無料ブログはココログ

リンク

« 2006年6月 | トップページ | 2006年8月 »

2006年7月30日 (日)

似顔絵を贈る

最近、何だか妙に

絵筆を取りたい衝動に駆られる。

ここ数年、まともに絵を描いてないのだけれど、

学生時代はずっと絵ばかり描いていた。

ノートの隅には

それこそ落書きだらけで、

暇さえあれば音楽を聴きながら絵を描いてたっけ。。。

 

元々、ガサツな性格なので、

それが絵に反映される。

筆圧が強くて、

HBの鉛筆で描いても、

4B並に線が太く濃くなるし、

それに画用紙をすぐに汚してしまう。

我流でやってきたのだけど、

そういうコンプレックスに対しての抵抗感から、

ガサツなものをできるだけ排除して描くよう

心掛けていったら、

線がドンドン細くなってしまった。

   

  

_2_1  

 

 

 

 

 

 

 

 

  

             ↓

  

Photo  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

             ↓

  

_4

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

とうとう輪郭線がなくなってしまった!

(これは高校時代に描いたモノで、

当時ファンだったシンガー・ソング・ライターの

谷村有美 というアーティストをモデルにしています)

・・・・・

そういえば、

L.A.留学時代、

極貧に喘いでいた僕は

周囲にいたたくさんの人達から親切を受けていました。

例えば、「人体実験体験記」 でも書いたように、

在米日系人の諸先輩方に食事をお呼ばれしたり、

語学学校で同じクラスメイトだった

チャイニーズの女性たちに弁当を作ってきてもらったり、

ホームステイ先でルームメイトになった

日本人の女の子に

毎日夕食を作ってもらってご馳走してもらったり、、、

・・・全部食べ物ばっかりやん。

とにかく、

そういった親切に対するお礼として

僕にできることは、

渡米の際に持ち込んでいた

スケッチブックと水彩色鉛筆で

似顔絵を描いて贈ることだけでした。

これは女性だけにしか贈らなかったのですが、

大して上手くない絵でも、

女性からすれば似顔絵を贈られるというのは

非日常的なことなので、

結構好評いただいていました。

こんなところで役立つなんて、

落書きしてた時間も満更捨てたものじゃなかったワケです。

 

・・・・・

 

ともあれ、

久々にスケッチブックを引っ張り出して、

絵でも描こうかなんてゴソゴソやっていたら、

スケッチブックの中から・・・

・・・・・

・・・・

・・・

ヘソクリが二千円出てきました。。。

 

2006年7月29日 (土)

西海岸よ、永遠なれ!

今日紹介するのは、

HIP HOP WEST COAST の復権を

一身に担っている、

SNOOPDAZ KURUPT からなる伝説のユニット、

THA DOGG POUND

復縁第一弾作品、

「CALI IZ ACTIVE」 です。

Simg_t_oh36366abwgi   

 

 

 

 

 

 

THA DOGG POUND

D.P.G. Dogg Pound Gangsta

あるいは、

D.P.G.C Dogg Pound Gangsta Clique 

違いは何だ?

と悩まれてる方に簡単に説明をしておきましょう。

まず、THA DOGG POUND とは

DAZKURUPT そして SNOOP の三人からなる

トリオとしてのユニット名になります。、

続いて、D.P.G. とは、

DAZKURUPT の二人で組んだ

デュオとしてのユニット名になり、

最後の D.P.G.C.

DAZKURUPTSNOOP を中心に、

WARREN GNATE

RBXTRAY DEEE GOLDIE LOC

BAD AZZE-WHITESOOPAFLY 他、

果ては ROSCOE から XZIBIT に至るまで(!)、

ウェッサイ好きには涎モノの名が

ズラ~っと連なる大所帯のユニットの

グループ名がそれにあたります。

ちなみに、

以前、このブログで紹介したのは

D.P.G. 名義での作品 で、

空中分解状態だった彼らが再び結束し合い、

ユニットとしてリユニオンを果たした

第一弾目の復帰作でした。

 

本作の内容を紐解いていくと、

全16曲中、

DAZ がプロダクションを手掛けた曲ってのが

一曲もないってのがまずもって驚きだ。

代わりに BATTLECAT SOOPAFLY

二本柱で奮闘しています。

この二人の名を目にするのは久しぶりで、

何だかとっても懐かしい。

珍しいところでは SWIZZDAVID BANNER

JAZZE PHAE がそれぞれ一曲ずつ参加していますが、

その中でも、

何と言っても SWIZZ 製作の③は

すごく目立っています。

SWIZZ お得意のアッパー系の楽曲に

ゴリ押しでくる DAZ のフックがすごく映えていて、

際立って耳を惹きます。

かつての “ウェッサイ・マナー” を髣髴させる④に続いて、

⑤では異色のゲスト、

BAD BOY の総帥 DIDDY を招いています。

よくよく考えれば、

かつて D.P.G. の所属する DEATH LOW

この DIDDY 率いる BAD BOY

かなりシリアスなビーフを抱えていたのだから、

アレから十年近く経って

このコラボレートを目にすると、

何だか不思議な気分がしてしまいます。

まあ、この曲に関して言えば、

DIDDY のラップのヘタクソさが目立ってしまって、

あまり好ましい結果は生んでいないのだけど。。。

ユルくてイナタい⑨には RBXNATE が参加。 

D.P.G.C. の独特の世界観が見事に展開されています。

続く⑩は個人的には本作中一番注目の曲。

BATTLECAT の作るアグレッシヴなオケに

今となっては珍しい SNOOP の攻撃的なラップが

すごく刺激的でカッコイイ。

DAZ の煽り方がまた素晴らしく、

それに触発される形で

久々に SNOOP のギャングスタ魂に火が付いたカンジ。

流れで曲調の攻撃性を継いだ、

まるで TIMBO 調な⑪は

実は DAVID BANNER 製作による楽曲。

クレバーなカンジでコレもいいゾ。。。

フックでの DAVID BANNER の働き方が

これまた拍手モノでいいです。

⑫でも RBX NATE が再び登場し、

不穏なビート上で小慣れたマイクリレーを展開していく。

続く⑬は MIKE JONES がゲスト参加。

ユル~いビート上での MIKE JONES のラップって

何だか彼がすごく上手く思えてきちゃうから不思議です。

 

とまあ、

ゲストを中心に曲紹介していきましたが、

ここに挙げてない曲も

皆、すこぶる調子良い。

改めて思わされるのは、

やはり DAZ KURUPT のコンビネーションは最強だ!

ってコトで、

そこに SNOOP が加わり醸し出される全体の雰囲気が

本当にたまらない。

これぞ西海岸流儀そのもの。

ただ、彼らの魅力でもあった

“擦り切れるくらい研ぎ澄まされた

圧迫されたギャングスタ・ライフの緊張感”

って空気は、

悲しいかな、

希薄になってしまったというのもやはり事実です。

・・・・・

まあ、コレばかりはしょうがないか。

でも、

作品としては非常にバランスがよく、

全体としてのまとまりや、

各楽曲ごとで見ても品質が高いので、

エンターテイメントとして素晴らしい出来映えだと思います。

西海岸復権を模索する彼ら、

L.A.が再びHIP HOPの中心に

返り咲くことはあるのでしょうか?

彼らのこれからの展開が益々楽しみです。

 

オススメ度 8.3 

(ラップ:1.8 トラック:1.7 キャラ:1.6 話題性:1.5 構成:1.7) 

 

2006年7月26日 (水)

CRUNK の進化

HIP HOPの中でもジャンルの細分化が著しく進む昨今、

偏に “HIP HOP好き” といっても、

その趣味は千差万別。

元々はN.Y.はBRONXのパーティーから発祥し、

“DJ”“ダンサー” が、

後に “MC”

この文化の創生期を築いていったという。

“ライティング” は元来はHIP HOP文化とは別口として

同時期に存在していたようですが、

いつのまにか “HIP HOP四大エレメンツ”

一つに加えて捉えられるようになった、

というのが一つの説です。。。

 

で、まあ今日はそのエレメンツについて書こう、、、

というのではなくて、

そういった細分化されゆくジャンルの中で、

最も僕が興味を抱いている分野、

“MC” の中でも、

“リリシスト” について書こう、、、

というのでも更になくて、

今回書きたいのは、

その “MC” の中でも、

“リリシスト” と対極にある存在、

“CRUNK” のアーティストの

新譜についてのレビューです。。。

 

長~い前置きを経て今回紹介するのは

DA MUZICIANZ のデビューアルバム、

その名も 「DA MUZICIANZ」 です。

Simg_t_oh32920z4z1m  

 

 

 

 

  

 

まず簡単にこの DA MUZICIANZ を説明しておきますと、

このグループは

D-ROCMR.BALL DA BIRTHDAY BOY

三人組からなるユニットで、

グループのリーダーを務める D-ROC

CRUNC の雄、

YING YANG TWINS の片割れの一人であります。

 

僕の大好きな “リリシスト” 系から

一番離れたところにある立ち位置の

南部産 “CRUNK” 系。。。

でも、だからってこのジャンルを

嫌っているってのではなくて、

僕も一応、

有名どころは全部押さえてきています。

でも、、、パっと出の新人には

すごい警戒心が出てしまうってのも事実ですが。。。

それで、この数ヶ月の間に

まあ似たような南部産の新人の作品が

いくつか出てたのですが、

案の定、警戒心を働かせて、

まだ手を出さずに様子見をしている状態であります。

そんな中で、

YING YANG TWINS での実績がある

D-ROC の冠がある本作は、

やはり安心して手が出せました。

・・・しかし、

実際のところ、

安心して購入はしましたが、

それ程期待してなかったというのもまた事実です。

そんな中で、

本作は僕の予想を軽く裏切ってくれる、

なかなかに素晴らしい仕上がりを見せてくれています。

 

まず、全編を通して

各楽曲の粒が立っていて、

捨て曲のないところに好感が持てます。

個人的な感想としては、

YING YANG TWINS としてよりも、

こっちの DA MUZICIANZ としての方が

丁寧に作りこまれているように思え、

その構成は

より王道的なところをついているのではないかと思えます。

楽曲製作には

全14曲中、12曲を

MR. COLLIPARKCHEESY.の二組が担当。

アルバム単体としてのまとまり具合と

その中でバラエティー豊かに展開していく

楽曲の構成力の高さは

何よりこの二組のプロデューサー陣の引き出しの多さと

その技量によるところが大きいと考察されます。

 

①のイントロからして、

何だか他の CRUNK 作品に見られない

豊かな音楽性を感じさせてくれるのですが、

そのあたり、

グループ名 “DA MUZICIANZ” の名に違わぬ

見事な幕開けで

いきなり意表をついてくれています。

③はいかにもなフックで

コール&レスポンスを髣髴させる、

CRUNK 直球の楽曲。

単調な楽曲が多い CRUNK モノにあって、

珍しいまでに音楽性の広がりを見せる⑤は

作品全体を引き締める役割を担っています。

思いっきりトロけそうなくらいメロウな⑥に続く、

アゲアゲで戦闘力滾りまくりな⑦への流れは、

この作品の飽きさせない、

振れ幅の広さを象徴しているでしょう。

YING YANG TWINS の片割れ、

KAINE の参加する⑧に続く⑨は、

全14曲中の残り2曲を担当する

MIDNIGHT BLACK 製作によるモノ。

彼の跳ねるようなビートは特徴的で、

全編を通してしっかりしたアクセントになっています。

フリーキーな⑩、⑪に続く⑫も

MIDNIGHT BLACK の手によるモノで、

早めのBPMに爽やかなウワモノが心地良い。

ラスト曲の⑭は

昨年流行ったウィスパー (囁き) モノと

マイアミ・ベースを足して割ったような楽曲。

キャッチーなので耳にうまく飛び込んできます。

 

先にも書きましたが、

本作は非常に丁寧に作り込まれていて、

しかもバラエティーに富んだ内容なので

最後まで飽きずに楽しむことができます。

CRUNK モノはどうしても

展開が単調になってしまい、

一回通して聴くだけで

お腹一杯になってしまいがちなのですが、

本作はプロダクションが実に映えまくっているので、

それこそ “DA MUZICIANZ” の名に劣らぬ、

音楽的にも飽きさせない作りになっています。

より一般視聴者に拓かれた、

“CRUNK の進化” を肌に感じることのできる作品です。

 

オススメ度 8.0 

(ラップ:1.4 トラック:1.8 キャラ:1.5 話題性:1.5 構成:1.8) 

 

 

2006年7月24日 (月)

“眞鍋を学べ!”とはコレ如何に?!

