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2007年5月20日 (日)

新境地

今日紹介するのは

ズバリ、

LIL FLIP の新作、

「I NEED MINE $$」 です。

200pxlilflip_ineedmine_1  

 

 

 

 

 

 

 

本作について、

個人的にはもっと早く紹介したかったのですが、

その作品内容の重厚さに、

ココでどう書いたらいいか

正直悩みました。

というのは、

本作の2枚組という構成に対して、

それぞれのクオリティーの高さに思わず閉口してしまい、

どう書いてよいかわからなかったのです。。。

・・・・・

言葉尻から伺い知れるかもしれませんが、

本作はなかなかの傑作になります。

僕以外のメディアでの評価は

あまり良いとはいえませんが、

個人的には、

本作は、

LIL FLIP 自身にとっても、

全国区に名乗りを上げた、

記念すべき作品ではないかと思われます。

 

地元のH-TOWNに密着した形で、

その名を全国区へと轟かせるまでに

勢力を伸ばす LIL' FLIP としては、

どうしても意識せざるを得ないライバルが一人います。

“南部の王座” をかけて舌戦を繰り広げた、

T. I. です。

今となっては頭一つどころか、

完全にメジャーの顔として抜きん出てしまった感のある、

ライバル、T. I. としては、

“南部の王座” 云々以前に、

“HIP HOPシーンの王座” までも奪い取ってしまう、

勢いとオーディエンスの後押しの風を感じていることでしょう。

何せ、JIGGA 自らが、

自身の後継として太鼓判を押したくらいなのだから。

それは LIL’ FLIP にとってはオモシロくない話ですが、

彼が唯の “PLAYER HATER” に終わっていないという事実をこそ、

本作は如実に物語っています。

つまり、

本作はそんな如才ない LIL' FLIP のシーンに対する感覚の鋭さを、

まったくクオリティーを落とすことなく、

2枚組、全37曲という大作に見事に収めきった、

非凡な作品と僕は見ています。

 

2枚組をあえて区別化するなら、

1枚目を彼自身のこれまで辿ってきた延長線上にある、

STREETに密着した作風、

2枚目を T. I. の成功に感化を受けたかのような、

メジャー嗜好の楽曲が、

それぞれに多く並ぶ構成になっています。

もちろん、

一概にそう割り切れる配分になっているワケではないのですが、

そのバランス感覚からすれば、

本当に2枚組としてこれまでドロップされてきた

どんな大物アーティストたちの作品にも劣らない、

非常にクオリティーの高い完成度を本作は誇っています。

 

1枚目、2枚目を

それぞれ簡易に紹介して行きましょう。

 

