかりということもあって、

今日は “HOLLYWOOD DERBY” と題して、

二人のその新作を聴き比べてみようと思う。

 

まず先攻は LL COOL J から。

数年前から所属の DEF JAM との折り合いがよくないとのことで、

絶えず移籍の話が出続けていながらに、

その後も数作が DEF JAM からドロップされていた LL だが、

それも本作を以って、契約はいよいよ解消されるという。

何せ、タイトルが 「EXIT 13」 なんだもの。

200pxexit13_2   

 

 

 

 

 

 

 

オリジナル12枚とベスト盤1枚の計13枚。

「PHENOMENON」 での CANIBUS とのビーフ以降、

正直、LL とその後の彼の作品に対し

ラッパーとしての強烈なインパクトを

僕は感じられなくなっていたというのはあるが、

しかし、だからといって、

彼のここ数年の作品が駄作だったかというと、

決してそうではないと言わざるを得ない。

グっとはこないのだが、

作りが上手く、妙にカッコイイのだ。

その雰囲気は本作にも充分満ち溢れている。

それほど旬なプロデューサーが絡んでいるワケでもないし、

ゲストの顔ぶれもイマイチなのに、、、

どうしてカッコよく聴こえるんだろう?

本作は 50 CENT が総監修するという噂もあったが、

幸か不幸か③でのゲスト参加だけに終わっている。

それ以外、有名どころでは、

MARLY MARL が楽曲製作した⑥、

DJ SCRATCH 製作の⑨、⑩、

DAME GREASE 製作の⑬、

WYCLEF がゲスト参加した⑭

(ココ、ツッコミたいが、今回はあえてスルーしよう。)、

FUNKMASTER FLEX が怒鳴りを入れた⑯、

FAT JOE と SHEEK LOUCH という

イカツめな二人をゲストに揃えた⑰くらい。

DAME GREASE の⑬はなかなかスタイリッシュでカッコイイが、

それ以上に本作で気になるのが、

同じく前述、DJ SCRATCH 製作の⑩。

この曲はゲストにOLD SCHOOLレジェンドの

GRANDMASTER CAZ を迎えているのだが、

ハッキリ言って、本作中でも突出して耳に引っ掛かる、

ハードな仕上がりとなっている。

確かに LL のキャラからして、

スタイリッシュな楽曲は彼に似合うかもしれないが、

実は時代錯誤なくらいイカツくて、

色気のない楽曲をガチガチに集めた方が、

彼に合っているのではないかと思えてならない。

本当に、今の時代にあって、

本作中、この楽曲⑩はブッ飛んだカッコよさを湛えている。

。。。。。

 

さて、お次は後攻の ICE CUBE の作品を。

LL「EXIT 13」 に対して、

ICE CUBE の新作 「RAW FOOTAGE」 は、

それ程話題性があるのではなく、

出元も自身のインディー・レーベル LENCH MOB からとなる。

200pxrawfootage   

 

 

 

 

 

 

 

その影響というのでもないが 

(彼の前作も同レーベルよりドロップされている。)、

本作はこれまでの彼のどのソロ作品と比較しても、

極めてハードコア色が強いように思われる。

それはもちろん良い意味において。

その音色からインディーな空気がプンプン漂っているのだけれど、

蓋を開けてみると、

②では YOUNG JEEZY が参加していたり、

⑥では MUSIQ SOULCHILD が参加していたり、

⑬では当然のように THE GAME が、

WC と一緒に参加していたりして、

旬なゲストが実に印象的に配置されているあたり、

作品として抜かりの無い仕上がりになっている。

プロデューサーに有名どころの名前はなかったけど、

どの楽曲も粒が立っていて、

ドス黒くカッコよいこと一入だ。

中でも特に耳を惹いたのが⑤。

この訳知りな、茹だったリフのループが

最強にステキすぎる。

ライムもボロいこと繰り返してるだけなんだけど、

このビートにはコレ以上もコレ以下ない。

ユルさと熱さの均衡が

二つとない絶妙のバランスの上で構成されている。

コイツ最高!⑤最高!!