私事で恐縮ですが、、、

ってか、

いつも私事しか書いてないので、

今更恐縮がっても遅いのだけど、

今回は更に特別個人的な話を書きます。

というのも、

じつは・・・・・

・・・

・・・・・

・・・

なんと昨夜、

念願だった

“累計アクセス数一万件”

ようやく突破したのです!!

ヤッター♪

。。。

というワケで、

コレを記念して、

新たな企画モノを・・・

・・・・・

・・・・

・・・

ウソです。

企画モノはしばらくしません。

企画モノすると文章が長くなって、

結構大変だから。。。

「人体実験体験記」 でしばらく懲りましたから。。。

 

それにしても、、、

昨年の11月末から始めて、

約8ヶ月弱でここまで辿り着くってのが、

一般的に見て

ペースが早いのか遅いのかは分かりませんが、

僕としては

細々とやってきたこの半年あまりを振り返ってみて

多少感慨深いものがあったりします。

。。。。。

このブログのそもそもの始まりを申しますと、、

新譜のレビューやイベントのレポートは、

クルーで作ってたサイト用によく書いてたんですが、

僕としてはもっと気軽に発表できるところはないかな。。。

と漠然と模索していました。

そんな中、出合ったのが

世間で称されるところの

“ブログの女王”

眞鍋かをり さんのブログ

「眞鍋かをりのココだけの話」 でした。

ブロガーとして人気絶頂を極めていた彼女のブログは

実に読み易く、

また、その文章は

非常にウイットに富んだユーモアに溢れていて、

しかも構成力が高いので、

読んでいてすごくオモシロい。

で、まあ、

そんな彼女のブログを定期的にチェックしてて、

そこからブログの作り方なるものを

知るきっかけを得たというのが、

始まりなワケです。

その影響から、 

このブログのフォーマットも 眞鍋 さんに倣う形で、

同じ ココログ を利用することにしました。

他にも、

長文になりがちな僕の文章を

少しでも読み易くするする為、

真鍋 さんのブログをお手本にしていたりします。

彼女のブログは結構長文なのに、

文章の区切り方や改行の仕方、

スペースのとり方などが工夫されていて、

文字が読み易いというのも魅力的です。

 

彼女が出しているフォトエッセイに

「眞鍋を学べ!」 というのがあるようですが、

479663427401_2  

 

 

 

 

 

僕の場合、

眞鍋  学べ!”

といったカンジでした。。。

・・・・・

お粗末!!

 

 

ちなみに、

こんなにも “眞鍋かをり”

プッシュして書いているのですが、

実はそんなに熱心なファンじゃない・・・

このコトは秘密にしておいください。

   

 

 

 

 

2006年7月23日 (日)

おフランスざんす。。。

今日は

最近僕がハマってるモノについて書こうと思います。

僕がこの二、三ヶ月の間、

ハマりだしたのは フランス文学 です。

。。。。。

なんて書くと、

なんだかインテリっぽく聞こえてカッコイイかな?

まあ、実際のところはかじり始めたばかりで、

その題材について

専門的にどうこう言う程の知識も教養も

全然ないんですケド。。。

 

学生時代、

スタンダール「赤と黒」 や、

詩人 ボードレール「悪の華」

アルチュール・ランボー の詩集など、

フランス文学に触れる機会があったのですが、

特に スタンダール の作品に見られる

その冗長な文体と妄執的なテーマが気に入らず、

これがフランス文学か。。。と慄然としてしまいました。

なんてオモシロく ないんだ・・・!!!

 

まあ、偏にフランス人作家の作品全てを

“フランス文学” の一つで括ってしまい、

それを以って毛嫌いする理由としていた

そのこと自体、大きな過失ではあるんですけど。。。

でも、そのテの作品って宗教色が強いし、

冗長な描写がハナについて、

どうしても好きになれなかったんですね。 

同じような理由から、

ドイツ文学もあまり好きじゃないのだけど、

更にクソ長ったらしい文章が特徴となる

ロシア文学は何故か大好きなんです。

その辺りの自分の中での基準が

自身でもあまりよくわかっていないのですが、

とにかくフランス文学に対して、

その失望をこの十年間程引き摺り続け、

そのテの作品は最近まで完全に遠退けていました。

。。。。。

それが、、、

数ヶ月前に カミュ の作品を読んで

イメージが変わってきました。

(厳密には、カミュ はフランス領アルジェリア人作家ですが。。。)

カミュ「異邦人」「ペスト」

読んで楽しんでいたのですが、

その内に、

“もしかすると、

これまで毛嫌いして遠避けていたフランス文学は、

ただの食わず嫌いだっただけで、

実際はメチャクチャオモシロいのではないだろうか?”

なんて考えるようになりだし、

それで最近、

そのテの作品を読み出したというワケです。。。

 

最近読んだのは

ジッド「背徳者」

ロマン・ロラン「ジャン・クリストフ」

今は エミール・ゾラ「居酒屋」 を読んでいます。

Dsck0010_2    

 

 

 

 

 

 

本当にオモシロいかどうかで言えば、

正直、全部が全部、オモシロいというのは

まあありえないとして、、、

まあ、でもそれなりに楽しみながら読めています。

その冗長な文章も

こうやって楽しめるようになったというのは、

僕が十年分歳を取って、

その間に培われた文章に対する耐久性が

増したっていう証拠なのかな・・・???

 

 

2006年7月22日 (土)

4 MC's + 2 DJ's - 1 DJ 。。。

最近 “新譜紹介” と称して

一ヶ月も二ヶ月も前にドロップされた作品を

ここに書いていることに

少々心苦しい気もしないではない。

なので、今回はちょっと意気込んで、

三日前に買ったばかりの

ドロップしたてホヤホヤの新譜から紹介したいと思います。

 

というワケで、

タイトルから推察された方は

もうお分かりですね?

今回紹介するのは

JURASSIC 5

四年振りとなる新作、

「FEEDBACK」 です。

B000g6bl7y01  

 

 

  

まず本作について述べる際に、

どうしても触れなくてはならないのが

メンバーDJの一人、

CUT CHEMIST のグループ脱退についてです。

今回のブログのタイトルにも書いたように、

JURASSIC 5 = 4 MC's & 2 DJ's” という

このメンバー構成が

まず何よりも彼らの魅力でした。

これはつまり、

HIP HOP 黎明期における

パーティー・スタイルを正統的に継承した

グループ構成になります。

どうしてもMC主導でメディアに取り上げられる

昨今の米HIP HOPシーンにおいて、

彼ら、JURASSIC 5 の目指す

HIP HOP原点回帰的な活動が

注目を集めるのは必然的ですが、

その期待にたがわぬ

メンバー各人のスキルの高さも

このグループの人気の高さに繋がっています。

中でも注目されていたのが

DJ の CUT CHEMIST でした。

超絶的なDJスキルを駆使しての

実験的なサウンド・プロダクションで知られる

CUT CHEMIST のソロ作品に対して、

しばらく前からシーンの注目が集まっていたのですが、

それに対して彼の出した答というのが、

“グループとして活動を続けていく上で

ソロ作品の製作と両立させることはできない” という

思いがけないグループ脱退の決断と、

そして本作と時期を同じくして発表された

ファースト・ソロ・アルバム

「THE AUDIENCE'S LISTENING」 でした。

Chemistalbumcover5ol  

 

 

 

このニュースはファンにとって

複雑な心境だったのではないでしょうか?

“確かに CUT CHEMIST

ガッツリ作りこまれたソロ作品は聴きたい。。。

しかし、彼がメンバーを抜けるのは辛い。。。”

 

とにかく、

前作から四年、、

その間、CUT CHEMIST の脱退を経ての

JURASSIC 5 待望の三作目が

この 「FEEDBACK」 になります。

当然、本作には

一切 CUT CHEMIST は参加しておりません。

。。。。。

 

で、そういったバック・グラウンドを含めた上で、

本作はどんなカンジやねんな?

と探り探りで傾聴していくと、、、

何の心配するコトはない。

いつもの彼らの作品に通ずる

安定したクオリティーの高さが感じられます。

ライブが売りの彼らにとって、

躍動感溢れる楽曲のダイナミズムも

損なわれることなく漲っていますし、

実際、ライブで映えそうな曲がギッシリ詰まっています。

CUT CHEMIST の抜けた穴を

残った DJ NU-MARK

獅子奮迅の活躍を持って購っています。

全15曲中、9曲が

NU-MARK の手によるモノなのですが

(①、⑤、⑦、⑧、⑩、⑪、⑫、⑬、⑮) 、

それらのミニマルなプロダクションが

実に冴えに冴えまくっている。

特に、

いかにも J 5 らしい楽曲の⑤や、

軽妙なループの素晴らしい⑩や⑬は、

楽曲の構成が実にタイトで、

それこそサンプリングの妙味を充分に堪能できます。

フックに MOS DEF が参加した

フリーキーな印象の強い⑧もまとまり方が素晴らしい。

そんな NU-MARK 製作曲の中でも

特に異彩を放っているのが⑦と⑮です。

先行カットとなる⑦は、

DAVE MATTHEWS BAND との共演による楽曲なのだが、

オルタナティヴなオケが

JURASSIC 5 としては目新しいハズなのに、

MC陣のラップが妙にハマっています。

そして、更に異色なのが⑮!