まず、1枚目、

全20曲を THE SYMPHONY なるプロデューサーが

中心になって作り上げられています。

珍しいところで、

⑬の Z-RO 、

⑮の PAUL & JUICY による製作曲が並んでいますが、

全体としての統一感は、

非常にタイトにまとまっています。

RICK RO$$ 参加の②に続く、

本作の目玉となる③の、

H-TOWNオリジナルでもある

SCREWED & CHOPPED 加工されたフックが

強烈に耳を惹きます。

⑥では CHAMILLIONAIRE が参加し、

キラリと光る才能の片鱗を見せ付けています。

⑦は完全に SCREWED & CHOPPED された楽曲で、

黎明期からH-TOWNのシーンを支えてきた

LIL’ KEKE と BIG POKEY が参加し、

地元に根付いたアンダーグラウンド感を見事に演出しています。

MYA がセクシーなヴォーカルを聞かせる⑧、

メロディアスで耳につき易い⑨に続いて、

またもや完全に SCREWED & CHOPPED された楽曲⑩にて、

今、一番アクの強いMCingを武器にしている、

MIKE JONES が参加し、

作品を盛り上げています。

⑪は南部作品らしく、

広大で豊かに広がる地平線やフリーウェイなどの情景を

非常に視覚的に訴えかけてくるような楽曲に仕上がっています。

続く⑫はメジャー・コードながらにメランコリックな楽曲。

こういう構成ができるようになったあたりに、

LIL’ FLIP の成長の跡がうかがえます。

⑭では MJG が参加しているのですが、

ここでの MJG のズル剥けっぷりが非常に素晴らしい。

8BALL & MJG の新作でも、

彼のズル剥けっぷりは異常に耳についたのですが、

ココ最近の彼のアガり方は、

本当に異常なほどステキです。

前述、PAUL & JUICY 製作による⑮の、

堂々たるメジャー感は言わずもがな、

⑰の Z-RO がフックとヴァースを担当するこの楽曲構成の安定感は

本当に本作の一番の魅力といっても過言ではないでしょう。

⑱の狂った SCREWED & CHOPPED 感も

非常に病み付きになっていて、

この SCREWED & CHOPPED という作風に

耳慣れない初心者にも、

きっととっつき易い構成になっているというのが素晴らしい。

本作中、一番珍しいゲストとなっているのが、

⑲でヴォーカルを披露する NATE DOGG ですが、

その⑲でのレイド・バック感をそのままに、

1枚目の最終曲となる⑳での、

さらにユル~いレイド・バックしたオケで、

一先ず幕を下ろします。

 

・・・・・

 

長くなり過ぎました。

2枚目については、

次の記事に続きます。

。。。。。

。。。。

。。。

 

 

2007年5月18日 (金)

コレはチョット違う。。。

久々に新譜紹介に戻ります。

今日紹介するのは、

RJD2 の新作、

「THE THIRD HAND」 です。

200pxrjd2  

 

 

 

 

 

 

 

まあ、本作をここで紹介すすのもどうか??

とは思うのですが、

買ってしまったモノはしょうがない。

ある種の諦めの気持ちを以って、

書き進めていくことにしましょう。。。

 

こういう書き方だと、

HIP HOPファンの皆さんには

いきなりの興冷ましになってしまうかもしれませんが、

ズバリ言ってしまえば、

そのとーり、

あまり感心できない作品です。

それは②から終わりまで続く、

“非HIP HOP” 的楽曲群に耳を傾けていただければ、

一目瞭然!

一聴同然!!

こんなのの為に金を掛けた、、、

というのではそれ程怒りは感じませんが、

ワザワザこんなのの為に

記事を書き起こさなくてはならない、、、

ということに異常な腹立ちを感じてしまいます。

・・・・・

ちなみに、

このブログは、

誰に強要されているワケでもない、

完全なる個人の自由意志でのみ

書かれているモノなんですけど。。。

・・・・・

前々回紹介した EL-P を

“アングラ” と称して紹介した都合上、

RJD2 の本作も、

まあ、“アングラ” っちゃ、

“アングラ” なんでしょうけど、

コレは全然ダメでしょう。

だって、HIP HOPじゃないもん。

例えば GNARLS BARKLEY の作品のように、

ラップがなくても素晴らしいと思える作品があるという意味で、

本作内でラップがないというのはまだ許せるとして、

音楽そのものに

クロさをまったく感じられない。

コレはアウトです。

全体的に総じてみるなら、

カントリー・ミュージックと、

ホワイト・ポップスと、

それからインストで垣間見えるトランス的なモノの、

ごちゃ混ぜになったカンジ。

僕に引っ掛かるところは、

ほんの1ミクロンもぱりませんでした。

 

こんだけ怒り心頭に書き捨てといて、

僕も放っておけばよいのに、、、ね。

 

オススメ度 3.2

(ラップ:0.0 トラック:0.3 キャラ:1.1 話題性:1.1 構成:0.7) 

 

 

 

2007年5月13日 (日)

休日

今日は休日。

先週一週間は、

連休明けの勢いで怒涛のごとく依頼が舞い込み、

まったくテンテコ舞いだった。

身体の芯まで疲れ切ってしまった。

そんなワケで、

今週末、せっかくの土日の連休も、

溜まっている案件を処理する為、

土曜は休日出社で働き、

日曜の今日は今日で、

免許更新に出掛ける為、

いつものごとく早朝に起きて仕度しなければならなかった。

更新日の期限が今日で切れるということもあり、

仕方がないのである。

今の仕事量からすると、

平日に更新なんてとてもじゃないけどムリな話だ。

 