楽曲として締りのある⑦も素晴らしいが、

本作では何といっても⑤がズバ抜けている。

。。。。。

 

というワケで、両作の総評だが、

LL にしても ICE CUBE にしても、

この長いキャリアを戦い続けてきたアーティスト特有の

抜け目なさというものをお互いの作品に感じざるを得ない。

自身の旨味、見せ所を心得ていると言うべきか。

両作ともにタイトな仕上がりを見せ、

合格点に値する作品といっても過言ではないと思う。

しかし、裏返せば、

期待値を下回ることはなくとも、

上回ることもない、

そのまんまの作品と呼べなくもない。

つまりは、面白みに掛けるとでも言おうか、

初期衝動に欠ける分、

(もちろんベテランの二人にコイツを期待するのが間違っているのだろうが)

HIP HOPの内包する妙味ともいえる、

スリリングさに欠けると言わざるを得ないというのも確か。

惰性で製作された、

とまでは言わないが、

やはり片手間感がどうしても拭えないのも事実で、

その辺り、

LLICE CUBE 共に、

成功し続けているベテランゆえのジレンマを

抱えていると捉えることもできる。

 

さて、“DERBY” と称したからには、

今回の LLICE CUBE 両人の新作に対し、

個人的な嗜好の甲乙を付けておかないといけない。

というワケで、

今回は ICE CUBE の勝ち。

勝因は作品のタイトさにある。

 

LL COOL J 「EXIT 13」

オススメ度 8.2

(ラップ:1.7 トラック:1.5 キャラ:1.7 話題性:1.7 構成:1.6)

 

ICE CUBE 「RAW FOOTAGE」

オススメ度 8.2

(ラップ:1.7 トラック:1.7 キャラ:1.7 話題性:1.4 構成:1.7)

 

 

2008年9月23日 (火)

NAPPY ROOTS

NAPPY ROOTS の3作目となる新作、

「THE HUMDINGER」

デビュー作で一躍、

時のグループとしてシーンに奉られた彼らだったが、

2ND、そして本作と、

シーンの彼らに対するその扱いは非情に冷酷だ。

200pxthehumdinger  

 

 

 

 

 

 

 

HIP HOP途上都市と捉えられている、

つまりド田舎であるケンタッキー州から突如現れた彼らに対し、

この3作を辿るキワモノ的なシーンの扱いは、

多分に偏見性が含まれていると僕は感じる。

そういった意味において、

全くひっそりと、ほとんどHIP HOPファンの目に留まらぬような形で、

本作がドロップされ、

何の大きな反響もないままに、

歴史の波の間に埋もれてしまうままにしておくには、

本作はあまりにもったいない。

僕がココで取り上げたところで、

彼らの何が大きく変わると言うのではないのだろうケド、

僕自身の正当な評価を彼らに与えるためにも、

僕はこの作品の素晴らしさをココで書き綴っておく必要がある。

 

彼らの信条は、

1作目から変わらず、

“GOOD MUSIC” の製作にある。

ハードコアではなく、コンシャスを売りにするのでもない。

彼らの土壌をまんまに表現した “GOOD MUSIC” にこそ、

彼らの存在価値があると言える。

それが一番に現れているのが②になる。

今回、僕はこの作品を紹介する上で、

この曲だけを取り上げ、

皆さんにお勧めしたいと思う。

一年に1、2曲、

心に染み入るような素晴らしいループを持つ楽曲に巡り合う。

2008年のそれがこの曲だ。

単音でありながら複雑な進行を示す上モノのループは、

幾ら聴いても聴き飽きることを知らない。

シンプルなドラム・ラインとベース・ライン、

フックに入る控え目なスクラッチ、

そして情感的な三者三様のラッパー陣のライムが、

絶妙のバランス感覚で渾然一体となり、

至高の楽曲を作り上げている。

 

 

 

この楽曲以外にも秀曲がたくさん収録されているのだが、

僕としてはこの一曲だけで、

本作をプッシュするに足る理由付けとなる。

ちなみに、他の楽曲では、

ANTHONY HAMILTON や GREG NICE などの

有名どころも参加しているが、

やはり本作は、

何と言ってもこの②に尽きる。

 

 

オススメ度 7.4

(ラップ:1.5 トラック:1.8 キャラ:1.3 話題性:1.1 構成:1.7)

 

  

2008年9月21日 (日)

L.A.X.

THE GAME

商業的な音楽が蔓延するこの現在のシーンにおいて、

特別な輝きを放っていると僕は捉えている。

それは、彼の新作、

通算3作目となる 「L.A.X.」

そのタイトルからも窺い知れよう。

200pxgame_lax   

 

 

 

 

 

 

 

正にL.A.の玄関口にも当たる国際空港の名を、

自らの引退を掲げた本作のタイトルに当てる事からもわかるように、

今のシーンにおいて、

特にメジャーのシーンにおいて、

これほどまでにローカリズムを主張する作品は

ほとんど見当たらない。

H-TOWNの勢力が落ち着いてしまった今となっては、

本当に稀有と言えるメジャー作品だろう。

その点だけ伺っても、

古くからのHIP HOPファンだった僕にとっては、

本作は賞賛にふさわしいと言える。

 