これはインスト曲になるのだが、

ボサノバのギターとピアノをオケにした

爽やかな楽曲で、

聴き応え充分です。

他にも、

NU-MARK 以外の外部プロデューサーによる曲でいえば、

SALAAMREMI が②、⑨、⑭の三曲、

SCOTT STORCHBEAN ONE

EXILE がそれぞれ一曲を担当。

確かに、彼ら外部プロデューサーによる楽曲は

そのどれも J 5

これまでの路線にはなかったような楽曲ばかりで、

少し面食らってしまった感じもしないではない。

特に SCOTT STORCH の手掛ける③は

そのキャッチーさがメジャー・シーン寄りな楽曲で、

アルバム全体からしても浮いてしまっているのだけれど、

仕上がりが良いので嫌味になっていないのは

さすが、今勢いのある SCOTT STORCH の仕事だ、

と逆に感心してしまう。

BEAN ONE 製作の④も

CURTIS MAYFIELD の声ネタを使った

キャッチーな楽曲なのだが、

4 MC'sの落ち着いた語り口によるラップが

よく映えた作りになっていて、

これも嫌味のない仕上がりになっている。

EXILE の作る⑥で聴ける

CHALI 2NA の早口ラップが

レアなカンジがしてオモシロイなあ。

実力派の SALAAMREMI もやはり

どちらかといえばメジャー・シーン寄りな楽曲になるのだが、

OLD SCHOOLライクな②、

MARVIN GAYE の声ネタをスパイスにした⑨、

そして、穏健で伸びやかなオケが特徴的な⑭と、

J 5にとって新展開を想像させるような、

そんな楽曲を送り込んでいる。

 

総じて、

新機軸を展開しつつ、

且つ、全編を通しての一貫したスタイル保持を

可能たらしめているのは、

何より彼らの

HIP HOPに対する愛情、

HIP HOPとの距離、

HIP HOPの概念が

明確に打ち立てられているからだ。

CUT CHEMIST が抜けた影響からか、

スクラッチやターンテーブリストの技みたいなモノを

少し物足りなく感じるところもあったが、

作品としてのまとまりと重厚感、

それにパーティーやLIVEがしっかり詰まった点から見ても、

本作は前二作に劣らぬ力作だと言えます。

僕は彼らのコトを

“HIP HOPの良心を継ぐ最後のグループ”

だと思っているが、

本作はそれをキッチリ証明してくれている。

 

オススメ度 8.2 

(ラップ:1.5 トラック:1.8 キャラ:1.6 話題性:1.5 構成:1.8) 

 

 

ちなみに、

CUT CHEMIST は完全脱退というのではないらしいので、

いつか復帰する可能性もあるようです。

そうあったらいいな。。。

ぜひ、そうあるべきだな。。。

 

2006年7月20日 (木)

怒れる10時10分の男

今日紹介する新譜は、

タイトルにもあるように、

かつて “10時10分の眉を持つ男” として

西海岸及び、全米を席巻した

怒れる代弁者、

ICE CUBE の新作、

「LAUGH NOW , CRY LATER」 です。

Laughnow  

 

 

 

ICE CUBE のソロ作品として8作目にあたる本作は、

前作から6年の期間を経てのドロップとなりました。

映画俳優としての彼の活躍を見ていると、

この6年間という時の経過も

そんなに長くブランクを感じさせないですね。

(合間に WESTSIDE CONNECTION としての作品も

ドロップしているし、、、)

 

シリーズものとして発表された

前々作と前作 「WAR & PEACE - VOL. 1, 2 - 」

個人的には消化不良なカンジで

あまり楽しめなかったのですが、

その辺り、

やはり俳優業に勤しんでいる CUBE

片手間な雰囲気が感じられなくもない。。。

とかなんとか勝手に分析していたのですが、

さて、

今作はどんなカンジやろかいな?

僕としては、

CUBE や、

彼と同じく俳優業に勤しんでいる L.L. COOL J の作品は

今更ながらにどうしても色眼鏡で見てしまうのです。。。

さあ、どんなカンジ?!

  

というワケで、

いきなり疑り深く耳をそばだてて

作品を傾聴していったのですが、

結論から言って、この作品、

なかなか良いです。

どこが良いって、

まずそれぞれの楽曲のプロダクションが粒立っていて、

単純にカッコイイ。

それに、作品としてのまとまりもしっかりしている。

前作、前々作に見られたような

飽和した雰囲気はまったく見られません。 

粒立った各楽曲は

それぞれに方向性の違うベクトルが

伸びやかに備わっているのですが、

それが乱雑に混在するのではなくて

バランスをとって共存して

本作のテーマをしっかり構築しています。

楽曲単位で感想を述べていくと、

まず、和モノのオケがエキセントリックな③が

いきなり強く耳を惹きます。

CUBE のラップは粘りつくような声質と

語尾を引っ張るようなライミングが特徴的なので、

こういったアブストラクトな楽曲との相性が

非常に良いです。

チープなループが妙に耳障りの良い⑦も

CUBE のラップがよく映えていてカッコイイ。

続く、アルバム・タイトルを冠する⑧のループも

飄々としていて、

派手さは全然ないのだけど、

そのタイトさが無性に心に染み入ります。

⑩は LIL JON 製作楽曲に

彼と SNOOP が参加した、

本作の中でもハイライトとなる曲です。

LIL JON の作る攻撃的なプロダクションが

CUBE の攻撃性を引き立てていて、

その相性の良さを見事に反映させています。

それにしてもこの曲、

すごく完成度が高い。

さすが LIL JON 仕事といったところか。。。

この曲が作品全体のイメージに及ぼす影響力の強さが

その完成度の高さからも伺えると思います。

続く、GREEN LANTERN 製作の⑪も、

これまたカッコイイ出来映え。

ストイックなオケが

CUBE の良い意味での“負”の面を引き立てていて、

それが屈託なく伸びやかに

アルバムを掘り下げています。

GREEN LANTERN といえば

“元 EMINEM のライブDJ” として知られていますが、

離脱して逆にシーンの色んなところで

その活躍が見られるようになっていますね。

今回のこの仕事からも、

彼の今後の活躍が期待されます。

都会的な情景を叙情味タップリに描いた

ドラマティックな展開の楽しめる⑬に続く、

ドラスティックなオケの⑭は

EMILE なるプロデューサー製作によるものです。

この EMILE

先程紹介した⑦のプロデュースも手掛けているのですが、

他にも最近ドロップされたアーティストの新譜内に

その名を見かけており、

今、個人的に大注目している

新進気鋭の若手プロデューサーの一人です。

⑰の製作は SCOTT STORCH によるもので、

さすがにその実力の安定した仕事をしています。

 

総評としては、

HOLLYWOOD然とした

いささか劇画的に過ぎるトータル・パッケージも、

各楽曲のクオリティーの高さを考えれば、

許容範囲内として収めることができます。

濃厚なストリート色はその分褪せてしまいますが、

綿密に紡ぎ出された作品として

完成度の非常に高いエンターテイメントを

堪能することができ、

それ程期待していなかっただけに、

僕個人としては本作を事の他高く評価しています。

コアな ICE CUBE ファンには

物足りないかもしれませんが、

その分、HIP HOP 初心者達にぜひお勧めしたい作品です。

 

オススメ度 8.0 

(ラップ:1.4 トラック:1.7 キャラ:1.6 話題性:1.5 構成:1.8)

  

 

2006年7月19日 (水)

新譜の調達

今日は午前中に仕事を済ませて、

昼前からゆっくり

TOWER RECORDS に行ってきました。

一ヶ月ぶりのタワレコで、

お目当ての新譜を三枚、

それにDVDを二枚買ってきました。

良い買い物ができたと大満足で帰宅し、

三時頃、

遅めの昼食と共にまた酒をあおってしまった。。。

最近飲んでばかりいます。

夕方にはスッカリ酔いも醒めてしまってたので、

またこれから飲み直すことにします。

 

ちなみに、

買った新譜三枚は、

JURASSIC 5RHYMEFEST 、それに THE DOGG POUND

DVD は、

WU のプロモ集日本のMCバトルのライブ盤 です。

追ってレビューを書きますのでお楽しみに!

 

 

Highball_lm  

  

  

 

 

 

 

写真は、特に意味はないのですが、

最近僕がよく愛飲している

宝酒造の焼酎ハイボール をアップしてみました。

ものすごくドライで、喉越しが良く、l

甘味が控えてあるので様々な料理にも合わせやすい。

しかもビールどころか、

味にクセのあるいわゆる“第三のビール” より安価で、

もう良いコト尽くめです。

この夏のマスト・アイテムです。。。

四種あるラインアップも、

今のところこの写真のレモン味と、

グレープフルーツ味しか飲んだことはありませんが、、、

今日、初めてシークァーサ味を買ってきたので、

今夜のお楽しみにしてます。

 

 

2006年7月17日 (月)

不意打ちのホリデイ

皆さん、大変です!

祝日 “海の日”

いつの間にか7月17日になってマス!!

つまり今日はお休みだったってコト。

・・・えっ?知ってる?

うそ、、、マジで?

“海の日” って毎年21日じゃなかったっけ?

。。。。。

今日が祝日だなんてまったく知らなかったから、

仕事の準備をバッチリして構えていました。

午前9時を回った辺りまで

今日が休日だってコトにまったく気付かなかったのです。

その間、金融関連のサイトが

先週末の金曜の終値をアップしたまま変動してなかったので、

どうしたものか?!としばらく焦っておりました。

今日は朝3時頃、目を覚ましてしまい、

そこから飲んでいたので、

時間の感覚が麻痺してしまって

もしかして午前と午後の時間を取り違えているのだろうか?

と本気で慌ててしまった始末です。。。

祝日を知らない、、、

こういったところに

世間からズレた自分の感覚を痛感してしまいます。

イタいなあ。。。

(更には、午前3時に起きた時点で飲み始めるってのも

相当イタいんですケド。。。)

 

皆さんはそんな混乱なく今日一日を過ごせましたか?

 

  

結局、その後、

“な~んだ、今日も休日なら

堂々と酒を飲めるじゃないか!”

と思い立ち、

そのまま飲み続けています。

なんだか急に おでん が食べたくなったので

買出しに行ってきたのですが、

この時期に おでん はないやろ、、、

ってコトだかどうだかは知らないが、

どのスーパーにも おでんセット は置いてなかった。。。

仕方ないので 焼きぎょうさ をアテに飲みました。

 

めでたし、めでたし・・・ 

 

2006年7月16日 (日)

利用価値ナシとみなされて・・・

ここ最近、

BUSTA MOBB DEEP の新譜紹介で

“ベテラン・アーティストと

彼らのレーベル移籍問題” について

色々考えさせられたのですが、

今回紹介する作品も

この問題に抵触するモノになります。

先の二組とはまた違った形での

抵触し方ではありますが。。。

 

今回紹介する作品は、

CAM'RON の新作

「KILLA SEASON」 です。

Camkillaseason  

 

 

  

CAM'RON に関しては

このブログでも何回か取り上げましたので、

その紆余曲折、浮き沈みの激しいキャリアについて

改めて説明するまでもないと思います。

現状の ROC-A-FELLA 離脱にまつわる経緯も

ご存知の方が多いのではないでしょうか。

元々、同郷 (N.Y.の HARLEM出身) のよしみで

ROC-A-FELLA 幹部の DAMON DASH に誘われ、

同レーベルと契約に至った CAM としては、

ROC-A-FELLA

DAMON DASHJAY-Z の間で

内部分裂を起こし始めた時点で、

ここに留まる意義を見出せず、

素早く脱退しました。

この脱退は、件の内部分裂の煙が立ち始めたのと

CAM の2ND作の発売時と時期が重なり、

プロモーションに大きく影響したことから

CAM ROC-A-FELLA に対する不信感を

大きく膨らませることに繋がった、

その結果だと思います。

しかし、それ以前、

CAM ROC-A-FELLA 入りする前から、

CAM JAY-Z の確執というものは

チラホラ噂されていたことでもあったので、

CAM が今、それらの憤懣を含めて

激しく怒り狂いながら JAY-Z に牙を剥くのも

当然の流れだと理解できます。

。。。。。

しかしながら、JAY-Z としては、

噛み付く CAM の牙も涼しく受け流し、

相手にしないと決め込んでいます。

それは彼がラッパーとして現役を引退している

(とか言いながら、未だに客演でラップし続けているし、

いつ復活してもおかしくないのだけど)