都合上、明石まで出ないと更新できないということなので、

新快速で明石駅まで向かい、

久々にバスに乗り継いで免許センターに到着した。

午前9時半を回った頃で、

センターの中は早くも行列ができている。

僕はウォークマンで音楽を聴きながら、

持参した森鴎外の文庫全集を読んで、

列に並んだ間の時間を過ごした。

30分ほどかけて写真撮影まで済ませると、

今度は違反者向けの講習を受けた。

12時に講習を終え、

新しい免許を受け取ると、

またバスに揺られて明石駅に戻り、

駅地下の食堂で昼食を摂った。

生ビールととんかつ定食だったが、

猫舌のクセにせっかちな僕は、

とんかつの一口目から、

いつものごとく口内を火傷し、

後はほとんど味がわからなかった。

外食すると、

ほとんどこうなる。

 

食後、

せっかく明石まで来たので、

このまま駅を移動して、

海を眺めながらぼんやりとしようと思い立った。

舞子まで切符を買い、

鈍行に乗って移動する。

 

関西外にお住みの人には

あまり知られていないかもしれないが、

舞子は、

淡路島と本州を結ぶ明石大橋の架る、

本州側にあたり、

JRの駅を降り、

南口から出ると、

目の前には、

広がる瀬戸内の海と、

その対岸の淡路島、

それらに架る雄大な明石大橋の光景が、

その目に飛び込んでくる。

今日は天気も良く、

その光景はすこぶる素晴らしかった。

 

Bridge_007_s2  

 

 

 

 

 

 

 

 

初夏の陽射も、

強い風と相俟って心地良く思えるほどで、

僕はベンチシートに腰掛けながら海を眺め、

森鴎外の作品を幾つか読んでそこで過ごした。

心身共に疲弊し、磨耗し、小削ぎ取られていた

日々の生活から抜け出した、

開放の瞬間。

目の前を中型のタンカーや小型の船が、

西から東へ、

東から西へ、

ゆっくり緩慢な進み具合で行き交うのを

ただただぼんやりと眺め、

本を読み、

また海と空を眺める。

コレって最高!

 

1、2時間ほどそこでチルっていると、

何だか無性にビールが飲みたくなった。

駅隣のビルの2階にあるカフェに入り、

窓際の席に着いて、

生ビールを一杯飲み、

その間に 「山椒大夫」 を読んでしまった。

 

4時頃、帰宅し

少し居眠りをして、

夕方頃、

夕焼けの姫路の街の景色を眺めながら

自転車を駆って走った。

日が沈むまで、

空が紺青のグラデーションを成すまで、

時間を掛け、

ゆっくりサイクリングをして、

帰宅すると、

薄暗がりの中、

静かに缶ビールを飲んだ。

 

今日は何だかんだで、

良い休日だったな。。。

 

 

 

2007年5月 4日 (金)

アンダーグラウンドの定義

アンダーグラウンドの定義って何なんでしょ?

特に昨今の音楽の世界では、

ジャンルの如何を問わず、

所謂、“アングラ” ってレッテルが付けば、

何でもカッコよく捉えられちゃう、

魔法のキーワードのよう。

メジャーでなく、

売れていないモノ全般を言うのじゃなく、

売れてないけど、

カッコいいモノを総じて “アングラ” と

カテゴライズしているのかな?

まあ、今日は、

そんな表題を持ってきはしたのだけど、

定義なんてここで云々するつもりはありません。

今日紹介するアーティストは、

このシーンで言うところの、

“アングラ” の代表格的な捉えられ方をしているので、

そんな冒頭になってしまいました。

 

というワケで、

今回紹介するのは、

EL-P の新作、

「I'LL SLEEP WHEN YOU'RE DEAD」 です。

200pxiswyd_cover  

 

 

 

 

 

 

 

