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2007年1月 1日 (月)

新年の一発目は王道で

2007年の記念すべき一発目を飾るのは、

やはり王道中の王道、

NASDEF JAM 移籍後初となる新作、

「HIP HOP IS DEAD」 です。

200pxhiphopisdead1   

 

 

 

 

 

 

 

その題名が話題を呼んでいることもさることながら、

やはりこの話題に触れないワケにはいかないでしょう。

かつてのライバル、JAY-Z との電撃的な和解から、

更に衝撃的な DEF JAM 移籍へと、

正に絵に描いたような計画的な NAS を取り巻く環境の変化。

コレに関して言えば、

今になって振り返ってみると、

NAS は完全に JAY-Z の掌の上で

踊らされているように見えてきます。

もしここまでの筋書きを計画して

NAS とバトルをしていたというなら、

JAY-Z の青写真に今更ながらに感服せずにはいられない。

。。。。。

そんなこんなで古巣の COLUMBIA から

初めて離れて新作を出すことになった NAS だが、

メジャー路線が露骨な DEF JAM カラーとの

相性は如何に?!

というのが、

まず本作の注目点になるであろう。

 

 

結論から言えば、

本作は思った以上にロウな作品で、

その硬派な NAS のイメージは

DEF JAM によって傷付けられることなく

見事にパッケージされている。

もう少し突っ込んだことを言うと、

ハッキリ言って、

先頃カムバックを果たしたもう一人のKING、

つまりレーベルの頭でもある JAY-Z の新作と比べると、

本作の素晴らしさが際立つほどである。

 

JAY-Z の新作と比較するまでもなく、

本作は秀作である。

まず幕開けの①の最初のヴァースに出てくる

“BRRRAT!” の部分の巻き舌からして、

早速に心奪われてしまったのだが、

この時点で、

本作が良作である予感はヒシヒシと伝わってきていた。

その予感は楽曲を聴き進めていく内に

どんどん確信に変わっていく。

まず、何が良いって、

楽曲がそれぞれイカツく色気のないところが良い。

NAS 関連作品ではお馴染みの L.E.S. 制作となる

前述の①を筆頭に、

SCOTT STORCH 制作の③、

先日訃報が届いたばかりの巨星 J.B. をサンプリングした、

鬼のようなイカツさを誇る、

NASSALAAM REMI 連名での制作曲④、

そして最近そこら中でその名を見かける、

BLACK EYED PEAS の首謀者、

WILL. I. AM 制作のゴリゴリなファンクネスがらしくない、

アルバム・タイトル曲となる⑤と、

作品の入り口は非常にロウな構成になっている。

これは DEF JAM 移籍に伴い、

NAS がまたそっち方面に行ってしまうのではないか?

という懸念に対しての挨拶代わりの牽制とも受け取れる。

特に④の J.B. 使いと、

⑤の定番 「APACHE」 使いは、

ベタだが牽制として非常に効果覿面に効いていて、

続く SALAAM REMI WILL. I. AM 連名制作となる、

トびまくったオカルト的雰囲気の⑥や、

本作中、間違いなく一番注目されるであろう

JAY-Z と初めてボーカルの並んだ楽曲となる⑦の

そのオケのあまりの大業さも、

前述の牽制による影響下に収められている。

それにしても、

やはり NASJIGGA の声が並んでいると、

聴き慣れていないので何だか耳がこそばゆい。 

個人的には一番好きな⑧は、

2ND収録の 「THE MESSAGE」 にも似た

哀愁漂うメロディー・ラインが流麗なのだが、

ここで入る妻、KELIS のボーカルは不要なのではないか?!

と非常に残念に思っている。

歌モノのフックなんてなかったらこの曲の印象が

もっともっと向上したであろうに。。。

本当に惜しい、しかし良い楽曲である。

続く⑨は KANYE WEST が制作し、

ゲストとしても参加している。

KANYENAS の共演というのも

これまで考えられなかったのだが、

これも DEF JAM の威光の賜物である。

で、その相性はというと、

それほど特筆して素晴らしいと褒め称えるようなものでは

正直ないのだけれど、

それにしてもこのオケの中毒性は物凄い。

一聴した限りにおいては大した印象も残さないのだが、

繰り返し聴く内に、

そのループとフックの中毒性にいつの間にか耳を奪われている。

このあたり、さすがに KANYE の才気を覗わせる、

非凡なモノを感じさせらる。

作品中でも異色なのは⑪だということが

一聴してお分かりになるだろうが、

このビートの薄い曲を制作したのは、

なんと、PHILADELPHIA で活躍する現役の NBA プレイヤー、

CHRIS WEBBER だ。

楽曲自体の良し悪しは言わずもがなだが、

それにしても、NBA プレイヤーの中で

ラッパーとして作品を出したというのはよく聞く話だが

SHAQA.I.TONY PARKERRON ARTIST など)、

プロデューサーとしてクレジットされたっていうのは初めて聞いた。 

(後で調べたら、“C. WEBB” 名義で作品も出している!) 

ドラム・ラインの特徴的な KANYE 制作の⑫に続いて、

SCOTT STORCH 制作、SNOOP 参加の⑬、

WIIL. I. AM 制作の⑭、

DRE 制作、THE GAME 参加の⑮と、

このあたりの流れは非常に豪華である。

さすがに DEF JAM の威光がチラついて見えなくもないが、

そういう下世話な話を抜きにしても充分にクオリティーが高い。

例えば SNOOP との掛け合いが妙に新鮮な⑬の

楽曲後半に向けてのアガり具合だったり、 

⑭での WILL. I. AM の‘60年代を意識したかのような 

シックなオケだったりは、

なかなか構成的にも面白味がある。

⑮でいえば、DRE の作る楽曲自体は凡庸なのだが、

THE FIRM 以来となる NASDRE の迎合は

なかなかに感慨深く、

しかもそこに自身の作品では見られなかった

THE GAMEDRE との迎合を見出せるというのは、

更に興味深い。

それにしても THE GAME は相当意識しているのか、

その発声から発音、フロウの仕方に関して、

かなり NAS のそれに近いものを感じる。

彼の担当する頭の数ヴァース分は

本当に瓜二つで、聞き分けられないほどである。 

 

アーティストが描き出す創造力、

オリジナリティー、

進化、発展、向上、あるいは停滞、退化、

それらに対して、

水モノのシーンの流行、

さらには、

ファンがアーティスト・イメージに対して求めるもの、

そういった全てが噛み合うというのは

なかなか難しいことなのだが、

ことにこの NAS の場合、

彼の不器用さがダイレクトに反映されるように

これまでの作品に “非クラシック” のレッテルを受けてきた。

それは彼が負ったカルマなのだが、

新たなレーベルへ移籍したことによって、

確かにこれまでになかった NAS の魅力を

本作によって楽しめることが出来る。

そういう意味で、

DEF JAM のパッケージングは間違っていなかったと言えるでしょう。

それも JAY-Z のモノと比べれば数段上手く仕上げられている。

何より NAS の試行錯誤する姿が素直に現れているようでいて、

その部分も含めたパッケージングが好感を持てる。

だが、残念なコトに、

伝説の名作 「ILLMATIC」 に比すほどの

クラシックたらしめない作品であるのもまた事実ではあるが。。。

 

オススメ度 8.6

(ラップ:1.8 トラック:1.7 キャラ:1.7 話題性:1.9 構成:1.5)

 

 

 

 

 

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