状態だというのも理由として挙げられるだろうが、

それ以上に、

CAM'RON とのバトルは利用価値がない

とみなしていることがより大きな理由と考えられます。

NASMOBB DEEP を相手に

数々のバトルを繰り広げた JAY-Z にとって、

今更 CAM を相手にしてもネーム・バリューがないと

そう判断したのでしょう。

今回紹介する CAM の新作は

そういった意味で、

JAY-Z へ向けて一方通行的にまくし立てたような

バトルっ気の強い作品に仕上がっています。

 

配給元を ASYLUM RECORDS と結び、

自身の DIPLOMATIC MAN 主体に製作された本作は、

CAM'RON 率いる DIPLOMATS が煽動する音楽性を

そのまま持ち込んだ作りで、

その持ち味となる

“他のアーティストの音楽性とは一線を画す” 風味が

至る所に鏤められています。

今でこそ耳慣れてきた感もありますが、

DIPLOMATS の音の特徴はとにかく奇抜で斬新。

グループ・デビュー当初は、

ド肝を抜かれるようなビート群が

それこそ目白押しでした。

その流れを汲んだ形での本作の構成ですから、

作品の骨子はなかなかしっかりしています。

その屋台骨を支えるプロデューサー陣に

ほぼ無名に近いプロデューサーを多く取り入れているというのが

DIPLOMATS の特徴ですが、

本作でも、

⑦製作の THE ALCHEMIST と、

⑪製作の HEATMAKERZ 以外、

有名どころのプロデューサーはいないです。

しかし、だからといって、

各楽曲のポテンシャルが低いというのではなくて、

それこそグループ特徴の

ヤクザな料理され方がしっかり板についています。

例えば③のように、

倍速で打ち込まれたドラムと

早回し使いのオケを使ったような楽曲も

今となってはそれこそ彼らの定番と化しています。

個人的に好きなのは、

スキマだらけのライミングが味まくりの

前述 THE ALCHEMIST 製作曲⑦や、

唯一グループ外からのラッパー・ゲストとなる

LIL' WAYNE 参加の⑧などは

楽曲構成が興味深い仕上がりです。

LIL’ WAYNE のラップも独特のビート解釈で、

スキマの多いライミングを得意としているので、

彼らの相性は本当によく合っている。

近々、JUELZ SANTANALIL' WAYNE

コラボ作品が発表されるという噂ですが、

そういう点でも⑧は

今から期待を高めてくれる出来映えを見せています。

他にも、

前述 HEATMAKERZ 製作の⑪は、

さすがに音の立ち方が素晴らしい楽曲で、

そのトリッキーな構成力はいかにもフレッシュです。

僕的には、昔のようにもっとガッツリと

DIPSETHEATMAKERZ で組んで

作品を出してもらいたいな。。。

本作中、一番耳を惹かれたのは⑬です。

これもトリッキーな構成が魅力的なのですが、

声ネタとベース・ラインのループ、

それに CAM のフリーキーなラップが

ミニマルに嵌り込んで、

見事な仕上がりを見せています。

 

さすがに目新しさはすでに翳り始めているけれど、

まだまだ最先端のN.Y.サウンドを堪能させてくれる本作。

それだけに各楽曲のクオリティーを楽しみながら、

JAY-Z に毒づく CAM のライムというのも

また一興でしょう。

しかし、厳しい目で見れば、

トータル・パッケージングに関してムラがあり、

目玉となる曲も見当たらないというのが実際のところです。

冒頭でも書いたように、

最近、このブログで触れることとなった

BUSTA RHYMESMOBB DEEP などの

ベテラン・ラッパーのレーベル移籍に伴う

アーティスト・イメージと新体制化でのギャップを

作品の中に露呈してしまう問題は、

ここでは逆説的に CAM'RON にまとわり付きます。

そのパラドックスはつまり、

エスタブリッシュされたかに見える彼のスタイルが

未だ発展途上の段階にあることを指しています。

過去に ROC-A-FELLA で大成功を収め、

完成されたかに見えた CAM のキャリアは、

その実、ROC-A-FELLA

パッケージングの妙によるところが多かったのです。

そういう意味で、

CAM'RON のようなタイプには

本作の配給を担当する ASYLUM のような

自由度の高いレーベルと組むのではなく、

組織全体でガッチリとサポートしてくれるような

ファミリー的なレーベルとの組み合わせの方が

上手く作用するのではないでしょうか。

そういった点から踏まえても、

本作は僕が CAM に期待する及第点には

届いていないと判断しています。

何より、バトルを吹っかけた相手、

その JAY-Z の反応を得られていないことからも、

本作に対する希求心の低さが伺われます。

 

オススメ度 7.2 

(ラップ:1.7 トラック:1.5 キャラ:1.5 話題性:1.4 構成:1.1)

 

2006年7月14日 (金)

夕立大好き

今日の昼過ぎ、

兵庫県南西部では久しぶりの夕立に見舞われました。

今日の夕立は、

地熱のこもり始めた時間帯を狙い済ましたかのような

絶好のタイミングでやってきて、

気温を一気に下げてくれるという、

正に大活躍の夕立でした。

それだけでもありがたいのですが、

更には結構なも伴ってくれて、

僕的には大興奮の午後となりました。

 

自分のコトながら

何故かはよくわからないのですが、

ものすご~く夕立が好きです。

特に

上空を切り裂かんばかりに稲光が走って、

地響きする程デカい音を鳴らすような

を伴った夕立が大好きです。

どれくらい好きかというと、、、、

 

夕立を鑑賞しながら

酒を浴びるほど飲むくらいスキ!

 

・・・・・

ハイ、

今日も仕事を放っぽり出して、

昼から飲んでました。。。

ダメな大人です。

Img006_4     

 

 

 

 

 

 

辺り一帯を激しく打ち付ける雨音と、

地底に封じられていたケルベロスのごとき魔物の

まるでうなり声のように響く雷音、

そして重く垂れ込めた黒雲と

それをいたるところで切り裂く雷光に、

心弾ませながら飲む酒が

これまたよく進む。

。。。。。

でも、

今日の夕立は規模からすれば

ちょっと小さかったな。

時間にして一時間くらい

は鳴り続けていましたが、

あまり近くで鳴っていなかったのか、

雷音の迫力が弱かった。

得てして、夕立は大抵通り雨なので、

その滞在時間が短いものなのですが、

個人的に、

酒のアテとしているモノですから、

やはりせめて一時間以上は鑑賞していたい。

 

今年もいよいよこのシーズンに入ってきたのですが、

もっとデカくて激しい夕立

この夏来てほしいです。。。

07   

 

 

 

 

 

 

ちなみに、

夕立の他にも、

台風などが大好物です。

(不謹慎な物言いでゴメンナサイ!)

あと、

出合ったことないけど

竜巻にも興味津々。

いつかアメリカの

アリゾナとかミネソタとかミズーリ辺りでも行って、

竜巻をこの目で間近に見てみたいです。

(それこそ不謹慎ですが!)

 

 

※写真は今日の夕立模様のモノではありません。

 

2006年7月13日 (木)

これでいいのか、MOBB DEEP ?!

いきなりの否定的なタイトルでも分かるように、

今回紹介する新譜は、

御覧のとーり、

大いに話題を呼んだ G-UNIT 移籍第一弾となる

MOBB DEEP の新作、

「BLOOD MONEY」 です。

B000emgagw01  

 

 

 

ゴシップについてはともかく、

このブログではできる限り作品のクオリティーに重点を置いて

作品の批評を書いていこうと思います。

 

従来の  MOBB DEEP の作品において、

これまで彼らの根幹となしてきたカラーは

地元N.Y.はQUEENSに根付く、

“他のアーティストと交わることのない

唯一無二の世界観”

を描き切ったところにあると思われます。

これは、

今はなきレーベル LOUD にて

同時期、二枚看板を張っていた

WU-TANG CLAN にも当てはまるコトなのですが、

コレこそが彼らの廃れることのない

魅力の源泉でもあります。

彼らについた古くからのファンは

決して彼らから離れることはありません。

。。。。。

しかし、

常に時代の流れの中に漂う水物のシーンにおいて、

それだけでは充分なプロップスは得られないという

そういったジレンマがあるってコトもまた事実で、

特にレーベルから突き付けられる

セールス面でのアレやコレやってのは、

シーンの一時期を築いた古株たちなんかには

今となっては大きな問題となっているのでしょう。

(まあ、これはあくまで僕の予想でしかないんですけど。。。)

 

先程も書いたように、

今回は否定的なタイトルで

このブログを書き進めてきましたが、

本作自体は実際のところ

そんなに悪い出来ではないと思います。

HAVOC の作り出す楽曲は

全16曲中、6曲のみにとどまりますが

(①、③、④、⑤、⑧、⑭)、

世間が騒いでいる程には

その音の世界観は変わっていません。

それに、MOBB DEEP の音楽性と

G-UNIT のそれとの距離が

元々そんなに遠いモノではないことから

(これは MOBB DEEPG-UNIT50 CENT の地元、

N.Y.はQUEENSという土地柄が産み出した

独特のカラーなのでしょう)、

他のプロデューサー陣のプロダクションも

それ程違和感なく

MOBB DEEP の二人と溶け込んでいます。

ただ、これだけまとまりを感じさせる本作も、

だからといって MOBB DEEP の存在価値を高める程に

優れた作品であるとは決して言い難い。

それは何故か?

例えそのアーティスト・カラーが似通っているとはいえ、

本作はあくまで、

MOBB DEEPG-UNIT 側のマナーに添う形で

製作された作品だからです。

独特の個性を放ち続けていたからこそ、

新しいプロップスは得られなくとも、

シーンに確固たる地位を築くことのできた彼らならば、

他との迎合、協調、中和は

そもそもの彼らの魅力の根幹を損ないかねない

由々しき事態でもあるのではないでしょうか?

そういう観点から言っても、

本作にはオモシロミがないのです。

  

シングル・カットされた、

G-UNIT お抱えの SHA MONEY XL の作る

②はまだ何とか許せたとしても、

FREDWRECK の作る⑮はナシでしょ。。。

今作中、最も MOBB DEEP らしい曲は

HAVOC の作った⑤でした。

う~む、さすがにこんな曲ばかりじゃ

クラブで掛けられたモンじゃないだろうけど。。。

 

これでいいのか、MOBB DEEP ?!