東の DEFINITIVE JUX 、

西の STONES THROW 、

と並び称される、

米HIP HOP界の二大アンダーグラウンド・レーベル。

両勢力は未だ力の衰えを見せることなく、

長年に渡り、

世界中からの絶賛を欲しいままにしている。

ここ日本での彼らの需要も尚高く、

熱心なリスナー、好きモノ、好事家達の耳を、

長らく満足させ続けてきた。

僕自身はスキルフルなラップをメインにした嗜好者なので、

扱うトピックスのアブストラクトでマニアックな

“アングラ” モノより、

メジャーに流れる傾向が強かったことは否めません。

ただ、

この二つのレーベルについては、

弥が上にも注目せざるを得ない。

彼らを無視できない、

それほどに、

DEFINITIVE JUX と STONES THROW の作品のクオリティーは

次元が高いと言えます。

・・・・・まあ、

今更、僕が言うまでもなく、

周知の事実なのですが。。。

 

それにしても、

久しぶりに EL-P の作品を買いました。

実質、前作から3年が経っているということです。

しかし、

蓋を開けてみると、

3年のブランクなんてまったく感じさせない、

良い意味で、

まったく変わりのない、

変態的な世界観が繰り広げられているのを

こうやって目の当たりにして、

安堵の溜息を漏らしてしまうほどでした。

 

EL-P の創造する、

狂気を孕む音の歪みは、

サイケデリックな緊張感を生み出す短いギターのリフ、

精神を蝕むかのような不協和音を組み合わせて生み出される上モノ、

都会的なせせこましさを描き出すビート、

これらに要約されるでしょう。

②や③はその典型といえます。

OLD SCHOOLを意識した④は

EL-P の作風には珍しいです。

AESOP ROCK をゲストに招いた⑦の

病んだドラム・ラインが流石です。

⑨のメロディアスなラインを使ったループというのも、

EL-P の作風には珍しいと言えるでしょう。

まあ、

それがストレートな楽曲に仕上がっているのか?

というと、

結局そうではないというのも彼の味なのですが。

作品終盤に差し掛かった⑪のイカレ具合なんか、

いかにも彼の本領発揮といったところで、

やはり一筋縄ではいかない、

東のアンダーグラウンド界を一身に背負って立つ、

彼の異才を堪能できます。

非情なN.Y.のブルース的⑬で幕を閉じる本作。

そのどれをとってみても、

昨今のシーンの流行にまったく触れていない、

怖いくらいにオリジナルな世界が描かれていて、

それは言葉を巻き込むようにして吐き出される彼のライムにも、

昨今では珍しい絶滅種的な独特のリリシズムを伺えます。

本当に一癖も二癖もある、

浮世離れしたような作品なので、

慣れないヘッズはアテられちゃうかも。

すごくステキな作品で、

僕自身、おいそれと一気にレビューを書くには

本作は完成度が高すぎました。

アングラ好きはもちろん、

アングラ聴いたことないって人にも

ぜひ勧めたい作品です。

 

オススメ度 7.6

(ラップ:1.6 トラック:1.7 キャラ:1.6 話題性:1.2 構成:1.5) 

 

 

 

2007年5月 3日 (木)

最後の職人

さすがに毎夜、

新譜紹介で更新していると、

この辺りで意気が上がりそうになってしまいます。

が、今日も押し押しながらに更新を試みます。。。

 

今回紹介するのは、

JAY DEE a.k.a. J. DILLA の、

「RUFF DRAFT」 です。

200pxruff_draft  

 

  

 

 

 

(EP盤ジャケ)

200pxruff_draft_rerelease_4  

  

 

 

 

(再発盤ジャケ)

 

 

本作は、

2003年にドロップされた、

JAY DEE 名義でのEP 「RUFF DRUFT」 を、

新たに STONES THROW が

監修しなおして再発されたという作品になる。

JAY DEE が亡くなってもう一年になるのだが、

その間に発表された作品は、

本作で3作目になるということもあり、

実質的な時間以上に、

その存在は近く感じられたりもするから

不思議なものである。

 

作品はの構成は、

2枚組ではあるが、

オリジナル作品とそれのインスト作品であることから、

実質的にココに触れて行くのは、

1枚目のオリジナルの方に留めておく。

そのオリジナルのディスク1にしても、

JAY DEE 作品では御馴染みなのだが、

一曲が3分未満の小品がほとんどなので、

シャウトやSKITを含めても、

全14曲、30分に満たないということで、

ハッキリ言ってしまえば、

それほどガッツリと楽しめるというのではない。

むしろ、本作自体が、

JAY DEE 作品群の中でのSKITにあたるような、

そんな印象を与えられる。

 

