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2006年5月23日 (火)

音楽の才能

いきなり前置きもなく書き出しますが、

今回紹介する作品は新譜ではありません。

正確には1996年に発表された作品になります。

タイトルはズバリ、

SLUM VILLAGE のデビュー作となる

「FANTASTIC , VOL. 1」  です。

Slumvillagevol1official_1  

 

 

 

今年の2月、元 SLUM VILLAGE の中心的なメンバーだった

JAY DEE (a.k.a. J. DILLA) の突然の訃報が

シーンのトップニュースとして舞い込んできたことは

皆さん、記憶に新しいと思います。

このブログでも追悼の意を込めて、

彼に寄せる記事 を書いてもいます。

それが何故、SLUM VILLAGE のデビュー作の紹介記事を

今頃になって書いてるのだろう

と皆さん疑問に思われるかもしれませんが、

特に深い意味はありません。

個人的な話ですが、

実はこれまで、

このグループの2ND作、3RD作は持っていたのですが、

彼らのデビュー作となる本作は購入できていなかったのです。

インディー配給になる本作は

流通がメジャー作品のようには行き届いていない為、

これまでなかなかレコ屋でお目にかけることが出来なかったのです。

それが幸か不幸か、

この度の JAY DEE の訃報をきっかけに

レコ屋のバイヤーも慌てて仕入れなおしたのでしょう。

ようやく本作をこの3月に手に入れることが出来ました。

購入時期から少し時差はありますが、

ようやく手持ちの新譜も全て紹介してしまったので、

ネタ繋ぎというワケではないのですが、

今回、この作品にスポットを当てて

紹介していこうというコトに相成ったのであります。

。。。。。 

 

正直な感想を述べると、

完成度という点で見れば

断然、2ND作の方が際立っていると思いますが、

JAY DEE プロダクションの真骨頂とも言える

硬くて図太いスネア・ドラムやベース・ラインの成熟し方は

デビュー作となる本作の時点で

もう既にスタイルが確立されています。

それは作品冒頭の①、②を聴けばすぐにそれと判る程に

JAY DEE の音楽的な才能の片鱗が

きちんと形となって表現されていることを表しています。

2ND作にも収録されている③は

ここでは少しコンパクトにまとめられていますが、

正にこのグループの “顔” 的な楽曲の一つと言っても

過言ではないでしょう。

ブルージーな上モノのループが味わい深い⑥や⑦、

フュージョン系の上モノのループが幻想的な世界を描き出す

⑧や⑩などをよく聴いてもらえばわかると思いますが、

JAY DEE の作り出す音世界は

一音一音のドラム音、ベース音が

それぞれに表情を持っていて、

深層に息衝く音の生命力の力強さを感じさせます。

⑪などに見られるループの浮遊感に

音の際立ったドラムやベースのラインが

現実的な存在感を与えているのです。

⑮や⑰に代表されるようなアブストラクト的曲調が

その後、A TRIBE CALLED QUESTQ-TIP

耳に留まり、スカウトされるというのも

今更ながらに頷ける話ですね。 

歌モノを軽く上掛けた⑱は本作中では異色をなすが、

続く⑲から幕引きまで、

JAY DEE のカラーは徹底されている。

全22曲というボリュームもあってか、

各一曲一曲の構成がミニマルに過ぎて

楽曲単品としての物足りなさは感じずにはいられないのだが、

SLUM VILLAGE のグループ作品というより、

JAY DEE のプロダクションのお披露目作品として捉えるなら、

これだけのボリュームに大満足することだろう。

 

本作から JAY DEE の才能は開花し、

彼のそのキャリアは

シーンのトップに向かって広がっていくことになるのですが、

そういう意味で、

本作は JAY DEE のタレントが

決定的に表立った作品と言えるでしょう。

A.T.C.Q.Q-TIPBUSTA RHYMESCOMMON 等の他に、

最近では GHOSTFACE に至るまで、

正しく “玄人好み” される JAY DEE サウンドの原点が

本作には溢れんばかりにギッシリと詰まっています。 

それと同時に、本作は、

改めて彼を失った事によるシーンの大きな損失を

再確認せずにはいられない作品でもあります。

本当に、唯一無二の才能でした。

 

オススメ度 7.2

(ラップ:1.2 トラック:1.8 キャラ:1.3 話題性:1.4 構成:1.5)  

 

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