このままじゃ、

皆に “SELL OUT” 呼ばわりされ続けちゃうぜ。

せっかく G-UNIT から出すってので、

ちょっと綺麗にまとめ上げ過ぎです。

もっと突き抜けた、

あるいは彼ら流に地下深くにこもった

そういう独特のクセのあるモノを聴かせて欲しい。。。

 

オススメ度 7.4 

(ラップ:1.3 トラック:1.5 キャラ:1.3 話題性:1.8 構成:1.5)

 

 

2006年7月10日 (月)

燃え尽きた一ヶ月間

テメエで何をしたってワケでもないのだけれど、

この数ヶ月以上に及ぶスポーツ観戦月間も、

昨日のウィンブルドン・テニスの男子決勝と、

今朝方のW杯決勝 をもって、

とうとう幕を下ろしました。

それこそ、

四月半ば頃からのNBAのプレイ・オフから始まり、

今朝方まで、

これ程テレビに噛り付いていた事は

ついぞなかった。

僕がテレビを見るのは、

件のスポーツ中継以外、

上方の漫才賞レースと

深夜にやってる四流五流の映画くらいなので、

ここまで生活に密接した形で

テレビと付き合うというのは初めてのことでした。

特に、今年はNHKが頑張ってくれて、

総合とBSでW杯の全試合を生中継してくれたから、

毎日朝までテレビの前に噛り付きっぱなしでした。

W杯の予選、決勝を含めて、

全64試合中、

約半分以上をリアル・タイムで観戦し、

ある意味、選手達以上にクタクタな毎日を過ごしていました。

それも今日で終わりかと思うと、、、

やはり寂しいですね。

20060710_2077_450_4 

  

 

 

 

 

今年の夏には

バスケットボールの世界選手権

日本で開催されるので、

それまでテレビはちょっと休憩です。

 

2006年7月 9日 (日)

BUSTA × DRE = ???

久しぶりの新譜紹介で、

何とか調子を取り戻したいと思います。

 

今日、紹介するのは

AFTERMATH に移籍して第一段目となる

BUSTA RHYMES の新作、

「THE BIG BANG」です。

7065595  

 

 

 

本作の注目点は一つ、

これまで強烈な個性を発揮し続けていた BUSTA

DRE 率いる AFTERMATH のサポートを得て、

いかに変容するか?

それに尽きると思う。

 

BUSTA といえば、

そのキャラクター性だけが一人歩きしていた状態の彼にとって、

作品、及びセールスに対する評価というものは

すこぶる低かった。

それはシーンが抱く彼に対するアーティスト・イメージと

彼の作品群に溢れる混沌めいた終末論の影や、

悲観論的なアナーキズムとの間に

ギャップを感じずにはいられなかったという

要因があったからだろう。

ELECTRAJ RECORDS と渡り歩た彼のソロ作品群は

僕個人の評価としては決して低いモノではなかったのだが、

世間の評価として、

これまでそれらの作品で

プラチナム・セールス(百万枚)に届くところが

精々だったというのは、

“BUSTA RHYMES” というネーム・バリューから考えても、

少し低評価に過ぎると

改めて思わずにはいられない。

今回の AFTERMATH への移籍は、

そんな状況を打破すべくとった

最終的な手段だったのではないかと僕は予想している。

 

そういった点に注目した形で

本作を傾聴していくと、

まず極論的な物言いになってしまうが、

この作品の傾向はド頭の①から⑤まで、

この5曲の並びで全てが物語られているかのように思える。

つまり、

BUSTA × DRE = ①、②、③、④、⑤”

ってコトだ。

この五曲分をまず解説していくと、

アルバムの幕開けとなる①は

いきなり DRE が製作に絡んだという楽曲に

ゲストで Q-TIP が参加しているという

豪華な顔ぶれがまず目に付く。

しかし、そのインパクトとは裏腹に、

楽曲中の神経に引っ掛かるような高音のウワモノが

彼のコレまでの諸作品に違わない

エキセントリックでアブストラクトな音楽性を

際立てているかのように耳を惹く。

これこそ BUSTA の真骨頂と呼べる作風なのだが、

DRE もそのことは充分承知していたのだろう。

続く②は SWIZZ BEATZ の製作楽曲で、

シングルとして切られている。

音数が少なく、空間的にスカスカの楽曲なのだが、

非常にインパクトの強い作りになっていて、

SWIZZ の潜在能力の高さを

改めて感心せずにはいられない。

③は DRE が単独で製作にあたった楽曲で、

曲調としては①に続く破綻したアナーキズムを

強く漂わせている。

ここでの BUSTA の低く抑えられたラップが

更に曲間の不協和音を高めているのだが、

ゲストで参加する MISSY の物憂げな声で呟くフックが

ポイント的に作用して、

破滅的なこの楽曲の曲調に救いをもたらしているという点で、

①の Q-TIP と同様の役割を果たしている。

フックとしてはどちらもそれ程には強くないのだけど、

コレは引き篭もりがちな BUSTA の内世界に

外的な光を当てるという意味で、

アルバム全体に強い影響を与えているように思える。

④は DJ SCRATCH 製作、

ゲストに SWIZZ が参加する

アルバム中でも異彩を放つ楽曲。

実は、僕がこのアルバムの中で

一番耳を惹かれたのがこの④だった。

ここにきてようやくのメジャー・コードの曲調に

アゲアゲの SWIZZ のフックと

たたみかける BUSTA のラップが

心地良い疾走感を産み出している。

⑤はこの作品の中でも目玉となる楽曲で、

ゲストに参加する STEVIE WONDER の名前が

一際目立って輝いている。

製作は SHA MONEY XL

G-UNIT 関連の作品他、

今や引っ張りだこの売れっ子プロデューサーが作る楽曲は、

多少安っぽいセンチメンタリズムを煽る、

それこそ G-UNIT モノによくありそうなオケなのだが、

フックの STEVIE の歌声が

この楽曲だけでなく、作品全体をしっかり引き締めている、

正にハイライトとなる楽曲である。

STEVIE WONDER の琴線に触れるような

唯一無二の歌声が

BUSTA のラップと絡まり産み出すそのハーモニーは、

話題性だけに留まらないクオリティーを構築させている。

 

と、ここまでこのアルバムを集約させたような

ド頭から五曲分について解説してきたが、

残りの楽曲について個人的な感想を

更に述べさせてもらえば、

前述①、②、③、④、⑤を超えるインパクトを放つ楽曲は

他には見ない気がする。

J. DILLA 製作、Q-TIP 参加の⑧や、

ERICK SERMON 製作、RAEKWON 参加の⑨、

TIMBO 製作の⑬など、

小味の利いた楽曲が光っていて、

作品の脇をタイトに引き締めている。

しかしそれらに強烈な BUSTA の個性が宿っているのか?

というと、そう言い切れない押しの弱さを感じてしまうのだ。

更に言えば、

RICK JAMES のボーカルが

あまり活かされきっていない⑥、

ムリヤリ捩じ込んだような印象がぬぐえない

WILL. I. AM.KELIS の参加楽曲⑩、

NAS の登場が完全に場違いな⑪、

D-12 のメンバー KON ARTIS a.k.a. MR. PPORTER

(昔は DENAUN POTER とも名乗っていた) が作る

凡庸の域を脱しきれない⑫など、

これらの楽曲の内には BUSTA の魅力となる

キャラクターのダイナミズムがスッカリ削がれてしまっている。

得てして、

DRE のトータル・プロデュースにより

作品全体がタイトにまとめ上げられている為、

BUSTA のラップそのものがその統制化で

ミニマルに過ぎるきらいがあるのがどうしても気に掛かる。

これが本作にもたらされた功罪の一つなのか?

それともあるいは、

BUSTA が歳を重ねて丸くなってしまった結果なのか?

 

最近の風潮として、

DRE を頼り

AFTERMATH へ移籍する

(脱退はしたが、RAKIM や、

次作が噂されている WU-TANG など) 、

あるいは、

50 CENTG-UNIT へ移籍する

MOBB DEEPM.O.P. 、MA$E など)

ベテラン・ラッパーが多いのだが、

それが果たして全て良い結果に繋がるとは

到底考えられない。

BUSTA のこの新作にしても

彼の望んだような反響が得られたとは思えないのだが。。。

 

BUSTA RHYMES に僕が期待する音楽は

この作品の前半五曲に集約されており、

全体の感想としては、

大きな期待をかけていたその反動で

多少、消化不良に思えるところが大きい。

確かに、

クオリティーは高いのだけれど。。。

 

オススメ度 8.3 

(ラップ:1.5 トラック:1.7 キャラ:1.6 話題性:1.8 構成:1.7)

 

ちなみに、

このブログでいつもコメントしてくださっている

HOSSY さんの日記 の中にも

同じ BUSTA の新作のレビューがあるので、

そちらの方も参照してみられてはいかがでしょうか?

  

 

2006年7月 7日 (金)

ようやく

一ヶ月がかりで

ようやく 「人体実験体験記」 を完結させることができました。

このブログの本来の主旨から外れた企画モノを

ここまで引っ張ってしまったのは、

僕の構成力があまりに拙いからだと反省しています。

それにしても、

400字詰めの原稿用紙に換算して

約150枚分弱 という文字数は、

ちょっとした短編小説並みになってしまった。

読者の方々はきっと読むのダルかったでしょうね。

最後には意地になって書き付けていたけど、

途中で投げ出すクセのある僕としては

とりあえず完結させれて良かったです。

 

さて気を取り直して、

今回から、、、と言いたいところですが、

次回から本筋に戻して、

新譜の紹介を行っていきたいと思いますので、

HIP HOPファンの読者の方々は

楽しみにお待ちください。

(新譜とかいいながら、

実は購入してもう一ヶ月近く経っているのだけれど・・・)

 

2006年7月 6日 (木)

人体実験体験記 -Vol.16-

   16

 最後のモーニング・チェック、バイト代の支払い、及び僕の人体実験モニターのアルバイトの完結に向けるべく、引き続き日記より抜粋し、このレポートの最終章とする。

430日(水)

 モーニング・チェックに行く。定例どーりの診察、朝食を与えられ薬の服用をし、帰路につくことになるのだが、今回、少し目新しい体験をした。それは帰路につく際のコトなのだが、いつも送迎してくれる中年の黒人男性ドライバーが、僕とペアを組む中年日系人男性を家に送る途中、僕達の他にも乗り合わせで送迎しないといけないので、今日はいつものルートから外れるというのだ。異論なく車のフロント・シートに身を沈める。

 車が向かった先は、僕達が二度の監禁実験を体験した、DOWN TOWNの西外れの八、九階建てになる病院だった。何でも、僕達が被験する糖尿病の新薬とはまた別の新薬開発プロジェクトが行われていて、その新薬のモニタリングが僕たちの場合と同様に行われているという。その別プロジェクトのモニター患者を一緒にピックするというのだった。

車内で待ってろというのでおとなしく待っていると、黒人ドライバーはビルの中に入っていった。しばらくして彼は二人の若い白人男性を連れて車に戻ってきた。後部座席に乗り込むその二人の様子が少しおかしい気がした。言葉を少し交わしてみると、言葉のドモリ具合が激しい。何の薬の実験をやってるのかたずねてみた。医学的な用語を英語で言われたので完全には理解できなかったが、雰囲気としては、“鬱病患者をアゲアゲにする”薬、つまり抗鬱剤の類であるらしかった。

何でも、この実験のモニターに選ばれる枠としては、“白人男性で、強度の躁鬱症を抱え、しかも自殺癖がある者”を対象としているらしい。嘘か本当か、真偽の程は知らないが。

そういう話を聴いていると、“糖尿病用の新薬なんて甘っちょろい!”と思わずにはいられなかった。もちろんだが、僕としては躁鬱病患者のアメリカ人と話すのは初めてだったので、色々驚嘆することが多かった。

 彼らを送って僕が帰宅すると、もう正午に近い時刻だった。住所がDOWN TOWNの東に位置するとあって、僕はいつも送りが一番最後に回されるのだ。帰宅してから昼食も摂らずに急いで家を出る。昼から、昨日、友人のアツシにもらっていたフリー・パスを使うべく、UNIVERSAL STUDIOへデートに行く予定だったのだ。