とはいうものの、

やはり、稀代のトラック・メイカーとして

一時代を築いた男の作品である。

小品の隅々に、

光り輝くセンスが鏤められていて、

ドラム・ライン、

あるいは、

スネアの一つに至るまで、

彼の彼たる所以でもある個性が

確実にその足跡を残しているのを

聴き取ることができるであろう。

例えば、②の、

硬質のスネアを含むドラムと、

不協和音を束ねるループの妙は、

古き良き時代のサンプリングを至上とする、

彼の流儀がまんまに現れている。

くぐもった音の旨味を抽出したような⑤も、

彼の実験的且つOLD SCHOOLマナーに対する、

先鋭と保守の絶妙のバランス感覚が現れていたりする。

 

昨今のシーンで目に付く、

新進気鋭のトラック・メイカーをして、

“職人的” とは形容し難いところがあるのだが、

JAY DEE はそういった意味で、

第一線で活躍した、

最後の世代の “ビート職人” だった、

と言えるかもしれない。

 

オススメ度 6.6

(ラップ:1.2 トラック:1.4 キャラ:1.3 話題性:1.2 構成:1.5)

 

 

 

2007年5月 2日 (水)

NEW AGE

昨日、今日と、

カレンダー的には平日ということもあって、

結構働かれていた方も多いのでは?

かくいう僕も、

昨日、今日とお仕事でした。

昨日はMAY DAYで、

担当しているフィリピンや香港の会社も

休みだったのですが、

今日は仕事を終えようとする段になって、

急慮、案件が重なって舞い込んだので、

楽しようと考えていた分疲れてしまいました。

明日も午前中、

仕事に出なければならなくなりました。。。

 

 

さて、

今日紹介するのは、

今話題の新人、

MIMS のデビュー作品、

「MUSIC IS MY SAVOR」 です。

200pxmusic_is_my_savior  

 

 

 

 

 

 

 

昨年から、、、

というのではないのだけど、

しかし、昨年から目立って、

新しいタイプのラッパーが出現し始めました。

例えば、

LOOPE FIASCO や、

RAY CASH など。

今回紹介する MIMS も

ラップのスタイルとしては

個人的にこの種にカテゴライズしています。

彼らの共通のスタイルとは何か?

それはラップが弱い点です。

ラップがヘタだとか、

扱っているトピックスが軟弱だとか、

そういうのではありません。

(LOOPE FIASCO はその傾向もありますが)

彼らに共通なのは、

ラップするボーカルが弱いのです。

フロウが軽いとでもいうか。。。

マチズモが全開でノシ回っているこの音楽シーンで、

例えそれが感覚的な点であるとはいえ、

軟弱さはマイナス要因にしか成り得ないのではないか?!

・・・・・

答えは、否です。

彼らはそういった要素をあえて武器にして、

シーンに存在感を示そうとしています。

もちろん、

本日の主役でもある MIMS も、です。

 