さて、その内容はというと、

先ほども述べたように、

古くからのHIP HOPファンである僕の耳を捉えて話さない、

HIP HOPゴシップやアーティスト名、

名曲のタイトルやパンチ・ラインが、

ふんだんに鏤められた THE GAME 独特のライミングが、

これまで2作同様、否、それ以上に、

効果的な印象を深く与える。

ともすれば、下世話と思えなくもなかった

1作目でのこの彼のライムも、

3作目を経て、立派な芸術的スキルと呼ぶにふさわしいまで、

成長を遂げていることに感銘を受けるほどだ。

2ND作中、加熱していた 50CENT とのビーフも、

50 が落ち目となった今では、

あえて深く引き摺ることをせず、

THE GAME 自身の新たな展開を本作に見出せる。

それが冒頭にも述べた、

ローカリズムと全国区の融合なのだが、

彼が本当にそれを狙っていたかどうかはわからないが、

本作はその点で見事な成果を残している。

まず、ゲスト陣の顔ぶれから挙げていくと、

③の ICE CUBE 、④の RAEKWON 、⑤の LIL' WAYNE 、

⑦の BILAL 、⑧の LUDACRIS 、⑪の NE-YO 、

⑭の COMMON 、⑮の LA TOYA WILLIAMS 、

⑰の KEYSHIA COLE 、⑱の NAS 他、

これだけ見ても全国区の、

しかも各地を代表するような豪勢且つ、

シブい人選に心奪われる。

しかも、①、⑲のINTRO、OUTROを

DMX の 「PRAYER」 をまんま使用している辺りに、

THE GAME の作品の面白味の本質を窺い知ることができる。

つまり、その本質とはこうだ。

THE GAME はこの音楽シーンの強烈なフォロワーであるということ。

それは、EMINEM の出現以降、

50CENT やこの THE GAME 自身や、

KANYE WEST 、 9TH WONDER など、

多くのアーティストに見られる、

僕と同時代のこの音楽シーンの歴史を体感した、

いわゆる “激動の90年代” から強烈なインスピレーションを受け、

そいつを現在のシーンに反映させる、

彼らは猛烈な “HIP HOPファン” であると言える。

本作内でも、先に挙げた DMX 「PRAYER」 の使用や、

RAEKWON の参加などに見られる、

シブい点を突いた人選の他に、

今最も勢いのある LIL' WAYNE や NE-YO の登用は、

現在のHIP HOPファンにとっても実にスリリングな人選である。

さて、上記のような煌びやかな人選にも拘らず、

THE GAME 自身の個性は全く失われていない。

あるいは、ゲストが遜色して聴こえるほどに、

THE GAME のフロウは輝いている。

特筆すべきは、③での ICE CUBE 、

④での RAEKWON の映え方であろう。

ICE CUBE はフックのみを担当しているが、

正にL.A.玄関口を迎えるにふさわしい、

濃厚なL.A.、COMPTON、CALIFORNIAのタフな生活を描き出す。

燻し銀の、正に煙った都市伝説の語り部としての

RAEKWON と THE GAME のヨタり具合も素晴らしい。

その他、人生をシリアスに歌い上げた、

LIL’ WAYNE との⑤や、

自らを東西の王としてリリカルなスキルを展開する、

NAS との⑱も聴き所に挙げられる。

COMMON との⑭も面白いが、

これは THE GAME の一人勝ち。

特に2ND VERSEは絶品です。

プロデュース・ワークについて言えば、

今作も DRE は不参加ながら、

J. R. ROTEM 、JELLY ROLL 、COOL & DRE 、NOTTZ 、

DJ TOOMP 、SCOTT STORCH 、KANYE WEST 、HI-TEK 他、

昨今を賑わすこれまた豪勢な顔ぶれが揃っている。

個人的には J. R. ROTEM の②、③、

JELLY ROLL の④、

NOTTZのファンキーさの輝く⑦、

DJ TOOMP のベース音のうなり具合がロッキシュな⑩、

SCOTT STORCH の⑫がお気に入り。

 

総体的に言って、

素晴らしい作品と呼べなくはない作品だと思う。

特に、THE GAME のスキルや勢いは、

前作、前々作に引けをとらぬどころか、

以前にも増して輝きを放っている。

ただ、、、ただ、やはり思わずにいられないのが、

DRE 総合プロデュースであったならば、

更にどんなにか素晴らしかったであろう?!

という点に尽きる。

願わくば、THE GAME 、彼の引退宣言が撤回され、

次作こそ、DRE に製作を委ねた “L.A.讃歌” ともなる大作を

期待せずにはいられない。

個人的には、TIMBO とのコラボも再現してもらいたい。

 

今もL.A.で戦い続けている僕の同志にピースを!!

 

オススメ度 8.6

(ラップ:1.9 トラック:1.6 キャラ:1.9 話題性:1.5 構成:1.7) 

« 2007年12月 | トップページ | 2008年10月 »

最近のトラックバック

2017年1月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31