 デート相手の女の子をピックしてUNIVERSAL CITYへ向かう。彼女は同じ語学学校のクラス・メイトで、黒髪の美しい中国人の女の子だった。中国名は発音が難しいので、JENNIFERと名乗っていた。彼女は日本に五年程留学していたので、日本語もペラペラだった。僕達は大抵、拙い英語を使っていつも会話していたが、疲れると日本語に移行した。

 この十年以上、遊園地系テーマ・パークとは無縁の生活を送っていたのだが、それこそテレビで見たことあるようなアトラクションを目の前にすると少し興奮してしまう。この日が平日ということもあって、園内の人影は少なめなようだった。おかげで長蛇の列に並ぶというのもなく、スムーズにアトラクションを楽しめたのが良かった。有名なアトラクションはほぼ全部回れたと思う。お化け屋敷的なMUMMYというアトラクションでJENNIFERはあまりに怖がりすぎて、最後には腰を抜かしてへたり込んでいた。天気が良く、いかにも行楽に向いた日和だった。園内の売店でハンバーガーを買って食い、夕方まで遊んで回った。フリー・パスだったので、かかったお金は駐車場代の八ドルとハンバーガー代くらいで済んでしまった。安上がりなデートだ。

 さすがに五時間以上歩き回っていたのでスッカリ疲れきっていた。彼女を家に送って帰宅すると、夜も早い時間からすぐに眠り込んでしまった。

51日(木)

 昼まで学校へ行き、帰宅すると夕方まで昼寝する。お気楽な生活だ。夕方起き出し、友人宅へ向かう。知人がTORRANCEにてトランスのイベントを催すというので行ってみた。早い時間に行ったので、客数が少ない。トランスはどうも専門外なので踊ることはおろか、ビートにものれない。小一時間してNORWALKの方へ移動し、在米エイジアン系のプロモーター集団の手掛けるイベントに顔を出した。こちらも客数は少なかったが、やはりHIP HOPなのでガンガンに楽しめる。人影まばらなDJブースの前で一人ノリまくって踊っていると、メキシカンの女の子がやってきて、一緒に踊ろうと誘われた。鼻血が出そうな程、エロい腰つきで密着されて踊った。参ったね。一時間程してまた移動。SANTA MONICAの方へ行ってみた。行きつけのクラブでは、今夜はサルサ・ナイトだという。エントランス・フィーが無料だったので入って、いつもとは違うゆったりしフロアの雰囲気を楽しんだ。三件のイベントをハシゴしたが、まったく金を使わなかった。貧乏な僕の懐に優しい夜だった。

52日(金)

 最後のモーニング・チェック日。つまりこの一ヶ月に渡って続いた新薬の人体実験も今日で終了し、晴れてバイト代が手に入るのだ(とはいうものの、半額分は先払いで既に受け取ってはいたのだが)。それにも増して、何かと拘束されるこの被験者の生活から開放されるというのは、いかにも心が晴れやかになった。

 この日は最終日なので、定例の診察はあったが、薬の服用はなく、したがって、いつも出されていた朝食もない。あとはバイト代のチェックを受け取るだけで、ごく簡単にコトが済んだ。これでもう、このクリニックに来ることは二度とあるまい!

 帰りの車の中、ドライバーから、「病院の看護婦の一人から、貸したCD-Rを返して欲しい、と伝言を頼まれたのだが。。。」と話し掛けられ、ある意味驚いてしまった。たががCD-Rくらい、いくらでもコピーできそうなものを、わざわざ返してくれだなんて!しかし、当然悪いのは僕の方なので、もちろん返さないワケにはいかない。家に到着すると、ドライバーに少し待っててと言って急いで室内に駆け込み、CD-Rの持ち主である黒人の看護婦に謝罪の手紙を簡単に書きなぐった。その手紙と、お詫びに友人からもらったMIX CDを看護婦のCD-Rに加えてドライバーに渡した。看護婦にゴメンねって伝えといて、とドライバーに伝言を託し、車を離れ、自室にまた戻った。

こうして僕の人体実験体験は幕を閉じることになるのだが、ここで少し後日談を。

 モニター終了から一ヶ月程経ったある日、電話がかかってきた。何と、病院から話があるという。何だろう?といぶかしんでいると、新しい新薬開発のプロジェクトがあるのだが、もう一度モニターをしてみないか?とのコトだった。何の種類の薬だ?と問うと、新種のインフルエンザに対する予防薬だということだったが、さすがにコレは怖いので辞退しておいた。どう考えても、インフルエンザは怖いでしょ?!ウィルス関連はドン引きしちゃうよ。

 兎にも角にも糖尿病用の新薬が僕の体の中に持ち込まれてしまったのだ。果たして、この新薬のいかなる作用が、将来に僕の体内に現れたか否かは依然分からないままだが、まあそれもよかろうと思う。もしかすると薬がメチャクチャ効いていて、僕は元来自身の体内に抱えていた糖尿病の気を撃退してしまっているのかもしれないし、あわよくば、僕はこれから先、二度と糖尿病を患うことはないのかもしれない。はたまた薬の副作用が今も僕の体の組織を犯し続けているかもしれないし、あるいは僕の余命幾ばくとも知れない状況であってもおかしくない(否、やっぱおかしいかな?)。

 まあそんなこんなで、こうやって想像膨らませるだけでもファンタジーがあって、しかも、不味いながらも食事付きで、更にお金まで貰えるんだから、なかなかおもしろい体験じゃないかな。

 退屈なL.A.の日常生活に飽きたヤカラどもに、人体実験体験お勧めしよう!

 

 

     

 

 

 

 

このレポートを、僕のL.A.での貧乏生活を

惜しみなくサポートしてくださった

ヒロさんヒロミさんご夫妻

アツシタミコさん夫妻

アミさん

シンさん

ミノルさん

プロモーター・クルーの皆

そして

今もストラグルし続けている在米日系人の皆に捧げたい。

 

PEACE & ONE LOVE

 

 

2006年7月 5日 (水)

人体実験体験記 -Vol.15-

   15

 引き続き、日記より抜粋して書く。

426日(土)

 昼頃目を覚ます。いつものようにアテもなく近所のTOWER RECORDSに入って新譜をチェックしたり、雑誌を立ち読みする。三時頃にWEST L.A.の友人宅に向かい、SANTA MONICAの服屋で行うインストア・ライブの準備を手伝う。

 SANTA MONICAPROMENADEに近いそのショップは、観光客もよく通る絶好のシチュエーションに店を構える。店内はいかにも拓けて明るく、西海岸特有のラフな、感じ良い雰囲気で満たされている。

 そこで気軽なDJのインストア・ライブを行うのだが、僕の方は夕方から予定があったので、とりあえず準備の手伝いだけしに行ったのだった。車に積んだターンテーブルやミキサー、コード類に、クレイツを一杯詰めたレコード・バッグ、更にはDJブースの土台となるテーブルまで持参で店内に運び込む。ある程度セッティングして、音出しが終わったところを、頃合いを見計らって僕は店を出た。今夜は別の友人が、BEVERLY HILLSの方でラウンジ・パーティーをするというのだが、こちらの方も辞退した。

 そうまでしての用事とは何だったのか?実は、ご近所に住むヒロさんヒロミさん宅で行われるバーベキュー・パーティーに招待されていたのである。

 夕方六時過ぎ、10Fwyから60Fwyへと継いで車を東に駆り、ご夫妻宅へ向かう。さすがに手ぶらで伺うのは悪いので、スーパーに寄って缶ビールを一箱買い、それを持ち込んだ。

 他の客より早めに到着し、何やかやと準備を手伝う。普段、ご夫妻にはお世話になっているので、こういう時に働いて、少しでも役に立ちたいと思う。七時頃にはゲストが続々と集まり、バーベキュー・パーティーが始まった。

総勢ニ、三十人くらいが集まってのパーティーだった。客層はその九割がこの地で働く日系人で、会話も日本語が主立っていた。こちらで暮らす日系人はこよなく日本を愛している人達ばかりなのだが、このパーティーの中でも至る所に母国への愛情が滲み出ている会話を耳にすることができた。

人が入れ代わり、立ち代わりして、バーベキューやドリンクに舌鼓を打つ。実に美味いモノばかり並んでいる。ヒロさんお手製のタレに漬け込んだ手羽先、ビーフにポーク、それにサンマまで、普段の僕の食生活からすれば考えられないようなご馳走を一時に口にできるのだ。野菜も瑞々しくて美味い。暑い中、汗をかきながら飲むビールがこれまた美味かった。まるで竜宮城に迷い込んだかのような気分になる。

二時間程、外でバーベキューを楽しみ、それからは屋内へ移動し、酒を飲みながら歓談を楽しむ。僕は、遅れてパーティに参加された姉貴分のアミさんと二人で話していたのだが、彼女の仕事の話などを聴いて感銘を受けていた。彼女は航空会社で働く、いかにもバリバリ仕事をこなしている風な女性なのだが、そこにつきまとうストレスはやはり相当なものらしい。しかし、そのストレスを打ち破る彼女の仕事への情熱とそのバイタリティーに改めて目を見張るものを感じた。

徐々に客が減っていき、深夜、最後まで残っていた客は僕やアミさんを含めて四人になった。深夜の二時半に解散したのだが、帰り際、ヒロさんにシャツとパンツ何着も戴いてしまった。涙が出る程嬉しかった。しかし、長身で足の長いヒロさんのパンツを、そのまま背の低い僕が履くと、ただでさえ短足な僕の見た目が更に際立って、後で皆に涙が出る程笑われるのだけど。

427日(日)

 昨日は大いに楽しんだので、この日は節制し、酒も飲まないようにした。気付けばいつも飲んだくれてるので、少しは自重しないとなあ・・・なんてなコトを考えつつも、どうせ僕のコトだから、三日と経たない内にまた飲んだくれてるのだろうな、と容易に予想できる。そういう点で、僕の脳はニワトリと同じレベルなのだ。三歩歩いたら全部忘れるのだ。

 とにかく、この日一日は飲まないでいた。家でのんびり寛いで、音楽を聴きながら本を読んで過ごした。

428日(月)

 モーニング・チェックに出掛け、その後、学校にも出る。そういえば、毎回、モーニング・チェックの際に持ち帰らされる実験用の新薬は、僕は家では飲まずに捨てていたのだが、病院側にはデーター的にバレてないのだろうか?僕のデーターが必ずフィード・バックされてこの糖尿病の新薬が開発され、やがて世間に販売されるハズなのだから、そう考えると、将来この糖尿病用の薬を服用する人達に申し訳なく思えてきたりする。コレを読んだ皆様の中で、将来、糖尿病にかかった人はくれぐれもその薬に注意してくださいね!とはいっても、どう注意すればいいのかわからんが。。。

 余談だが、薬についてもう一つ。僕とペアになったもう一人の被験者の話。監禁検査やモーニング・チェックは二人一組でモニタリングされるってのは以前にも書いたと思うが、僕とペアになった、いかにもシケたホテル住まいがよく似合いそうな中年の日系人が、もうそろそろ終わりを迎えるこの新薬の実験モニターに関して、この朝の病院帰りの車の中ですごいことを言った。

「この薬、実験が終わってからももうちょっと飲み続けたいんだよね。。。病院に頼んだら余分に分けてもらえるかな?