新人だけに

あまり情報がなかったので、

本人のサイトのBIOを読んだりしてみたのですが、

まず分かったのは、

ステージ・ネームの “MIMS” は、

本作の表題 「Music Is My Savor」 の

頭文字をとったモノであるということ。

JAMAICA生まれ、

N.Y育ちで、

若い頃に両親を亡くし、

路上生活者になったということ。

それに、DJ、プロデューサーを志して、

この音楽にのめりこみ始めた彼の経歴が、

デビュー作である本作に、

大きな影響を与えている、

ということです。

確かに、

その影響を大きく物語っているのが、

本作をスターダムへと押し上げる

原動力ともなったシングル曲、

③、「THIS IS WHY I'M HOT」 でしょう。

浮遊感のあるスローなテンポのオケの中に、

明ら様にコラージュさせていくクラシック。

特に強烈なフック・アップがあったというでもない彼が、

メジャーとのサインを交わせたとはいえ、

ここまで一気に成功の階段を駆け上がれたというのも、

この曲のスマッシュ・ヒットがあったればこそ。

現に、

本作にクレジットされている大物といえば、

⑧でゲスト参加している BUN B くらいなもの。

あと、見知ったところで、

⑤をプロデュースした TY FYFFE くらいが精々で、

あとは身内で製作を固めている。

新進気鋭の才能が集まった作品らしく、

本作にはそういった意欲的なアグレッシヴさが

溢れ返っています。

それはINTROの①からして、

音の入り方やボーカルの入り方に、

才気溢れる閃きを感じさせますし、

都会的な哀愁を漂わせる⑤での、

OUTKAST 然とした作風を伺わせる辺りにも、

先人の成功のエッセンスを抜かりなく詰め込もうとする、

若さゆえの成功への執着心というものが滲んでいます。

そういえば、

MIMS のフロウは、

OUTKAST の ANDRE にも似た声質を、

近年の JAY-Z に影響を受けたスタイルで、

ビートに絡ませているように聴こえます。

先に挙げた二人ほどには、

まだ老練なスキルはないのですが、

フレッシュな爆発力が本作に漲っていると言えるでしょう。

おもしろいことに、

MIMS を含む、

先に挙げた LOOPE 、RAY らのNEW AGEらの

共通する特徴は、

故郷に密着していない、

“ボーダレス” な作風にも伺えます。

例えば、

MIMS はN.Y.出身なのですが、

本作のほとんどを手がけている身内のプロデューサー・チーム、

THE BLACKOUT MOVEMENT は

MIAMIを拠点に活動していたようですし、

その他に参加しているプロデューサーにしても、

MID WESTやATLANTA出身の人物を起用している。

そして、

中には⑭で、KOBAYASHI なる、

明らかに日系人のプロデューサーのクレジットも見受けられる。

別に日系人を贔屓するワケでもないのだが、

この⑭が実際素晴らしい出来で、

本作内で③に引けをとらない、

裏の目玉となる曲としてプッシュしたいです。

“ボーダレス” と先にも書いたとーり、

DOWN SOUTHからWEST COAST、

もちろんN.Y.も視野に入れた本作の構成は、

できる限り簡略化に努めた MIMS のライムと併さり、

新世代特有の広まり方で、

シーンに幅広く浸透しているようです。

 

本作は間違いなく良作です。

NEW AGEとしてカテゴライズした他の二人、

LOOPE FIASCO も、

RAY CASH も、

それぞれ良いクオリティーで作品を創作していましたが、

本作は中でも頭一つ抜け出た

構成力の高さを伺わせています。

多分、彼らの出自は、

HIP HOPにのめり込んだという点で言えば、

HIP HOP創世から黎明、

隆盛に至る世代のアーティストのそれとは違って、

ブロック・パーティーに端を発するものではなく、

ラジオやレコード、CD、MTV から

多大な影響を受けたものなのではないか?

と想像します。

つまり、日本のHIP HOPファンに

非常に馴染みの近い傾向を湛えているというのが、

僕の考える “NEW AGE” の

カテゴライズの共通点といえます。

 

本作は確かに素晴らしい出来ですが、

ビッグ・ネームのフック・アップのないこの状況での成功は、

彼を一発屋に陥れる危険性を大いに孕んでいます。

次作こそ彼の才能の進化が問われると思います。

 

オススメ度 8.1

(ラップ:1.6 トラック:1.8 キャラ:1.4 話題性:1.7 構成:1.6) 

 

 

 

2007年5月 1日 (火)

MIXなのに正規盤より。。。

連休の中休みではあるのですが、

もちろんというか、

貧乏暇なしの僕は、

今日も明日もお仕事です。

仕事に出掛けてると、

案外、通勤のラッシュがヒドくて、

何も働いているのは僕だけではないのだな。。。と、

当たり前のことながらに感じました。

 

さて、

そんなこんなはともかく、

今日紹介するのは、

MOBB DEEP のフロント・マン、

PRODIGY のMIX作品、

「RETURN OF THE MAC」 です。

200pxreturn_of_the_mac  

 

 

 

 

 

 

 

