無料ブログはココログ

リンク

« 夕立大好き | トップページ | 不意打ちのホリデイ »

2006年7月16日 (日)

利用価値ナシとみなされて・・・

ここ最近、

BUSTA MOBB DEEP の新譜紹介で

“ベテラン・アーティストと

彼らのレーベル移籍問題” について

色々考えさせられたのですが、

今回紹介する作品も

この問題に抵触するモノになります。

先の二組とはまた違った形での

抵触し方ではありますが。。。

 

今回紹介する作品は、

CAM'RON の新作

「KILLA SEASON」 です。

Camkillaseason  

 

 

  

CAM'RON に関しては

このブログでも何回か取り上げましたので、

その紆余曲折、浮き沈みの激しいキャリアについて

改めて説明するまでもないと思います。

現状の ROC-A-FELLA 離脱にまつわる経緯も

ご存知の方が多いのではないでしょうか。

元々、同郷 (N.Y.の HARLEM出身) のよしみで

ROC-A-FELLA 幹部の DAMON DASH に誘われ、

同レーベルと契約に至った CAM としては、

ROC-A-FELLA

DAMON DASHJAY-Z の間で

内部分裂を起こし始めた時点で、

ここに留まる意義を見出せず、

素早く脱退しました。

この脱退は、件の内部分裂の煙が立ち始めたのと

CAM の2ND作の発売時と時期が重なり、

プロモーションに大きく影響したことから

CAM ROC-A-FELLA に対する不信感を

大きく膨らませることに繋がった、

その結果だと思います。

しかし、それ以前、

CAM ROC-A-FELLA 入りする前から、

CAM JAY-Z の確執というものは

チラホラ噂されていたことでもあったので、

CAM が今、それらの憤懣を含めて

激しく怒り狂いながら JAY-Z に牙を剥くのも

当然の流れだと理解できます。

。。。。。

しかしながら、JAY-Z としては、

噛み付く CAM の牙も涼しく受け流し、

相手にしないと決め込んでいます。

それは彼がラッパーとして現役を引退している

(とか言いながら、未だに客演でラップし続けているし、

いつ復活してもおかしくないのだけど)

状態だというのも理由として挙げられるだろうが、

それ以上に、

CAM'RON とのバトルは利用価値がない

とみなしていることがより大きな理由と考えられます。

NASMOBB DEEP を相手に

数々のバトルを繰り広げた JAY-Z にとって、

今更 CAM を相手にしてもネーム・バリューがないと

そう判断したのでしょう。

今回紹介する CAM の新作は

そういった意味で、

JAY-Z へ向けて一方通行的にまくし立てたような

バトルっ気の強い作品に仕上がっています。

 

配給元を ASYLUM RECORDS と結び、

自身の DIPLOMATIC MAN 主体に製作された本作は、

CAM'RON 率いる DIPLOMATS が煽動する音楽性を

そのまま持ち込んだ作りで、

その持ち味となる

“他のアーティストの音楽性とは一線を画す” 風味が

至る所に鏤められています。

今でこそ耳慣れてきた感もありますが、

DIPLOMATS の音の特徴はとにかく奇抜で斬新。

グループ・デビュー当初は、

ド肝を抜かれるようなビート群が

それこそ目白押しでした。

その流れを汲んだ形での本作の構成ですから、

作品の骨子はなかなかしっかりしています。

その屋台骨を支えるプロデューサー陣に

ほぼ無名に近いプロデューサーを多く取り入れているというのが

DIPLOMATS の特徴ですが、

本作でも、

⑦製作の THE ALCHEMIST と、

⑪製作の HEATMAKERZ 以外、

有名どころのプロデューサーはいないです。

しかし、だからといって、

各楽曲のポテンシャルが低いというのではなくて、

それこそグループ特徴の

ヤクザな料理され方がしっかり板についています。

例えば③のように、

倍速で打ち込まれたドラムと

早回し使いのオケを使ったような楽曲も

今となってはそれこそ彼らの定番と化しています。

個人的に好きなのは、

スキマだらけのライミングが味まくりの

前述 THE ALCHEMIST 製作曲⑦や、

唯一グループ外からのラッパー・ゲストとなる

LIL' WAYNE 参加の⑧などは

楽曲構成が興味深い仕上がりです。

LIL’ WAYNE のラップも独特のビート解釈で、

スキマの多いライミングを得意としているので、

彼らの相性は本当によく合っている。

近々、JUELZ SANTANALIL' WAYNE

コラボ作品が発表されるという噂ですが、

そういう点でも⑧は

今から期待を高めてくれる出来映えを見せています。

他にも、

前述 HEATMAKERZ 製作の⑪は、

さすがに音の立ち方が素晴らしい楽曲で、

そのトリッキーな構成力はいかにもフレッシュです。

僕的には、昔のようにもっとガッツリと

DIPSETHEATMAKERZ で組んで

作品を出してもらいたいな。。。

本作中、一番耳を惹かれたのは⑬です。

これもトリッキーな構成が魅力的なのですが、

声ネタとベース・ラインのループ、

それに CAM のフリーキーなラップが

ミニマルに嵌り込んで、

見事な仕上がりを見せています。

 

さすがに目新しさはすでに翳り始めているけれど、

まだまだ最先端のN.Y.サウンドを堪能させてくれる本作。

それだけに各楽曲のクオリティーを楽しみながら、

JAY-Z に毒づく CAM のライムというのも

また一興でしょう。

しかし、厳しい目で見れば、

トータル・パッケージングに関してムラがあり、

目玉となる曲も見当たらないというのが実際のところです。

冒頭でも書いたように、

最近、このブログで触れることとなった

BUSTA RHYMESMOBB DEEP などの

ベテラン・ラッパーのレーベル移籍に伴う

アーティスト・イメージと新体制化でのギャップを

作品の中に露呈してしまう問題は、

ここでは逆説的に CAM'RON にまとわり付きます。

そのパラドックスはつまり、

エスタブリッシュされたかに見える彼のスタイルが

未だ発展途上の段階にあることを指しています。

過去に ROC-A-FELLA で大成功を収め、

完成されたかに見えた CAM のキャリアは、

その実、ROC-A-FELLA

パッケージングの妙によるところが多かったのです。

そういう意味で、

CAM'RON のようなタイプには

本作の配給を担当する ASYLUM のような

自由度の高いレーベルと組むのではなく、

組織全体でガッチリとサポートしてくれるような

ファミリー的なレーベルとの組み合わせの方が

上手く作用するのではないでしょうか。

そういった点から踏まえても、

本作は僕が CAM に期待する及第点には

届いていないと判断しています。

何より、バトルを吹っかけた相手、

その JAY-Z の反応を得られていないことからも、

本作に対する希求心の低さが伺われます。

 

オススメ度 7.2 

(ラップ:1.7 トラック:1.5 キャラ:1.5 話題性:1.4 構成:1.1)

 

« 夕立大好き | トップページ | 不意打ちのホリデイ »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/4428/2667338

この記事へのトラックバック一覧です: 利用価値ナシとみなされて・・・:

« 夕立大好き | トップページ | 不意打ちのホリデイ »

最近のトラックバック

2017年1月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31