・・・・・参りました!しかし、よくもまあこんな得体の知れん薬を欲しがるもんだ。すげぇよ、オッサン。さすが五十代前後の齢で、アメリカの地で無職で暮らしてることだけのコトはあるよ。

429日(火)

 今日はモーニング・チェックがないハズなのに、朝早くに送迎のドライバーからの電話で起こされた。今日はないハズだ、と言っても聞き入れない。頑固な親父だ。病院に確認を取れと電話を促すと、朝早いので留守電になってしまう。とにかく、ドライバーはどうしても送迎しないといけないのだと言ってきかないので、仕方なく車に乗せられてBEVERLY HILLSのクリニックへ連れて行かれる。LITTLE TOKYOの片隅のシケたホテル住まいの僕のペアとなる中年日系人も、僕と同じく電話でたたき起こされ、半ば強引に連れ出される。

で、病院に着いてみると、案の定、今日のモーニング・チェックはないですよ、と言い渡される始末。オイ、ドライバー!ありえへんやろ!腹が立ったので、帰宅してから病院の担当者に電話して、今日の被害を話して、この日の分のバイト代も追加で払えと掛け合ってやった。さすがにこの要求は通らなかったが、それにしてもくだらない他人の勘違いで、僕の貴重な朝の時間を損ない、気分も台無しになった。

 昼からはプロモーターの営業のアポを入れていたので、急いでDOWN TOWNに向かう。友人と一緒にFIGUEROA ST.沿いにあるネット・カフェに行き、そこのオーナーにイベント協賛の営業をかけた。直接的な話には結び付かなかったが、また別の方向で話が膨らむかもしれない手応えはあった。

 その後、大学時代からの親友のアツシのところを尋ねる。彼からUNIVERSAL STUDIOフリー・パスを二人分もらう。このパス、期日が明日の四月三十日で切れてしまうとのコトで、それで都合のつかない彼から譲ってもらうことになったのだ。さて、二人分のパスなので、誰か誘わないと。さすがに一人では行きたいとは思わないし。。。

 それからアツシと一緒に彼の家の近くに住むミノルさん宅に伺い、そこで男三人で適当にメシを食い、ビールを飲みながらNBAのプレイ・オフのLAKERSWOLVESの試合を観戦した。

今日は平日なので夜も早めに切り上げて帰宅すると、早速、明日のUNIVERSAL STUDIOへのデートの相手を探すべく電話を手に取った。ウィーク・デイの昼間で暇を持て余しているというと、やはり語学学校の生徒辺りが妥当なところだろう。というワケで、以前、語学学校で同じクラスだったチャイニーズの女の子を誘って行くことになった。

 

 

 

つづく・・・

 

  

2006年7月 4日 (火)

人体実験体験記 -Vol.14-

   14

 前回時と同様、監禁実験後からの二週間に及ぶモーニング・チェックと、そのインターバル中の僕を取り巻く日常生活を、日記より抜粋して書き記しておく。

422日(火)

 さすがに同じ過ちを繰り返す程、僕はどうやら愚かではなかったようで、昨夜は飲酒を控えておいた。前回の監禁実験を解かれ、帰宅した夜に思いっきり飲酒し、その明け方にヒドイ目にあったのだったが、そういった肉体的に迫る理解不能の恐怖に対して、僕の精神はそれ程タフではなかった。

 そういえば、昨日、監禁を解かれる間際まで、どうしようかと迷っていた借り物のR. KELLYCD-Rは、気付けば家に持って帰ってしまっていた。パクるつもりはなかったのだが、ついつい返しそびれてしまったのだ。どうせこんなモノ、僕にとっては何の役にも立たないのだから、これは意図的にパクったのではないのだけど。。。(なんてなコトをいうと、R.KELLYファンの女性方に叱られるかもしれないが)しかしながら、こうやってこのCD-Rを手元に置いていると、不可抗力だったとはいえ、結果的にパクってしまったという罪悪感も覚えないではない。なので、もうしばらくして生活が落ち付いた時にでも、このCD-Rを日本にいる後輩の女の子に送ってあげよう。ヒドい話ではあるが。

さて、この日は朝から学校へ行き、昼までしっかり勉強をして帰宅する。といっても、まだ教科書が揃っていないのだけど。というワケで、USEDの教科書を売ってもらうべく、同じ学校に通う知人宅に伺った。その知人は四十代の日本人女性なのだが、在宅されていた旦那さんと一緒に話が弾んで、そこで何故か昼食をご馳走してもらうことになってしまった。初めて伺った先で、しかも旦那さんの方とは初対面だったにも関わらず、ついつい長居してしまう僕の神経の図太さに改めて気付かされた。元々人見知りが激しく、初対面の人に対しての僕の遠慮は結構慎み深かったハズなのに!やはり現在の環境にアジャストしているってコトなのだろうか?

その夜、友人がLITTLE TOKYOのバーでギグを行うというので行ってきた。前回、服屋のイベントが行われ、ついでに僕のバースデイ・パーティーを催した同じバーである。とても小さなギグで、客数はバンドマンの数が同じくらいしか入っていない。友人を批評するのもアレだが、レベル的にも大して見栄えしない演奏だった。

僕は財布に三ドルしか入れてなかったので、バーテンダーに「これで飲める酒を出してくれ」と有り金全部出してオーダーしてみた。 ウィスキーは好きかい?」とバーテンダーが尋ねてきたので、「もちろん」と答えると、銘柄は判らないがスコッチ・ウィスキーのストレートをダブルで注いでくれた。「サービスだ。飲みな」ぶっきらぼう差し出してくれたロック・グラスに彼の人情味が溢れているのを感じた。これだから酒は止められない。

盛り上がりに欠ける演奏を聴きながらウィスキーを舐めるようにチビチビと飲み、深夜になる前に、「また来るよ」とバーテンダーに声を掛け、店を出た。

423日(水)

 学校が終わってから午後の早い時間、ずっと一人で飲んだくれて酔っ払っていた。夕方頃にはスッカリ出来上がっていて、あとは堕ちる一方ってトコロだったんだけど、そこで電話が鳴って引き止められる。ご近所に住むヒロミさんからで、夕食のお誘いだった。「今夜はトンカツよ」との言葉に、酔っ払っていた僕も思わず興奮してしまった。

 トンカツ・・・それはもう半年以上口にしていない、当時の僕にとっては魅力溢れる高級料理に属する。(チャイニーズ・レストランで似たようなモノは食っていたが、やはり日本人としては、定番のソースと白米で食うことをどうしても夢見てしまう)そんな食事にありつけるなんて、酔っ払ってなくても舞い上がってしまう。その時はしこたま酔っ払ってたから、更に舞い上がってしまった。

 その期待に違わぬ大変美味しい食事だった。憧れのトンカツはジューシーで、柔らかい肉が口の中でほどけていく。それがソースと相俟って、白米を食べる箸の動きをドンドン加速させていった。付き合わせには大根の味噌汁。これが更に日本食への憧憬を煽っていく。実は、トンカツ以上に感動してしまったのは大根の味噌汁の方で、それは僕の貧乏性を大いに反映しているのかもしれないが、後々、そのトンカツの食感などを思い出そうとすると、かえってその味噌汁の中の大根の食感や、合わせ味噌の深い味わいの方が強く口の中に想起されてしまうのであった。

 ともあれ、家族の一員のようにしていつも僕の面倒を見てくださるヒロさんヒロミさんごに対して、感謝の念が絶えない。

424日(木)

 モーニング・チェックに出掛け、帰宅すると学校へ向かう。大学生の頃、ほとんど授業にも出ないで遊び呆けていた僕としては、たかだか語学学校の授業であってさえも、こうやって毎日出席しているってコト自体に、自身の価値観の大きな変化を見て取れる。

 夜、NORWALK辺りで行われる在米エイジアンのプロモーターが主催するイベントに出掛けてみた。比較的に新しくでかいモールの中にある、夜九時まではスシ・バーとして経営されている店でそのパーティーは行われるのだが、店内は中箱規模で、フロアが横に長く広がっている。入り口を基点にしてフロアは左右に分かれているのだが、左右両方にそれぞれDJブースが設置されていて、それ程離れていない所で違ったグルーヴが産み出されているのが面白かった。

行列ができたエントランスを脇目に、中のプロモーターからV.I.P.扱いで招き入れられる。パンパンに詰まったフロアの客層はその八割がエイジアンで、後の二割はメキシカン系だった。女性客が多く、密着して踊れるのが楽しい。

僕は特にこの在米エイジアン系の主催するイベントが好きで、よく通ってたのだが、そのイベントに集まるエイジアン系の女の子の質の高さとエロさが何よりまず気に入っていた。僕はフロアでは、好きな楽曲がかかるとガンガンにアゲて、エキセントリックに踊りまくるだが、それが目立ってよく女の子たちから一緒に踊ろうと誘われたものだ。その際の腰を擦り付け、腕や足を絡ませてくるようなエロさでいうなら、やはりエイジアン系の女の子のエロさは群を抜いていた。

それに加えて、在米エイジアン系のHIP HOPコミュニティーの中ではDJのレベルが非常に高い。西海岸アンダーグラウンド界の雄、DILATED PEOPLESで知られるDJBABUの所属するDJ集団、BEAT JUNKIES直系のイベントなので、そのテクニックに疎い僕でさえも、彼らが目の前で引き起こすターンテーブリズムのマジックの凄まじさには酔いしれる程であった。

とにかくこの夜も、テクニカルなDJ達と、キュートな女の子達で、大変素晴らしい時間を過ごせた。

425日(金)

 学校は休み。ゆっくり朝寝坊できた。昼頃に目を覚まし、寝覚めからウォッカを啜り始める。空腹の胃にの中で燃え上がるようにしてウォッカが流れ込む。ロック・グラス一杯に注いだストレートを数時間かけて五、六杯飲み干すと、夕方にはすっかり出来上がっていた。

 夕食を摂って、夜が更けてからSANTA MONICAの方に出掛けてみる。MAIN ST.に建ち並ぶバーに当て所なく入ってみる。こういったバーではクラブ・イベントというのではないのだが、店内にはDJブースが設置されていて、猫の額ほどの狭いフロアで踊ることができる。エントランス料が要らないというのも魅力である。中は酔っ払い達でギッシリと詰まっていて、皆でギュウギュウになって押し合いへし合いしながら踊るのである。客層は六割が白人系で、残りの四割が黒人系。エイジアン系は僕も含めて片手で数える程だ。財布にはCORONA一本分飲むだけの金しか入ってなかったので、とりあえず一本飲み、しばらく踊ってから、同じ通りにある同じようなバーにハシゴして、そこでは酒も飲まず(飲めず)に踊ってきた。

深夜過ぎに帰宅し、テレビを見ているとROC-A-FELLAの作った映画がやっていたので、朝まで観ていた。どうしようもないヒドい映画だった。

 

 

 

つづく・・・ 

 

 

2006年7月 3日 (月)

人体実験体験記 -Vol.13-

   13

 第二回監禁実験二日目。

 前回と同様、朝の六時に起こされる。今回こそは注射を失敗してくれるな!と祈りつつ左腕を差し出したが、案の定失敗しやがる。もう、ホンマにありえへんし!