思えば、

このユニット、MOBB DEEP の経歴も、

波乱万丈ですよね。

決して、

デビューと同時にスターダムに駆け上がった、

というのではない辛苦を

彼らも舐めながらに、

ここまで這い上がってきているのです。

ここで多くを語るまでもなく、

それは彼らに与えられた多くの賞賛と栄光が、

雄弁に物語っているでしょう。

 

G-UNIT と契約を交わしたのが、

彼らにとってプラスに作用したのかどうかはともかく、

明らかに、

G-UNIT からドロップされた彼らの作品は

駄作でした。

作品の評価としても、

セールスとしても、

予想以上に振るわないその結果に、

僕自身、

大いに失望したのを覚えています。

 

本作は、

そんな G-UNIT 色から掛け離れたところで、

LOUD 以降の MOBB DEEP を支えた、

KOCH からドロップされた、

MIX仕立ての作品となっています。

 

その実態は、

PRODIGY 名義の作品ながら、

全曲プロデュースを手掛けた THE ALCHEMIST との、

二人三脚でのユニット作品になります。

MOBB DEEP と ALCHEMIST の関連性は、

今更切っても切れないものなので、

そんなに目新しいモノはないのですが、

しかし、

MOBB DEEP のファンに、

彼らに対し目新しい何かを望む者は少ないと思います。

それは、

G-UNIT にジョインしての彼らの失敗が

全てを物語っているのではないでしょうか?

そういった意味で、

最大規模の KOCH からとは言え、

インディーからドロップされた、

古くからの、

身内とも呼べる ALCHEMIST を配して作成された本作に対し、

身を焦がすような期待感はまったくないものの、

絶対的に信頼の置ける、

期待どーりの MOBB DEEP の在るべき姿を

本作では堪能できるのではないのでしょうか。

 

 

個人的な話をさせてもらえば、

僕はMIX作品には興味ない。

例えそれが “オフィシャル” と銘打たれていても、

所詮はMIX作品。

正規作品との差は、

作品の完成度や、

各楽曲単位での完成度に至るまで、

歴然たる差が出ている。

僕はDJをしないので、

その辺りに興味がいかない分、

逆に楽曲としての完成度や、

ラップの完成度に作品としての重点を置くのだと想います。

そんな僕が、

G-UNIT からドロップされた MOBB DEEP の前作より、

インディーからドロップされた、

MIX作品としての本作の方が、

余程マシだと思えるのだから、

それは前作が悪かったのか、

それとも本作が素晴らしかったのか。。。

まあ、その辺りは置いておいてもだ、

本作は確かに、

古くからの MOBB DEEP ファンにも

満足のいく作品ではないだろうか。

 

例えば、

今時、45回転の声ネタを持ってくる③にしても、

やはりその哀愁の漂い具合は、

MOBB DEEP のイメージに非常に近しい仕上がり具合だし、

SKITである⑤でさえ、

NEW YORKに根ざした讃歌を感じさせ、

ミニマムながらに、

PRODIGY の訴えるトピックスが、

ピンポイントでこちらに伝わってくるというモノ。

多少、仰々しくも、

安っぽい⑧や⑪などは、

MOBB DEEP と ALCHEMIST ならではの、

簡潔な安心感を演出しています。

個人的に、

本作内で一番好きなのは、

ループの中毒性を煽り立てる⑫だ。

古き良き時代の、

ループを大切にした構成が、

楽曲の全面に滲み出ています。

そのワリに、

楽曲としての完成度が低いというのは、

MIX作品ならではのご愛嬌といったところ。

 

一人の、

しかも実力の確かな、

トップ・プロデューサーが、

作品全体を通して、

製作、

監修しただけあって、

作品のまとまり具合は非常に固いです。

それこそ、

方向性の定まっていなかった、

正規版でもある、

G-UNIT としての前作と比較して、

本作の完成度の高さの方が、

数段上と言えるのではないでしょうか。

そういった観点から見ても、

断然、

本作は、

古くからの MOBB DEEP ファンにお勧めです。

 

オススメ度 7.2

(ラップ:1.4 トラック:1.6 キャラ:1.5 話題性:1.0 構成:1.7) 

 

 

 

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