無料ブログはココログ

リンク

« C.L. とか書くけど SMOOTH じゃない | トップページ | 音楽の才能 »

2006年5月20日 (土)

西海岸アンダーグラウンドの流儀

僕はHIP HOPに関して言えばかなりのミーハーなので、

特に好んでメジャー・アーティストの作品を嗜好しているのですが、

時々、その反動でか、

オーセンティックな音楽的アングラ作品を

ふと求める傾向があります。

しかし、

昨今の米国アンダーグラウンドHIP HOPに関しては

僕の中ではある種の飽和状態を態していて、

なかなか心に響くようなアングラ作品を 

耳にする機会が減ったような気がしていました。

そもそもアンダーグラウンドの概念が

消滅しかけているのではないかと推察しているのですが、

いずれにせよ、

かつての NEW SCHOOL 的台頭や、

RAWKUS のごときインディー・レーベルの台頭は

今は望めなくなりつつあります。

それも商業的成功により成し得た

HIP HOPの肥大したマス・イメージによる功罪かもしれません。

そういう事情があってか、

ここ日本では80年代末から90年代初頭にかけての作品や

その当時活躍していたアーティストたちへの希求心が

未だ衰えることなく、

現在も多くのファンを虜にしたままでいます。

僕ももちろん当時の作品やアーティスト達は大好きで、

あの頃のシーンの昂ぶる情熱を未だ夢見ながら、

過去の作品群を振り返ることも多々あります。

。。。。。

そんな状況の中、

久々にループの美しい楽曲を揃えた

素晴らしいアングラ作品に出会うことが出来ました。

PEOPLE UNDER THE STAIRS

STEPFATHER」 という作品になります。

Simg_t_oh28263ljmb9  

 

 

 

西海岸はL.A.アンダーグラウンドを拠点に活動する彼らは

DOUBLE KTHES ONE からなるラップ・デュオだ。

二人はラップはもちろん、

楽曲のプロデュースも請け負っていて、

それぞれに味のある曲を作り出しています。

特に今作耳を引いたのがその楽曲群のクオリティーの高さで、

レコ屋で視聴して一発目でヤラレたような具合でした。

L.A.特有のまったりとしてレイドバックした空気の

ギッシリ凝縮されたようなループの数々が詰まっており、

それはかの地でチル・アウトしてたかつての時間を

僕の肌身に懐かしい感覚として呼び戻してくれます。

 

最初の一音からズバっと耳を惹き付ける②で

この作品の素晴らしさは既に証明されていると言えるでしょう。

スクラッチの際立った④や、

まるで PETE ROCK のようなループ使いの⑤、

フリーキーでユーモア溢れるドラム・ループの⑥などは、

あくまで彼らのHIP HOP及び音楽に対する愛情や喜びが

一杯に詰まっているのが感じられる。

ビジネス・ライクなメジャー作品には決して出せない

開放的な自己表現が

こういったアングラ作品の一番の醍醐味だと言えるでしょう。

レイドバック感の強いオケが流麗な⑦は

リリックも叙情的で実に美しく楽曲にマッチしている。

⑧、⑨と続く連作もゆったりした空間を演出したような

ご陽気なL.A.らしいオケが楽しい曲に仕上がっている。

ここからの展開が更にループの質が向上していき、

尻上がりにこの作品の秀作としての印象を強めていきます。

西海岸アンダーグラウンドをそのまま体現したような⑪、

ループの配し方が実にメロディアスでバラエティー豊かな

⑬、⑭、⑯への流れは

前のめりになるHIP HOP傾聴時における態勢を

音楽的な開放感と共にリラックスした方向へ持っていってくれます。

レゲエのフックがコントラストとなる⑰の

実生活中の精神性を訴えるリリックも素晴らしいです。

インタールード的な⑱も小品ながら実に味わい深い。

そして、本作中でも最もループの美しい⑲、

そしてその対照としてトーンをぐっと押さえた⑳で

本作は幕を閉じています。

 

少し飛躍した言い方にはなりますが、

僕は本作を “西海岸アンダーグラウンドの流儀” を

正統的に踏襲している作品として捉えています。

例えば、それは西海岸アンダーグラウンドを代表するグループ

JURASSIC 5 の諸作品の音楽性に

非常に似通ったような空気が溢れていて、

両グループの作品の中に見出せる

西海岸アンダーグラウンドの住人の生活風景を

切り取ったような空気の生々しさを表現している点に

J 5PEOPLE UNDER THE STAIRS という二つのグループの

共通点が見出せたりします。

 

作品の至る所に鏤められた

遊び心溢れるスクラッチやコラージュ、

虚実をない交ぜにして構築する得心深いリリック、

そして揺るぎない技量とセンスの上に織り成される

素晴らしいループの数々。。。

J 5DILATED PEOPLES など

西海岸アンダーグラウンドに興味のある方は

ぜひ本作を手に取られてみられてはいかがでしょうか?

ちなみに、特典としてDVD付いてます。

  

オススメ度 7.2

(ラップ:1.5 トラック:1.8 キャラ:1.1 話題性:1.1 構成:1.7) 

 

 

« C.L. とか書くけど SMOOTH じゃない | トップページ | 音楽の才能 »

コメント

僕は一年あまりL.A.に住んでいながら、
結局、J 5のライブに行く機会もなく
帰国するに至ってしまい、
それが今も非常に心残りです。
当時、僕はメチャクチャ貧乏で、
それどころじゃなかったから。
それこそ、食べるものにさえ事欠く始末で、
本当にひもじかったです。

J5は、メールアドレスがjurassic5で始まるくらい好きです。肩の力が入っていない生活に溶け込んだHipHopというイメージがあります。(勝手に思ってるだけですが)

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 西海岸アンダーグラウンドの流儀:

« C.L. とか書くけど SMOOTH じゃない | トップページ | 音楽の才能 »

最近のトラックバック

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30