左腕で二度失敗し、今回も結局、右腕を犠牲にすることになってしまう。ここまでくればもう、ナース達の注射の技量が低いことを呪うべきなのか、あるいは僕の腕の肉のブ厚いことを呪うべきなのか、判らなくなってくる。とにかくこれで今日一日、また利き腕を制約されることになるのだが、これは大変に気の滅入る枷となるのだった。

 この時期のL.A.では珍しく朝から空模様が優れない。膜が張ったように薄い灰色雲が上空を覆い、街全体が白くぼやけて見える。そんな景色を眺めながら、与えられた朝食を何の感慨もなく平らげる。

 朝食後から昼食を跨ぎ、夕刻に至るまで、僕はその大半の時間を哲学的な瞑想に耽って過ごした。ノスタルジックな感傷も、僕が描き出す殺伐とした無味乾燥のブラフマン(梵)の内に溶け合って消えていく。僕は自由を奪われた右腕を使って、煩雑なその瞑想をできうるかぎり言葉に置き換えてノートに綴っていった。

 改めてここに特筆すべきようなことはなかった。それはまったくのリプレイであって、新たな発見もほとんどなく、新たな感動も当然そこには生まれない。しかし、それこそが病院側の思惑でもあるのだ。彼らはモニターの環境を整える為に監禁してまでの実験を行なっているのだから。

 朝食はともかく、前日の夕食や昼食はもちろん、この日の夕食も前回時と変わらずとにかく不味いものだった。不味いものが出てくるってことが分かっているので、もう食事のトレーに見向きもしない程だった。だからメニューに何が出ていたかほとんど覚えていない。そのメニューを選ぶ用紙を書いたのだって忘れる程、ここでの食事は最初からなかったものにしようとしていたのだった。

 そして僕の栄養源の補給は、あてがわれる食事の時間の合間を縫って、給湯室に駆け込むことで何とか確保していたのだった。レンジでチンして作るタイプの、バターと塩気がタップリのポップコーンと、カロリー・ハーフのスプライトに神の賞賛あれ!

 一時間おきの採血と液体注入、血圧や心電図の測定などは滞りなく行なわれた。これも前回時と何ら変わるところのないルーティンだったのだが、あえていうと、液体注入時、注射針の刺さった血管が不自然な程の圧迫感を感じ、重い痛みをもって利き腕にダメージを与え続けた。体の内部から外に向けて走る類のその痛みは、まさに鈍痛で、長い時間、内に篭る。その鈍痛に意識を集中させると、腕の血管辺りの細胞が十個、二十個程すつ圧死している様を毎回容易にイメージできた。

 日曜の夜のHOLLYWOODの街はどこかネオンが寂しげだ。その様相はまるで閉店後のパチンコ店を髣髴させる。101Fwy上はもうすぐミッドナイトだというのにも関わらず、切れ目なく車が走っている。曇っているからだろうか、夜闇はノッペリとしたフラット・ブラックで上空を覆っていて、ここからは星一つ、人工衛星一つだって見えやしない。

 

 

 

 監禁実験三日目。

  右腕の注射針も外されて、自由になった右腕の注射箇所を撫ぜ摩る。推定二百個あまりの圧死した筋肉細胞のコトを想い、深くため息をつく。

ウィーク・デイがまた始まり、フリーウェイ上は絶え間ない車の波が行き交い、人々は週末のパーティーの残り香を引き摺りながら、日常生活に戻っていく。僕はといえば、そんな窓の外の世界を他人事のように眺めながら、持ち込んでいたドフトエフスキーの文庫を読んでいた。

 昼食後、これが最後となるであろうポップコーンスプライトを採取。指をバターでベトつかせながら、口一杯に頬張るインスタント・ポップコーンのヤクザな塩気が今は懐かしい。

 夕方まで転寝を繰り返す。その間、たくさんの夢を見たようだ。その夢のほとんどはストーリー性が無秩序で、ただランダムに僕の日常生活を取り巻く人物たちが何人も現れては消え、筋のないブツ切りのシーンを築き上げていった。脈絡のない台詞と、転々とする舞台設定が、微かな転寝と微かな覚醒の間で繰り広げられ、ようやくきちんと目覚めた僕に浮遊感にも似た奇妙な感覚をもたらした。病院のベッドで見る夢なんてモノは、案外そういった魔術めいた作用が働いているモノなのかもしれないな。僕の深層心理に渦巻く問題の数々が一時に湧き上がって、心のドアを乱雑にノックして行ったような、そんな気分だった。

 夕方になる前、借りたR. KELLYCD-Rを返す為にナース・ステーションや七階フロアーを行き来し、持ち主の黒人女性のナースを探した。しかし、彼女の姿はどこにもなかった。多分、今日はオフなのだろう。

さて、、、どうしたものだろう?R&Bにまったく興味のない僕としては、例えこれが流出モノの希少価値であるR. KELLYの非売品コピーであろうと、なかろうと、興味のないのには何ら変わらない。つまり、パクるに値しないのである。だから僕としてはきちんと返しておきたかった。

単純な返却方法としては、他のナースに預けて彼女に返してもらう、ってのがある。しかし、僕としては見ず知らずの他のナースをそこまで信用していいか、判断がつかなかった。彼女たちがパクってしまうという恐れも充分にあるのだ。あるいは女性ファンが熱狂するR. KELLYの作品なのだから、それは大いにありえる話だった。

どうしようか考えあぐねている内に時間はドンドン経過していく。最後にはどうでもよくなってしまった。

考えることを放棄して、この部屋で見る最後の美しい夕暮れの景色を楽しんだ。夕陽は西の山の端に掛かってから丸三分ともたず、彼方に沈んでいった。色鮮やかに潤んだオレンジ色に燃え上がる夕陽の最後の一滴に至るまでその光を享受し、やがて街並みは一日の色彩を静かに落としていった。空の北側の三分の一程を覆っていた厚い雲は早くも闇を吸収して、重々しく黒々と横たわるように見えた。

トラフィックに捕まり、ゆっくり行き交う101Fwy上の車のヘッドライトやテールランプの波も、欲望の色を湛えたようなHOLLYWOODのネオンも、これで見納めとなる。僕はまた僕の持ち場に戻るのだ。

まだ空には明るみが残っていたが、それも十数分後にはやがて闇が全体を包む。僕は見慣れつつあったこの窓辺の光景を後にした。

 

 

つづく・・・ 

 

2006年7月 1日 (土)

人体実験体験記 -Vol.12-

   12

 朝、慣れぬ環境に体が敏感に反応したのか、八時頃には目を覚ましてしまっていた。睡眠時間は三時間も経っていなかった。身を起こすと、友人のミノルさんと初めて会った女の子二人が床の上でまだ雑魚寝してる。僕は一人で起きだして、テーブルの上に残っていた昨夜の黒ビールの残りを飲み干す。当然のコトだが、炭酸が抜けた黒ビールはその苦味をしか口の中に残さなかった。僕は冷蔵庫からもう一本黒ビールを取り出し、所在無げに飲みながらテレビをぼんやり眺めていた。チャンネルはDISCOVERY CHANNELで、爬虫類の特集をやっていた。十時過ぎに皆起きだし、グデングデンのまま四人で会話していたが、休日の朝にワケもわからず同じ場所に居合わせた者同士の会話としては、不思議と親しみが沸いてくるものであった。

 帰りの際、路上に止めた車のフロント・ウィンドウのワイパーにチケットが挟まれていた。ショック!約四十ドルの罰金を支払わないといけなくなった。コレは大きな痛手だ。アメリカで車を運転するようになって半年足らず、僕にとってはこれで三枚目の駐車違反のチケットだった。どうもシステムに馴染めないでいる。。。

 ミノルさん宅から急いで帰宅し、昼食を摂ってからシャワーを浴びる。そして今日からまた二泊三日で行なわれる病院での監禁実験に備えて、荷物の準備を整える。荷物は前回時とほぼ同じものを用意して持ち込んだ。前回時との持ち物の違いは、新たにCDの新譜が二枚増えていて、その他にも、前回時に読み終えてしまった、ドナルド・トランプについて書かれた『トランプ自伝』の代わりに、日本から持ってきていたドフトエフスキー『地下室の手記』の文庫を持って行った。

 

 

 

まったくのリプレイを見せられているかのような気分だ。

 夕陽が西北西に広がる山の端に広がり沈み行く頃、フリーウェイ上行き交う車の波はヘッド・ライトを灯し、HOLLYWOODの街並も徐々にネオンを灯し始める。やがて上空はにじむような夕日のオレンジ色から紫紺色のグラデーションに取って代わられていく。その光景は、二週間前に望んだものとまったく変わっていないように見えた。

 そして僕は、二週間前と何ら変わることのない監禁実験のルーティンをこれから三日掛けてこなしていくことになるのだ。ほとんど諦めに近い失望感を伴う形で、僕は前回過ごしたのと同じ病室に入って、その病室の西側に面した大きな窓から外の景色をぼんやりと眺めやった。

 とはいえ、前回の監禁実験時と違った場面も少々ある。例えば、病室に到着して早々、僕が荷を解き、真っ先にラジカセでTHE BEATNUTSの新譜を流し、部屋をグルーヴに満たしていると、今回初めて見る顔の黒人の若い看護婦がそれに反応してきた。HIP HOPが大好きなんだと伝えると、彼女の方もうれしそうに答えてくる。

ちなみに、彼女がいくら若い黒人女性だからといって、BEYONCEASHANTIAMERIECHRISTINA MILIANなどをイメージしてもらっては困る。まだ若く、太ってはいないとはいえ、彼女はお世辞にも整っているとはいえない容姿で、太いフレームの眼鏡を掛けたその顔は、産まれたばかりの皺まみれのサルの赤ら顔を思わせるのだ。別に人の容姿をどうこう言える立場ではないのだけれど、一応、とりあえず皆さんには誤解のないように断っておきたかったのである。

そんな彼女が夕食後に一枚のCD-Rを僕に持ってきた。アメリカ黒人女性はおろか、BLACK MUSICファンの女性たちにとってナンバー・ワンのアイドル、R. KELLYのアルバムをコピーしたCD-Rだった。

僕はHIP HOPは大好きだといったが、厳密にいうとラップが特に好きなのである。だから音楽としてはラップの入ったもの以外はほとんど聴かない。手元に購入するのはラッパー名義の作品ばかりで、ごくたまにプロデューサーがメインの作品も買うが、その大体はラップが入っている。つまり、俗にいうR&Bア-ティストに対しての知識はほとんどなく、例えあったとしても、それはラッパーがメインの楽曲に参加しているという程度での知識しか持たないし、つまりそれだけR&Bアーティストに対しての関心が低いのである。

そんな僕に対してR. KELLYの作品を渡されても嬉しくも何ともないのだが、そこはお義理で早速プレイヤーに差し替え、そのCD-Rを流した。後で調べてみると、どうやらそのCD-Rは正規盤のコピーではなく、流出音源を集めたモノらしかったのだが、先程も書いたように、僕にとっては興味をそそる要素はほとんどなかった。

 前回と同じく、不味い夕食をほとんど残して、その代わりにポップコーンスプライトで腹を満たすと、今日から始まるというNBAのプレイ・オフLAKERSの第一回戦をテレビで観戦し、その後は本を読んで深夜まで過ごした。

 

 眠りに就く前、この監禁実験前の二週間のインターバル中にたくさんの方々に心配していただき、食事を誘っていただいたり、何かと世話を焼いていただいたことを改めて思い出し、感謝しつつ、やがて僕の意識は泥の中に潜り込むように深い眠りの中に落ちていった。

 

 

つづく・・・ 

 

 

« 2006年6月 | トップページ | 2006年8月 »

最近のトラックバック

2017年1月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31